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避難情報、防災行政無線でどう伝達されるのか

2019.05.18

 「避難勧告等に関するガイドライン」が改定され、避難情報が新たに5段階の警戒レベルで示されることになったのは既報の通りだが、避難情報が新しくなったことに伴って情報の伝えられ方にも変更された部分がある。

 気象庁は、今月14日ごろには奄美地方が、16日ごろには沖縄地方がそれぞれ梅雨入りしたとみられると発表した。恐らくは今年も、国内のどこかで大雨が降り、洪水や土砂災害からの避難を呼びかける情報が数多く出されるのだろう。

 全国的な梅雨入りを前に、新しくなった避難情報の伝えられ方についても理解しておこう。

「警戒レベル」と「取るべき行動」が最初に明確に伝えられる

 具体的な避難行動が求められるのは、「警戒レベル3・避難準備・高齢者等避難」以上になった場合だ。では、実際に避難情報はどのように伝えられるのだろうか。

 内閣府の資料「避難勧告等に関するガイドラインの改定~警戒レベルの運用等について~」によると、避難情報が発令されるときは、「対応する警戒レベルを明確に示したうえで、対象者ごとに取るべき避難行動が分かるように伝達」されるという。

 同資料には市区町村の防災行政無線を使用して口頭で伝達する際の文例が載っている。警戒レベル4の避難勧告のケースでは、現行ガイドラインと改正ガイドラインの伝達文の違いを下図のように示している。

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 従来のガイドラインでは「緊急放送、緊急放送、避難勧告発令」となっていた第一声。新しくなった改正ガイドラインでは「緊急放送、緊急放送、警戒レベル4、避難開始」に変更されている。

 出される情報が「警戒レベル4」であること、このレベルに応じた行動は「避難開始」であることを、最初にセットで伝えている。さらには、これを2度繰り返している。警戒レベル4が避難勧告の発令であることは、「こちらは、○○市です。○○地区に洪水に関する警戒レベル4、避難勧告を発令しました」と、第一声の後に回された。まずもって重要なのは、「警戒レベル4は避難開始」を意味しているということだ。

 「○○川が氾濫するおそれのある水位に到達しました」という災害が差し迫っていることを伝える部分は従前と同様。それに続く部分は変更された。「○○地区の方は、速やかに全員避難を開始してください」と、該当する地区を指し示し、そこにいる全員が避難しなければならないことを強調している。最後に、命を守るための最善の行動について言及するのはこれまで通り変わらない。

同じ警戒レベル4でも、避難指示(緊急)は「直ちに避難」と表現

 ガイドライン改定に伴う伝達分の主要な変更点は以上の通りだが、ガイドラインには警戒レベル3以上の個別の文例も掲載されている。確認してみよう。

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 警戒レベル3・避難準備・高齢者等避難開始でも、第一声で「警戒レベル3、高齢者等避難」とレベルとそれに応じた行動を取るよう伝えている。その後、「お年寄りなど避難に時間がかかる方は避難を開始してください」と再度強調し、その他の人にも避難の準備を呼びかけている。

 警戒レベル4・避難指示(緊急)は、すでに紹介した同じ警戒レベル4避難勧告の第一声「警戒レベル4、避難開始」とは異なり、「警戒レベル4、直ちに避難」と呼びかける。指示が発令されるのは、勧告よりも状況がより緊迫している場合であることを示している。

 警戒レベル5・災害発生情報は、災害発生を市区町村が確認した場合に発令される。「災害発生、警戒レベル5、命を守る最善の行動をとってください」と最初に災害が発生していることを知らせたうえで、命を守る最善の行動をとるよう呼びかける。その後、「現在、浸水により○○道は通行できない状況です」などと、把握できた範囲で被害状況の詳細についても伝えている。

「簡潔」「緊迫感のある表現」で「繰り返し」伝えられる

 もちろん、上記はあくまでガイドラインが示す文例だ。ガイドラインが述べるように、避難勧告等の発令に関しては、この文例にとらわれず「市町村が地域の状況を踏まえて表現を工夫することが望ましい」から、市区町村ごとに個別の表現は変わり得る。

 実際、ガイドラインでは、過去に効果があった例として、市町村長が住民に直接避難を呼びかけたり、避難指示(緊急)を伝達する際、「直ちに避難場所へ避難するか高いところへ避難せよ」と命令口調で複数回呼びかけたりした事例を紹介している。

 ただ、今回の改定の趣旨を踏まえ、警戒レベルと取るべき行動が最初にセットで分かりやすく伝えられるというポイントは抑えておこう。

 また、防災行政無線は大量の情報を正確に伝達することが得意ではないため、伝達文は簡潔になること/住民の避難を強く促すために緊迫感のある表現で伝えられること/屋外では風雨等で聴き取りづらいことも多いことから情報は繰り返し伝達されること――なども覚えておくとよいだろう。