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全国の市町村で業務継続計画の策定進む

2019.01.31

 災害発生時、市町村などの地方公共団体は災害対応の主体として重要な役割を担う。それだけに懸念もある。大規模災害の場合、行政自らも被災する可能性があるうえ、ぼう大な量の業務が一時に集中して行政機能がマヒしかねない。

 このような事態に備え、多くの地方公共団体は「業務継続計画」を策定している。これまで、策定が遅れていた市町村でも、策定する団体が順調に増えている。

すべての都道府県、約8割の市町村で策定済みに

 総務省消防庁の調査によると、平成30年6月1日現在、都道府県の100%、市町村の80.5%が業務継続計画を策定している。

 市町村は、全国1,741団体中1,402団体が策定済みと回答、これは前年(平成29年6月)より285団体の増加、伸び率はプラス16.3%だった。また、平成30年度中の策定予定を含めると1,557団体、89.4%にまで増える見込みという。

 都道府県の場合は、平成28年4月の段階で全国47のすべての団体の策定が完了している。

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 都道府県別策定状況をみると、都道府県単位では市町村の策定率が100%というところも多い。

 具体的には、北海道、秋田、茨城、福井、静岡、大阪、兵庫、和歌山、鳥取、島根、山口、徳島、香川、愛媛、熊本の15道府県がすでに達成しており、埼玉、石川、奈良、岡山、広島、大分、宮崎の7県が今年度中に達成予定となっている。

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災害時に取り組む業務をあらかじめ特定

 大規模災害が発生すれば、行政自らも被災する。人的、物的資源を十分に活用できない状況で、地域防災計画に基づく災害応急対策に取り組むことになる。通常業務のうち災害時であっても継続しなければならない業務も数多い。

 地方公共団体における業務継続計画とは、こうした「非常時優先業務」を特定し、業務を実施する体制や対応の手順、業務継続に必要な資源などの確保等をあらかじめ定めておくものだ。これにより、災害発生時の業務を迅速、的確に処理することを目指す。地方公共団体にとっては、災害時の対応の指針になる重要な計画となる。

 内閣府が作成した「大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引き」は、地方公共団体の業務継続計画において特に重要な6つの要素をあげている。すなわち、(1)首長不在時の明確な代行順位および職員の参集体制(2)本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定(3)電気、水、食料等の確保(4)災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保(5)重要な行政データのバックアップ(6)非常時優先業務の整理――の6点だ。総務省消防庁の調査では、これら6つの要素についても各市町村の策定状況を細かく確認している。

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応援の円滑な受け入れが業務継続計画の実効性を高める

 市町村の災害対応では、業務継続計画の策定に加えて、受援体制の整備も大きな課題になっている。

 「平成28年熊本地震」では、被災地外の地方公共団体や防災関係機関などさまざまな種類の応援が、災害対応に大きな役割を果たした。一方で、被災地方公共団体における受援体制が十分に整備されていなかったことから、多くの混乱が見られたという。

 内閣府は平成29年3月 、「地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン」をとりまとめ、地方公共団体は、「災害時の受援(応援の受入れ)体制」をあらかじめ整備しておくべきだと提言。適切に応援を受け入れることが、非常時優先業務の継続に必要な資源を確保し、業務継続計画の実効性を高めると指摘した。

 実際に「平成30年7月豪雨」では、大規模災害の対応経験がある自治体職員による応援が、被災自治体の体制強化に大きく貢献した。被災自治体を支援するパートナーの自治体を決め、応援職員を派遣する「対口(たいこう)支援」と呼ばれる方式の支援が成果を上げたといい、こうした支援が、被災自治体でのマンパワー不足を補う有力な対策になると期待されている。