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在留外国人の防災対策の重要性

2019.02.28

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が今年4月から施行される。東京オリンピックの開催を控えて注目度が高まり、近年は外国人旅行者も増えている。

 日本に旅行したり、住んだりする外国人が増加することに伴い、外国人を対象とした防災対策の重要性も増している。

日本に住み、働く外国人が過去最多に

 最近は、街中で外国人を見かけることが本当に多くなった。特に、訪日外国人の増加が著しい。昨年(2018年)の外国人観光客数は3,119万人を数え、史上初めて3,000万人を超えた。政府観光局の統計を見ると、1964年(昭和39年)は35万人に過ぎなかったから、この55年間で訪日客は90倍近くも増えたことになる。

 ちなみに、訪日外国人が1,000万人を超えたのは2013年(平成25年)の1,036万人、2,000万人を超えたのは2016年(平成28年)の2,404万人だった。ここ数年は驚くべき急騰ぶりを示している。

 観光客ばかりではない。日本に住み、働く外国人も増えている。法務省の統計によると、昨年6月末現在の在留外国人数は263万7,251人に上った。統計をとりはじめた1959年以降で最も多くなっている。

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 また、厚生労働省によると、昨年10月末現在で国内の外国人労働者数は146万463人で、これも過去最多となった。外国人労働者を国籍別にみると、中国が最も多く、38万9,117人と全体の26.6%を占めた。次いで、ベトナム31万6,840人(同21.7%)、フィリピン16万4,006人(同11.2%)の順だった。

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 増加の勢いはさらに加速しそうだ。前述の通り、国内で深刻化している人手不足を外国人労働者によって補うことを目的に出入国管理法が改正された。政府は「特定技能」と呼ばれる新たな在留資格を創設、介護や建設などの14業種で、今後5年間で最大約35万の外国人労働者の受け入れを見込んでいる。

外国人との共生社会実現を目指した総合的対応策

 多くの外国人労働者に来日してもらい、継続的に働いてもらうためには、外国人が暮らしやすい地域社会づくりが欠かせない。このような観点から、政府は昨年末、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を策定した。

 対応策は、日本人と外国人が安心・安全に暮らせる社会を実現することを目的に、外国人労働者の適正な受け入れと地域における共生社会の実現に向けて、目指すべき方向性を示した。

 具体的には、「外国人との共生社会の実現に向けた意見聴取・啓発活動等」「生活者としての外国人に対する支援」「外国人材の適正・円滑な受入れの促進に向けた取組」「新たな在留管理体制の構築」の4つを柱に、126の施策を列挙した。

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 自然災害が頻発する日本では、防災対策は外国人労働者の命を守る取り組みになる。この防災対策については、「生活者としての外国人に対する支援」のなかで、「災害発生時の情報発信・支援等の充実」として取りまとめられた。

 災害発生時、正しい情報が正しく伝達されることは極めて重要だ。被害に関する情報や被災後の生活支援に関する情報などが被災者にしっかり伝わることが、被害を最小に抑えることに直結する。総合的対応策は、具体策としてまず防災・気象情報の多言語化を挙げた。

 防災・気象情報に関する「多言語辞書」の充実(11か国語)、気象庁ホームページ(11か国語)、緊急地震速報等の緊急情報を発信するアプリ「Safety tips」(11か国語)、民間事業者のウェブサイトやアプリ等を通じた防災・気象情報――などの多言語化対応を進める。119番通報や救急現場における多言語対応(電話通訳センターを介した同時通訳、多言語音声翻訳アプリの消防本部への導入促進)にも取り組んでいく。

 災害時、避難所等に避難した外国人に必要な情報を提供する「災害時外国人支援情報コーディネーター」の養成研修も実施し、平成32年を目途に都道府県や指定都市に同コーディネーターを配置する。在日大使館等を対象とした防災施策説明会なども予定しているという。

 今後、増加が見込まれる在留外国人は、地域社会の重要な構成員となる。その外国人が、日本語が十分に理解できないのであれば、地域社会として在留外国人を支えていく必要があるだろう。反対に、日本語が堪能な人には、それこそ在留外国人の防災リーダーとして、いざというときの防災活動を担ってもらえるように積極的な協力を求めるべきだろう。首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの大規模災害の発生が確実視されるなか、地域社会の様相も次第に変化している。地域における防災活動は、確実に新しいステージを迎えている。