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「平成30年7月豪雨」は平成最悪の豪雨災害

2018.07.16

「平成30年7月豪雨」が発生し、西日本を中心とした広い範囲に甚大な被害をもたらした。多くのメディアは「西日本豪雨」と呼んでいる。

災害発生から1週間が過ぎた。被災地では、酷暑のなか、行方不明者の捜索や土砂の除去などの応急復旧活動が全力で進められている。

犠牲者の数は200人を超えた。豪雨による人的被害としては、平成に入って最悪の災害となった。

大雨特別警報、過去最多の11府県で発表

気象庁の観測によると、西日本に停滞した梅雨前線と台風7号の影響で西日本から東海地方にいたる広い範囲で記録的な大雨が降った。

6月28日から7月8日までの総降水量は、四国地方(高知県安芸郡馬路村)で1852.5ミリ、東海地方(岐阜県郡上市ひるがの)で1214.5ミリなどを記録した。高知県長岡郡本山町で期間降水量(6/28~7/8)が平年(7月の月間降水量)の449%に達するなど、近畿や四国の広い範囲で平年の7月の2~4倍の雨が降った。各時間の降水量が観測史上1位となったところも多く、48時間降水量は全国124地点、72時間降水量は122地点で観測記録を更新した。

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7月6日から8日にかけて、気象庁は以下の通り矢継ぎ早に大雨特別警報を発表し、最大級の警戒を呼びかけた。

  • ● 6日18時10分、福岡県、佐賀県、長崎県に特別警報
  • ● 同20時40分、広島県、岡山県、鳥取県に特別警報
  • ● 同23時50分、京都府、兵庫県に特別警報
  • ● 7日13時50分、岐阜県に特別警報
  • ● 8日6時50分、 高知県、愛媛県に特別警報

大雨特別警報は、台風や集中豪雨によって「数十年に一度」の降水量が予想される場合に発表される。従来の警報をはるかに上回る規模の被害が発生する恐れが著しく高まったときに、最大級の警戒を呼び掛けることを目的に出される。2013年に導入された。

平成29年7月九州北部豪雨、平成27年9月関東・東北豪雨などでも複数の県にまたがって発表されたことはあるが、今回のように11府県に出されたことはない。この一点だけでも、今回の豪雨がいかに尋常ならざるものだったかがわかる。

広島県、岡山県、愛媛県の3県で多かった犠牲者

菅官房長官は16日午前に開いた臨時の記者会見で、今回の豪雨災害の人的被害について、「死者219人、行方不明者21人、安否不明であると通報があり、いまだに安否が確認されていないのは1件1人」であると発表した。同日現在、警察、消防、自衛隊、海上保安庁が6万4000人、ヘリ等81機の体制で捜索・救助に当たっているという。

また、これとは別に総務省消防庁が16日13時45分現在でまとめた被害の状況によると、今回の豪雨による死者は全国13府県で211人、行方不明者は18人。負傷者は重傷53人、軽傷194人など。死者が多かったのは広島県(100人)、岡山県(61人)、愛媛県(26人)。この3県で死者全体の9割近くを占めた。

また、住家の全壊は401棟(全国14府県)、半壊は347棟(同13府県)、一部破損は861棟(同26道府県)、床上浸水9915棟(同22道府県)、床下浸水1万7008棟(同29道府県)などとなっている。

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気象庁が命名する大規模な気象災害は毎年のように発生

豪雨災害で死者が100人を超えるのは「昭和58年7月豪雨」以来のことだという。今回の豪雨は、平成以降では最悪の人的被害を出した災害になった。

気象庁の資料によると、昭和58年7月豪雨では島根県を中心に大雨になり、死者112人、行方不明者5人、負傷者193人の人的被害があった。住家全壊は1098棟、半壊2040棟、床上浸水7484棟、床下浸水1万1264棟などだった。

犠牲者100人以上は30数年ぶりということなのだろうが、毎年のように大規模な豪雨災害が頻発しているのは間違いない。

気象庁は、「損壊家屋等1000棟程度以上または浸水家屋1万棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害」といった顕著な被害が認められる気象災害(台風を除く)が発生した場合、名称を定めてその災害の教訓を後世に伝承することにしている。今回の豪雨も、今月9日に気象庁が「平成30年7月豪雨」と命名した。

平成26年以降の過去5年で気象庁が命名した気象災害を振り返ってみる。

「平成26年8月豪雨」では広島市で大規模な土砂災害が発生し、74人が犠牲になった。「平成27年9月関東・東北豪雨」では茨城県常総市で鬼怒川が大規模に決壊した。昨年の7月には「平成29年7月九州北部豪雨」あったばかりだ。福岡県や大分県の山間部で大きな被害があり、山間部の豪雨災害対策に課題を残した。

そして今回だ。過去5年間で4回も気象庁が命名するほどの大規模な気象災害が発生していることになる。

今回の豪雨災害は、被害が広範囲に及び、多数の死者が出た。市街地が大規模に浸水したり、住宅地近くで土砂災害が発生したりするなど、過去と同様の悲劇が繰り返された。行政からの避難の呼びかけや住民自身の避難行動に問題はなかったのか、過去の豪雨災害の教訓は生かされたのか、生かされなかったのか――。

応急対策が一段落すれば、今回の災害の問題点の数々が明らかになっていくはずだ。本ブログでも引き続きフォローしていく。