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平成30年中の災害対応等を特集【平成30年版消防白書】

2019.02.18

 総務省消防庁はこのほど、「平成30年版消防白書」を公表した。平成30年も国内では大規模災害が多発、白書の巻頭特集でも消防機関の災害対応について詳述されている。

西日本豪雨、大阪北部地震、北海道地震の対応を記録

 昨年も全国各地で大規模災害が相次いだ。平成30年7月豪雨(西日本豪雨)は平成最悪の人的被害を記録する豪雨災害となった。6月には最大震度6弱を観測する大阪北部地震、9月には震度7を観測する平成30年北海道胆振東部地震(北海道地震)が発生した。

 白書の「特集1」「特集2」では、各災害に対する消防機関等の活動を詳しく紹介したうえで、今後の対応についても方向性を示している。

 激甚化・頻発化している豪雨災害では、避難対策の強化が課題になった。政府の中央防災会議は、住民の自発的な避難を促すために、防災教育や防災訓練の充実、防災気象情報等の情報と地方自治体が発令する避難勧告等の避難情報の連携、高齢者など要配慮者の避難の実効性の確保、防災情報の確実な伝達――といった対策を進める方針を打ち出した。消防庁も、内閣府等の関係府庁と連携し、これまで以上に地方公共団体への支援等に取り組んでいくとした。

 大規模地震対策でも、いくつかの課題が浮上した。大阪北部地震ではブロック塀が倒壊して人的被害が発生したことから、避難道路沿いの一定規模以上のブロック塀については平成31年から、耐震診断が義務付けられることになった。火力発電所が停止して道内全域で大規模な停電が発生した北海道地震を受け、国は昨年9月、国民の生命を守る重要インフラの緊急点検を実施した。消防庁でも、都道府県・市町村の衛星通信回線等の非常用通信手段や防災行政無線について緊急点検を実施、結果を踏まえて非常用通信手段確保等のため必要な対策を実施する予定という。

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墜落事故があった消防防災ヘリコプターについて特集

 昨年の災害対応に続く「特集3」は、「消防防災ヘリコプターの安全運航体制の強化」になった。昨年8月10日、群馬県防災ヘリコプターが墜落事故を起こしたことは記憶に新しい。白書によると、平成21年以降、消防防災ヘリコプターの墜落事故は群馬の事故を含めて4件発生し、26人の消防職員等が亡くなっており、「極めて憂慮すべき事態となっている」。

 4件の事故の概要は次の通りだ。

 岐阜県の北アルプスで平成21年9月、岐阜県防災ヘリコプターが墜落、搭乗していた3人が死亡した。また、翌平成22 年7月には、埼玉県秩父市の山中で埼玉県防災ヘリコプターが墜落、搭乗していた5人が亡くなった。このふたつの事故は、いずれも山岳地帯での救助活動中に発生、ホバリング中に機体の一部が岩壁や樹木に接触したことが原因だったという。

 平成29年3月には、長野県で事故があった。松本空港を離陸し、訓練予定場所へ向けて飛行していた長野県消防防災ヘリコプターが同県鉢伏山付近(松本市と岡谷市の境界付近)で墜落、搭乗していた9人全員が死亡した。国土交通省の事故調査報告書によると、山地を飛行中に樹木に衝突したことが事故原因と推定された。

 そして平成30年の群馬県の事故だ。群馬ヘリポートを離陸した群馬県防災ヘリコプター「はるな」は、着陸予定時刻を過ぎてもヘリポートに着陸せず、行方不明になった。その後、機体の一部が群馬県吾妻郡中之条町横手山付近で発見され、同機の墜落が確認された。捜索・救助活動の結果、搭乗していた9人全員の死亡が確認された。同機は、山岳遭難の発生に備えた訓練のために飛行していたという。国土交通省運輸安全委員会が事故原因等を調査中だ。

消防防災ヘリコプターは全国で75機が運航、災害対応等に活躍

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 白書によると、消防防災ヘリコプターは平成30年11月1日現在、全国で75機が運航、その機動性を生かして、地上から接近困難な場所における救助・救急活動、山林火災における空中消火活動などに活用されている。

 昨年の大規模災害でも活躍した。平成30年7月豪雨では、緊急消防援助隊として多数の消防防災ヘリコプターが出動し、浸水で孤立した多数の住民を救助。平成30年北海道胆振東部地震でも、斜面崩落によって孤立した住民を助け出したという。

 消防防災ヘリコプターの墜落事故が発生するたびに、消防庁は事故の再発防止策等に関して検討し、ヘリコプターを運航する地方公共団体に助言してきている。昨年の群馬の事故後も、安全管理体制の再点検、飛行時の安全確保の徹底などを養成する通知を出している。

 白書は、「国民の安心と安全を守るための消防防災ヘリコプターが、相次いで墜落事故を起こしていることを全ての関係者は極めて重く受け止め、今一度安全な運航体制の実現に全力で取り組む必要がある」と述べている。安全運航はすべての活動の前提になる。国民の安全はもとより、活動する職員らの安全のためにも、事故がこれ以上繰り返されないことを願っている。