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平成28年中の火災、発生件数が過去10年で最少

2017.06.18

総務省消防庁は4月25日付で、平成28年中の火災の概要を取りまとめて公表した。

概数であって確定値ではないが、このところの火災発生の減少傾向は続いており、平成28年中の火災発生件数、火災による死者数は過去10年で最も少なかった。

平成28年中の総出火件数は3万6,773件、前年比6.0%の減少

総務省消防庁が公表した「平成28年中(1月~12月)における火災の概要(概数)」によると、昨年中の総出火件数は3万6,773件だった。1日あたり約100件、14分ごとに1件の割合で火災が発生したことになる。

火災の種別でみると、「建物火災」2万964件、「車両火災」4,041件、「林野火災」1,029件、「船舶火災」71件、「航空機火災」3件、「その他火災」1万665件となった。

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前の年の平成27年と比較してみよう。

出火件数は対前年比2,338件、6.0%と大きく減少した。建物火災の減少率は5.6%、このうち住宅火災に限ると6.4%減となり、減少幅はより大きかった。

平成28年中の死者は1,445人、負傷者は5,859人

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昨年1年間の火災による死者は1,445人。1日あたり3.9人、25.4件の火災に1人の割合で死者が発生した。

火災種別ごとの内訳は、「建物火災」1,112人、「車両火災」123人、「林野火災」7人、「船舶火災」1人、「航空機火災」0人 、「その他火災」202人だった。火災による負傷者は5,859人だった。

建物火災における死者1,112人のうち、住宅火災の死者は981人で、そこからさらに放火自殺者等を除いた死者数は879人だった。

建物火災の死者に占める住宅火災の死者の割合は88.2%に上った。これは建物火災の出火件数に占める住宅火災の割合54.0%と比較して非常に高かった。住宅火災が人的被害に直結する危険な火災であることが改めて示された。

死者に高齢者に多いことも最近の特徴だ。平成28年の場合、住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)879人のうち、65歳以上の高齢者は612人おり、全体の69.6%を占めた。

住宅火災の経過別死者数を見ると、「逃げ遅れ」433人、「着衣着火」35人、「出火後再進入」14人、「その他」397人となった。逃げ遅れ433人のうち65歳以上の高齢者は312人、72%を占めた。

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総出火件数の36,773 件を出火原因別にみると、「放火」3,563件(9.7%)、「たばこ」3,473件(9.4%)、「こんろ」3,122件(8.5%)、「放火の疑い」2,210件(6.0%)、「たき火」2,108件(5.7%)の順だった。「放火」および「放火の疑い」を合わせると5,773 件(15.7%)を占めた。

過去10年間の発生件数・死者数等の推移は明確な減少傾向

「火災の概要(概数)」は、過去10年間の火災の推移をグラフにしている。

発生件数をみると、減少傾向が続いていることがよくわかる。平成23年から25年までは横ばいだったが、26年以降はしっかり減っている。

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死者の推移も同様だ。平成28年は初めて死者数で1,500人を下回った。放火自殺者を除いた死者も初めて1,100人台にまで減った。

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住宅火災における放火自殺者を除く死者も減っている。平成27年に初めて1,000人台を下回って914人という最少記録を出したが、昨年はこれをさらに下回って800人台にまで減った。

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「唯一」気がかりがあるとすれば、住宅火災の高齢者の死者だろう。昨年の612人は、前の年よりも1人増えている。

全体の死者が減っているから、高齢者が占める割合は66.8%から69.6%へと3ポイントあまり上昇した。死者に占める高齢者の割合は、10年前に比べると横ばいかむしろ上昇傾向にある。

火災の減少、消防庁の着実な対策が奏功

「火災の概要(概数)」は、これまでの消防庁の防火の取り組みについても簡単に紹介している。

住宅防火については平成16年に消防法改正があり、住宅用火災警報器がすべての住宅に設置することが定められた。新築住宅は平成18年から、既存住宅も平成23年までに全市町村で設置が義務化された。

住宅防火に関する普及・啓発活動として消防庁は平成28年度、全国4か所で住宅防火防災推進シンポジウムを開催した。住宅防火・防災キャンペーンや年2回の全国火災予防運動などでも住宅防火の重要性をPRしている。

火災が着実に減少してきているのは、消防庁が取り組んできた地道な対策が奏功しているからだ。