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2つの高気圧の張り出しが異常気象の要因~気象庁検討会

2018.08.17

気象庁は10日、「異常気象分析検討会」の臨時会を開き、豪雨や高温といった今年7月の異常気象の要因などについて分析、検討会としての見解を取りまとめた。

この時期、日本の上層のジェット気流が大きく蛇行し続けていたことなどが気象的な要因と考えられるという。

高気圧に挟まれて停滞した梅雨前線

異常気象分析検討会は、2007年6月から気象庁が運営している組織。社会経済に大きな影響を与えるような異常気象が発生した場合に、大学や研究機関の専門家の協力を得て分析・検討し、発生要因などに関する見解を迅速に公表することが目的。猛暑や豪雪、暖冬など、大気大循環の異常を主な要因とし、比較的長期間(2週間程度)続いた異常気象を検討の対象にしている。

毎年3月に定例会を開くほか、異常気象が発生するたびに分析結果を発表する。今年は7月13日に「平成30年7月豪雨」について報道発表したばかりだった。

今年の7月が、これまでに経験したことがないような大雨と高温が発生した月であったことは、検討会が取りまとめた資料からも改めて確認できる。その一部を抜粋してみよう。まずは、平成30年7月豪雨の特徴について。

発表資料によると、今年の豪雨の特徴は次の通りだ。

●西日本から東海地方を中心に全国の広い範囲で記録的な大雨となった。四国地方で1800ミリ、東海地方で1200ミリを超えたところがあるなど、7月の月降水量平年値の2~4倍となったところがあった。

●10日(旬)ごとの統計によると、2018年7月上旬(7/1~10)の全国の降水量の総和は約20万8000ミリ(全国のアメダス966地点)に上り、1982年1月上旬以降で過去最大となった。平成26年8月豪雨(約17万ミリ)、平成27年9月関東・東北豪雨(約13万ミリ)、平成29年7月九州北部豪雨(約9万ミリ)など、近年の豪雨災害を大きく上回る雨量だった。

●特に、7月5日から7日までの3日間の降水量が多かった。この3日間の全国の総雨量は約14万ミリ(1地点あたり145.5ミリ)となって過去最大だった。

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これほど広範囲で、かつてないほどの大雨が降ったのはなぜだろうか。検討会資料はこう続ける。

7月5日から8日にかけて、西日本付近に停滞した梅雨前線に向かって日本の南の海上から多量の水蒸気が流れ込んだ。湿った空気は記録的な大雨を降らせ、局地的に多数の線状降水帯を発生させた。

梅雨前線は、非常に発達したオホーツク海高気圧と日本の南東に張り出した太平洋高気圧に挟まれ、長期間同じ場所に停滞した。ふたつの高気圧の勢力が発達したのは、上層の寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流の大きな蛇行が持続したことが影響した。

今夏は亜熱帯ジェット気流がたびたび大きく蛇行しており、6月下旬に発生した蛇行は、関東甲信地方の歴代最も早い梅雨明けをもたらしているという。

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高温の原因も2つの高気圧の張り出し

8月に入ってようやく、酷暑も和らいできたが、7月の高温は大変なものだった。

●梅雨前線が北上して豪雨が終息すると、今度は太平洋高気圧の勢力が著しく強くなり、北・東・西日本で気温が高い状態が続いた。東日本の月平均気温は平年より2.8度も高くなり、1946年に統計を取り始めてから最も高温の7月となった。

●猛暑日や真夏日となる地点も多く、7月23日には埼玉県熊谷市で国内最高の41.1度を観測するなど各地で40度を超えた。7月中旬以降、アメダス各地点において観測史上最も高い気温を観測した地点は130地点に上った(8月9日現在)。

異常な高温は、太平洋高気圧とチベット高気圧が日本付近に張り出し続けたことが原因だった。高気圧の暖かい空気は日本を覆い、晴天による強い日射は気温をどんどん上昇させた。

チベット高気圧の張り出しは上層の亜熱帯ジェット気流の蛇行がもたらした。一方の太平洋高気圧の張り出しは、このジェット気流の蛇行に加え、フィリピン付近の積雲対流活動が平年より活発だったことにも影響されたという。

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大雨や高温の背景には、地球温暖化に伴う水蒸気量の増加や気温の上昇があると考えられている。実際、異常気象は世界的な規模で発生している。

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気象庁の向こう1か月(8/11~9/10)の予報によると、北・東・西日本では、暖かい空気に覆われやすいため、向こう1か月の気温は高くなりそう。特に、東・西日本では、気温の高い状態が続き、期間の前半はかなり高くなる見込みという。引き続き、暑さへの警戒が必要だ。