1. ホーム
  2. レポート
  3. 防災の現場
  4. 東日本大震災と死者・行方不明者

東日本大震災と死者・行方不明者

2019.03.17

 今年もまた3.11を迎えた。東日本大震災の発生から8度目となる3.11だ。

 節目に合わせて総務省消防庁は8日、今年3月1日現在における東日本大震災の被害状況(第159報)を取りまとめて公表した。ちょうど1年前、昨年3月1日時点の第157報から死者は増え、行方不明者は減った。住家被害の棟数にも変動があった。

避難者はいまだに5万2千人。福島県の避難者数が突出

 総務省消防庁が取りまとめた全国の被害の状況は下表の通りだ。

20190317_01.png

 第157報と見比べて、多くの数値に変動があったことがわかる。死者は59人増えて1万9,689人になった。行方不明者は6人減り、2,563人に。負傷者は若干増えた。建物被害では、住家被害が増え、非住家の公共建物被害が少し減った。

 これらの異同に関する総務省消防庁の説明はこうだ。

 まず、死者が59人も増えた要因は、「震災関連の死者と認められたこと」にある。いわゆる「災害関連死(震災関連死)」として認定された人が1年間にこれだけいたということだ。

 岩手、宮城、福島の被災3県の個別状況をみると、死者数は岩手で1人、宮城で1人、福島で57人増加していた。すべて関連死だった。原発事故のあった福島県での増加が突出しているのは、おそらく避難者の多さと関係している。

20190317_02.png

 復興庁の今年2月末時点の資料によると、東日本大震災の避難者は、いまだに全国で約5万2千人を数えている。最大時の47万人からはもちろん大きく減っているが、それでもこじんまりした市の人口に匹敵するくらいの数の人々が発災から8年経過した今も、避難生活を続けている。

 内訳の数字を見てみよう。都道府県別の避難者で最も多いのが福島県の約9,300人、続いて岩手県の約3,600人、宮城県の約2,000人となっている。避難者が全国47都道府県に拡散しているということは、被災3県の被災者が自県外へ避難しているケースも多いということも意味している。福島県からの県外避難者は3万2,631人と最も多く、宮城県からの4,196人、岩手県からの1,028人を大きく上回っている。

行方不明者は6人減少、うち2人は生存確認

 行方不明者数の異同では、少々変わった出来事があった。

 先に述べた通り、行方不明者は前年から6人減った。内訳をみると、岩手県で2人、宮城県で4人減少した。

 岩手では、身元不明の死者として計上されていた2人の遺体の身元が判明した。宮城では、行方不明とされた2人の遺体が新たに発見された。(ちなみに、この2人の遺体発見で宮城県内の死者数は増えそうだが、実際は、その後死者2人の重複計上がわかってそれを解消、死者数そのものは変わらなかったという。)

 4人の行方不明者については、亡くなっていることが確認されたことになる。悲しい現実ではあるが、震災発生からすでに8年近くも経過している。身元が分かっただけでも遺族や本人は救われたのではないかと想いを寄せることができる。

 一方で、これは珍しいと驚いたのが、宮城県の残る2人だ。この2人はなんと、「生存者として」見つかった。発災から7年半が経過した昨年、行方不明とされていた2人の被災者の無事が相次いで確認された。

 昨年9月、宮城県石巻市の48歳(発見時)の男性が、滋賀県内に居住していたことが判明した。新聞報道によると「震災直後の混乱期を除き、宮城県内の行方不明者の生存が他県で確認されたのは初めて」(河北新報、2018年9月12日)だった。11月には、同じ石巻市の50歳(同)男性が神奈川県内に住んでいることが確認された。いずれも、家族と疎遠な状態で震災後も連絡が付かなかったことから、家族が震災に巻き込まれた可能性があるとして警察に届け出ていたケースだったという。

 このほか、住家被害の棟数が大きく変動したことについては、福島県大熊町の帰宅困難区域における調査が進捗したことによる増加だという。

災害関連死を防ぐ取り組みが求められている

 東日本大震災から8年が経過しても災害関連死による死者数が積み重ねられていく。その後に発生した熊本地震や西日本豪雨といった大規模災害でも、当り前のように関連死が発生し続けている。

 メディア各社の報道によると、阪神・淡路大震災以降、災害関連死と認定された犠牲者は約5千人に上るという。災害関連死で失った命は、本来であれば救えたはずの命である。5千人の犠牲者とは、伊勢湾台風(5,098人)や阪神・淡路大震災(6,437人)に匹敵する規模であることに思い至れば、まったくもって座視できない問題であることがわかる。

 災害関連死の全体数を含めた実体をしっかり把握し、関連死を認定する統一的な基準を定めるべきだ――国にそのような対応を求める意見は根強い。もちろん、関連死の認定基準作りといった発生後の対応も必要だ。しかし、次の大規模災害も遠からず発生する。災害時の避難所の快適性を高める、在宅避難者にも手厚い支援を忘れないといった関連死を出さない対策が急ぐ必要がある。