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5段階の警戒レベルで避難呼びかけ、ガイドライン改定

2019.04.21

 豪雨災害としては平成最大の人的被害を出した平成30年7月豪雨(西日本豪雨)を教訓に、避難のあり方を再検討していた政府はこのほど、「避難勧告等に関するガイドライン」の改定版を策定し、公表した。

 住民が災害の危険度を直感的に理解できるように、自治体が出す避難情報と気象庁が出す防災気象情報を5段階の警戒レベルで表すことにした。

避難の判断に役立てられる防災情報が必要

 西日本豪雨では、気象庁や自治体が事前にさまざまな防災情報を発信して避難を呼びかけていながら、高齢者を中心に多くの犠牲者が出た。防災情報が避難に活用されずに逃げ遅れるケースが目立ち、「防災情報の種類が多く、避難勧告と避難指示の違いなどもわかりにくい」などの課題が改めて指摘された。

 こうした現状に危機感を抱いた中央防災会議の作業部会は、昨年12月に報告書を取りまとめ、「住民が自らの判断で避難行動を取り、行政はそれを全力で支援する」という住民の防災意識が高い社会の構築を目指すべきだと提言。防災情報についても、住民が避難の判断に役立てやすいよう、住民に行動を促す防災情報と住民がとるべき行動を5段階の警戒レベルに応じて示すなど、わかりやすく提供する必要があると指摘した。

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警戒レベル5に「災害発生情報」を新設

 報告書の提言を踏まえて改定されたガイドラインでは、住民にとって分かりやすい防災情報の全体像を詳しく示している。

 まず、住民が情報の意味を直感的に理解できるよう、防災情報は5段階の警戒レベルで発表されることになった。それぞれのレベルに応じて、「住民がとるべき行動」も明確にされた。これにより、対象者がどのタイミングで避難すればよいのか、についてもわかりやすく整理された。具体的に見てみよう。

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 ガイドラインによると、居住者等が避難行動を取る必要があるのは警戒レベル3以上の場合だ。高齢者など避難に時間がかかる要配慮者等が避難すべき場合に発令される「避難準備・高齢者等避難開始」は警戒レベル3に位置付けられた。警戒レベル3が出された場合には、高齢者やその支援者は指定緊急避難場所等への立ち退き避難を開始する。その他の人も立ち退き避難の準備をし、早め早めの自発的な避難を心がける必要がある。

 全員避難を求める避難勧告は、警戒レベル4に位置付けられた。警戒レベル4が出された場合には、避難勧告の対象となる地区内にいる全員は、速やかに指定緊急避難場所への立ち退き避難をする必要がある。

 立ち退き避難は基本ではあるが、周囲の状況に危険を感じた場合はこの限りではない。避難場所への立ち退き避難がかえって危険を及ぼしかねないと判断する場合には、近隣の安全な場所や、建物内のより安全な部屋への移動などへ緊急の避難もやむを得ない。

 避難指示(緊急)も、避難勧告と同じ警戒レベル4とし、全員避難を促す情報に位置付けられた。ただし、避難指示(緊急)は必ず発令されるものではなく、災害発生の恐れが極めて高い状況で緊急的に、あるいは避難勧告が発令された後に重ねて避難を促す場合に発令される場合があることを理解する必要があるとされた。

 最も危険度が高い警戒レベル5では、新設した「災害発生情報」を発令する。このレベルは、すでに災害が発生している状況であり、命を守るための最善の行動を取るよう住民に呼びかける。自治体は、災害が実際に発生していることを把握した場合に可能な範囲で発令するが、すべての災害発生を確実に把握できるわけではない。災害発生情報も、必ず発令されるものではないということに留意する必要がある。

 このほか、警戒レベル1は近く警報級の気象情報が出る可能性が高い予報が出された場合に出され、住民は災害への心構えを高めておく。レベル2は洪水注意報、大雨注意報が発表された段階に出され、住民はこの後の避難に備えて避難行動を確認しておくことが求められる。

 特別警報を含む防災気象情報についても、各警戒レベルとの対応を整理し、「警戒レベル相当情報」として位置づけが明確化された。これらの情報は、住民が避難行動をとる際の判断に大いに参考になる。大雨特別警報やはん濫発生情報はレベル5、土砂災害警戒情報やはん濫危険情報、洪水警報の危険度分布(非常に危険)はレベル4に位置付けられた。

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