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住宅用火災警報器の交換の目安は設置から10年

2019.03.31

 住宅用火災警報器(住警器)の設置が、すべての住宅に義務付けられてから10年以上が経過した。「住警器? そういえば、以前、わが家でも取りつけたな」などと、"思い出す" 人も少なくなさそうだ。

 そのような向きに、ぜひ知ってもらいたいことがある。古くなった住警器、そろそろ寿命を迎えるのだという。

設置義務化の背景に「社会の高齢化」

 住警器は、住宅火災の発生をいち早くキャッチし、警報を発して知らせてくれる。平成16年(2004年)に消防法が改正され、すべての住宅に設置することが義務付けられた。まず、平成18年(2006年)6月から新築住宅の設置が義務化され、既存住宅については、平成20年(2008年)6月から平成23年(2011年)6月までの各市町村条例の定める日から設置が義務化された。新築住宅についてはすでに平成28年(2016年)に義務化10年を迎えており、既存住宅でも昨年から再来年の2021年までに全国すべての市町村で義務化から10年が経過することになる。

 消防法が改正された平成16年当時の住宅火災の状況を振り返ってみよう。

 法改正前年の平成15年(2003年)、住宅火災による死者は1,041人を数え、昭和61年(1986年)以来17年ぶりに年間1000人を超えた。平成17年(2005年)には1,220人とピークを示すなど、この時期、住宅火災による死者は増加傾向を示していた。

 急速に進む社会の高齢化、これが死者の増えた大きな要因だった。住宅火災の死者に占める高齢者の割合は、年々高まって6割に迫っていた。日本社会の少子高齢化はこの先も一段と進むことが見込まれていた。国は、それまでの普及啓発主体の住宅防火対策から一歩踏み込み、住警器の設置義務を法制化することを決断した。

 もちろん、"勝算" はあった。当時、消防庁は、日本に先んじて火災警報器の設置を義務づけていた欧米で、住宅火災による死者が大きく減っている事実をさかんに喧伝していた。例えば、米国では、1970年代後半から各州で義務化が進み、2000年代に入ると70年代のピークに比較して住宅火災による死者が半減していた。諸外国における顕著な実績を引っ提げて、住警器の設置義務化は、住宅防火対策の切り札として登場することになる。

全国の設置率は約8割

 日本で住警器の設置が義務化されてから10年以上。この間、住警器の設置率は着実に伸びている。

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 総務省消防庁の調べによると、平成30年6月1日時点の全国の設置率は81.6%。グラフの折れ線は、既存住宅への設置義務化が始まった平成20年以降の設置率と条例適合率、棒グラフは住宅火災の発生件数と住宅火災による死者の推移を示している。設置率が右肩上がりで伸び、発生件数と死者数は減少していることがわかる。

 ちなみに、ここでいう設置率とは、住宅内に1か所以上住警器が設置されている世帯の全世帯に占める割合のこと。また、条例適合率とは、市町村条例で設置が義務付けられている住宅内の部分全てに住警器が設置されている世帯の全世帯に占める割合のことだ。

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 また、消防庁が平成27年から平成29年までの3年間における住宅火災で住警器の効果を調べたところ、住警器を設置している場合は設置していない場合に比べて、死者の発生は4割減、焼損床面積と損害額はおおむね半減していた。住警器を設置することで高い効果が期待できることが、日本においても年々、証明され続けていると言えるだろう。

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 もちろん、課題は残っている。住宅火災による死者は全体として減っているものの、このうちの65歳以上の高齢者の死者数は減っておらず、横ばいで推移している。このため、死者に占める高齢者の割合は平成29年で72.7%と過去最高を記録した。高齢化が進展するなか、高齢者の死者を減らすことは大変困難だ。ここ数年約8割で高止まりしている設置率や、7割を前に足踏みが続いている条例適合率をさらに高める取り組みを続けることが、高齢者の死者を減らす糸口を見いだすことにつながるかどうか。引き続き、住警器に注目だ。

古い住警器、電子部品の劣化で故障も

 さて、冒頭の話題に戻ろう。

 住警器本体の寿命はおおよそ10年とされており、総務省消防庁は設置から10年を過ぎた古い住警器の取り換えを呼びかけている。古くなって電子部品が劣化すると、火災発生時に住警器が鳴らない恐れがあるからだ。

 実際、消防庁の調査によると、最近、住警器の作動確認を行った世帯の約1%で電池切れや故障が確認された。また、平成29年に国民生活センターが実施したアンケート調査でも、住警器を点検した人の約1割が「(住警器が)無反応だった、電池切れや故障を示す警報音が鳴った」と回答している。

 普段は"静かにしている" ことが当たり前の住警器。定期的な清掃や動作確認・電池交換を怠ると、気づかぬ間に電池切れや故障を起こしている恐れがあるということだ。わが家の住警器が心配になった人は、住警器を設置した際に記入した「設置年月」、または本体に記載されている「製造年」を確認してみよう。