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全国の消防団員数、85万人を下回って過去最少を更新

2018.11.18

総務省消防庁によると、今年4月1日時点の全国の消防団員数は84万3,661人で過去最少だった前年度を6,670人下回り、最少記録を更新した。消防団員数の減少に歯止めがかからない状況が続いている。

一方、女性団員や学生団員は大きく増え、過去最多となった。

全国すべての市町村で活躍する消防団員

最初に、日本の消防制度の基本を確認しておこう。そもそも消防の役割とは、住民の生命や身体、財産を火災から保護したり、水害や地震などの災害による被害を軽減したりすることにある。消防という重要な役割の担い手について、消防組織法は「市町村は区域内の消防の役割を十分に果たすべきである」と定めている。つまり、市町村が担うべき重要な仕事のひとつが消防ということになる。

さらに具体的に消防の担い手は誰かとの観点から地域を眺めると、多くの地域には消防署もあれば、消防団もあることに気づく。これらは何か違うのだろうか? そう、日本の消防機関には2種類ある。消防署などの「常備消防」と消防団という「非常備消防」の2つだ。さきほどの消防組織法ではこう定めている。「市町村は、その消防事務を処理するため、消防本部、消防署、消防団の全部または一部を設けなければならない」と。

平成29年版消防白書によると、平成29年4月1日の全国の消防本部数は732本部あり、ほとんどの市町村には常備消防が設置されている。しかし、いまだ設置されていない市町村も全国7都県に29町村ある。このうち1都3県の21町村が島しょ地域だという。一方の消防団は、全国すべての市町村に設置されており、平成30年4月1日現在で2,209消防団、2万2,314分団を数えている。

2つの消防機関にはその他にも違いがある。常備消防の職員である消防士はフルタイムで勤務する。だから「常備」なのだ。一方の消防団員は、自営業や会社勤めなどほかに職業をもち、災害や訓練がある場合に出動する。つまり、身分としては、常備消防の職員は一般職の地方公務員であり、消防団員は非常勤特別職の地方公務員となる。

被雇用者団員比率が高まるほど団員数は減少

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すべての市町村に置かれているという点からも、消防団が地域において果たしている役割は極めて大きさことがわかる。ところが、冒頭述べたように、肝心の消防団員数は減少の一途をたどっているのだ。

総務省消防庁がこのほど公表した「消防団の組織概要等に関する調査の結果」の速報値によると、今年4月1日現在の全国の消防団員数は84万3,661人で過去最少記録を更新した。

昭和29年以降の団員数の推移を示したグラフを見ると、それまで全国で200万人以上を数えた団員数は、昭和30年に200万人を割り込み、平成2年にはさらに半減して100万人を下回った。昭和、平成を通じて、団員数は一貫して減少している。

今年は前年から6,670人、率にして0.8%の減少となった。消防庁は「定年や役員の任期満了に伴う退団、消防団の組織改編に伴う退団、本業の多忙による退団等」が団員減少の主な原因であると分析している。

消防団員が一貫して減少していることの大きな要因のひとつに、過去数十年の就業構造の変化があると考えられている。自営業者などが減る一方で、会社などに勤務する被雇用者が増えているのだが、被雇用者の立場では消防団活動に自由に時間を割くことは難しい。

平成30年、消防団員に占める被雇用者団員比率は73.5%となり、過去最高を更新した。過去の経過を見ても、昭和40年には26.5%だったものが、昭和50年に42.8%、昭和60年に54.5%、平成7年に64.4%、平成22年に70.5%を記録した。被雇用者の占める割合が高まるにつれて、消防団員数は減少してきていることがわかる。

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女性や学生、機能別団員は順調に増加

消防団員数の減少に歯止めをかけようと、ここのところ力を入れているのが、女性団員や学生団員、機能別団員を増やす取り組みだ。

今年4月1日現在、女性消防団員数は2万5,962人となり、前年より1,015人増加した。女性団員がいる消防団数の割合は全体の71.2%と7割を超え、女性団員数が消防団員全体に占める割合は約3.1%になった。

学生団員も順調に増えている。今年4月1日現在で4,518人となり、昨年より523人増えた。消防団活動に取り組む学生の就職活動を支援する「学生消防団活動認証制度」を導入する消防団は全国で266団体になった。

機能別団員制度とは、火災予防や広報活動など、特定の活動だけを担当することで消防団活動に参加しやすくする取り組みだ。同制度を導入する市町村は447団体と前年より50団体増え、機能別団員数も2万1,044人と前年より2 2,040人増加して2万人の大台を超えた。

消防団員を雇用するなど、地域防災力の向上に貢献していることが認定された「消防団協力事業所」も全国の1,283.市町村で1万4,394事業所を数え、過去最多だった。

地域において火災を予防し、災害被害を軽減するために活動する消防団。団員は、常備消防と協力して地域防災力を高めるために日夜奮闘している。地域住民の一員として、私たちはその意義をしっかり認識すべきだし、可能な範囲でその活動に協力していく姿勢が求められている。