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活発化する全国の火山――草津白根山や霧島連山

2018.05.20

今年1月23日、群馬県と長野県の県境にある草津白根山が噴火した。近くのスキー場で訓練中だった自衛隊員1人が噴石に当たって死亡、ほかの隊員やスキー客など11人が重軽傷を負った。火山噴火による死者の発生は、2014年の御嶽山(長野と岐阜の県境)以来のことだった。

人的被害を伴う火山災害が年明け早々に発生したことに、活発な火山活動が今年も継続するのだろうと受け止めた人は少なくなかったはずだ。案の定、その受け止めは間違っていないようだ。列島のあちこちで、火山は今年も活発な活動を続けている。

大きく変動する全国の火山の噴火警戒レベル

気象庁の資料から、日本列島の最近の火山活動を確認してみよう。

気象庁ウェブサイトの今年1月以降の「新着情報」から、噴火警戒レベルの上げ下げに関連した発表情報をピックアップしてみた。

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視覚的に把握するために、火山分布地図も見ておこう。

気象庁が毎月発表している「全国月間火山概況」には、「火山現象に関する警報を発表中の火山」の地図が掲載されている。昨年12月以降の地図を並べたものだ。

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今年に入ってからの日本列島の火山活動はおおよそ以下の通りだ。

1月、「草津白根山」と「蔵王山」(宮城・山形の県境)の噴火警戒レベルがそれぞれ3と2に引き上げられた。

2月、宮崎と鹿児島の県境に広がる霧島連山の活動がにわかに活発化。「霧島山(御鉢)」と「霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)」がレベル2になった。

3月、蔵王山と霧島山(御鉢)で噴火警戒レベルが1へと引き下げられる一方で、「薩摩硫黄島」(鹿児島県)はレベル2へ引き上げ。レベル3(入山規制)が続いている「霧島山(新燃岳)」では噴火が相次ぎ、警戒が必要な範囲が「2?→3?→4?→3?」と目まぐるしく変動。草津白根山では、「草津白根山(本白根山)」を対象とする噴火警戒レベルが新たに設定され、本白根山はレベル2として運用を開始すると気象庁が発表した。

4月、「口永良部島」(鹿児島県)と薩摩硫黄島はそれぞれレベル2とレベル1へ引き下げ。一方で、霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)はレベル3へとさらに引き上げられ、前月の本白根山の噴火警戒レベル新設によりレベル1と評価されていた「草津白根山(白根山(湯釜付近))」がレベル2へ引き上げられた。

5月に入って霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)のレベルが引き下げられ再びレベル2に――。

なんとも、あわただしい噴火警戒レベルの上下動ではないか。

資料「全国月間火山概況」の地図は、公表時期との兼ね合いから、必ずしも各月末日の状態を示しているわけではないが、いずれにしても、九州から東北にかけた広い範囲で、火山活動が盛んになったり衰えたりしている様子が把握できるだろう。

本白根山、白根山のそれぞれに噴火警戒レベルを設定した「草津白根山」

上記時系列でみた通り、この間、草津白根山の噴火警戒レベルの扱いについて変更があった。

3月15日、気象庁は「 草津白根山(本白根山)を対象とする噴火警戒レベルを新たに設定し、3月16日14時より運用を開始する」と発表した。

気象庁は従来、白根山、本白根山などの山々を総称した「草津白根山」として、火山情報を出してきた。24時間の観測を続けていたのも近年噴火を繰り返していた白根山であり、今年に入って噴火した本白根山の観測は手薄だった。噴火を受けて、気象庁は本白根山の観測態勢を強化。噴火警戒レベルについても、本白根山と白根山(湯釜付近)のそれぞれに設定することにした。

新設定では、「草津白根山(本白根山)」は「噴火警戒レベル2(火口周辺規制)」、「草津白根山(白根山(湯釜付近))は「噴火警戒レベル1(活火山であることに注意)」であるとされた。

4月22日の発表は、3月の段階で噴火警戒レベル1と評価されていた白根山(湯釜付近)がレベル2に引き上げられたことを意味している。前日の21日から、火山性地震が増加したことによるという。

霧島連山での活動も活発化、新燃岳と硫黄山で噴火

霧島連山における火山活動も極めて活発だ。

昨年10月に噴火し、噴火警戒レベル3に引き上げられていた新燃岳に加え、御鉢と硫黄山の活動が活発化。3月6日には新燃岳が7年ぶりに爆発的噴火を起こし、同25日には小規模の火砕流が確認された。

4月5日には新燃岳で推定8000メートルの噴煙を巻き上げる爆発的噴火が起こり、19日には硫黄山が1768年以来、250年振りに噴火した。その後、硫黄山の噴火は小康を保ち、噴火警戒レベルも引き下げられたが、新燃岳では今月に入っても噴火が続いている。

今月は、世界的にも有名な米国ハワイ島のキラウエア火山も爆発的噴火を繰り返している。燃えたぎる溶岩が流れ出す映像は、地球がどくどくと出血しているようで実に痛々しい。住宅に被害が出ているほか、住民2000人が避難しているという。

ゴールデンウィークは過ぎたが、夏休み、秋の連休と行楽シーズンは続く。草津白根山のように冬場はスキーでにぎわう場所もある。御嶽山の噴火災害も思い出そう。火山とどう折り合いをつけていくのかは、地元住民だけではなく、「火山国」に住む私たち全員が向き合うべき問題だ。