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「大規模災害団員」でマンパワー確保へ

2018.04.17

地域防災の中核としての役割を期待され、実際の災害現場でもその力を存分に発揮している消防団だが、人員の確保には相変わらず苦労している。最新の調査でも団員数の減少に歯止めがかからない状況が続いている。

総務省消防庁はこのほど、消防団員の確保策等に関する検討会の報告書を公表。大規模災害時に限定して活動する「大規模災害団員」という新たな枠組みを提示し、マンパワーの確保に一層注力していくことを強調している。

平成29年の消防団員、85万418人と過去最少を更新

総務省消防庁の調査によると、平成29年4月1日現在の全国の消防団員数は85万418人。前年より5,860人減って過去最少を更新した。

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昭和20年代までは全国で200万人以上を擁した消防団。その後は一貫して減り続け、昭和30年(1950年)に200万人を割り込み、その40年後の平成2年(1990年)には100万人を下回った。

産業構造の変化に伴って消防団員に占める被雇用者の割合(被雇用者団員比率)は年々高まり、平成29年には73.4%と過去最高を記録。少子高齢化の進展によって平均年齢も40.5歳(平成28年)と、これも過去最高にまで高齢化した。

団員数の減少に歯止めをかけようと、近年力を入れてきたのが女性団員や学生団員の確保だ。どちらも年々増加しており、平成29年には女性団員約2万5,000人、学生団員約4,000人を数えた。

また、日頃の火災予防や広報など、特定の活動や役割に従事する「機能別団員制度」を導入する団も毎年増えている。平成29年現在、機能別団員制度を導入する全国の市町村は397団体、団員数は約1万9000人に上っている。

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大規模災害対応、現状の団員数では「不足」が7割

全体が減少するなかで機能別団員は増えているのだから、消防団の中核としてすべての災害に幅広く対応する「基本団員」は大きく減少していることになる。実際、平成29年の基本団員は前年から8,369人も減少、過去5年でも最大の減少幅だった。

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団員数の減少は、現場の消防団にとっても懸念材料だ。

総務省消防庁が全国の市町村を対象にしたアンケート調査によると、現在の団員数が消防団活動を行うにあたって十分かどうかの設問に対して、足りているとの回答は半数に満たず、不足しているとの回答が約4割を占めた。団員数が不足していることによって活動に支障が出ているとの回答も約15%あった。

大規模災害を想定すると、さらに懸念の度合いは増す。現在の団員数で大規模災害を対応できるかどうか聞いたところ、「通常時活動は足りているが、大規模災害対応には不足」「通常時も大規模災害対応も不足」が合わせて約70%に上った。

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大規模災害に限定して出動する「大規模災害団員」

女性や学生、機能別団員が増加している一方で、基本団員は減少を続けており、大規模災害への対応に不安を覚えている消防団が多い――。

このような消防団の現状を踏まえ、総務省消防庁は「大規模災害団員」の導入を打ち出した。

大規模災害団員は、通常の火災などではなく、大規模災害時に限定して出動し、基本団員だけでは対応できない業務に従事する。これによって、大規模災害発生時の人手不足が解消され、基本団員の負担を減らせるはずだ。基本団員はその分、高度な技能が必要な消火・救助活動等に専念できるようになることも期待できる。

具体的には、被害が広範囲に及び、避難勧告の発令や避難所開設等が必要な風水害、震度5強以上の地震や津波警報が発表された場合に出動。基本団員が消火・救助・警戒活動等に従事する間に、災害情報の収集や報告、住民への伝達や避難誘導、安否確認、避難所運営支援などの活動を担う。

大規模災害団員が地域の事業所の従業員であれば、重機を使った道路啓開など、事業所所有の資機材を用いて組織として災害活動に従事することも考えられる。

検討会報告書を受けて総務省消防庁は今年1月、消防庁長官通知「消防団員の確保等に向けた重点取組事項について」を各都道府県等に出し、大規模災害団員制度の積極的な活用を要請した。

地域防災に興味を抱いているものの、仕事との両立が難しいために、これまで消防団への参加を見合わせていた人や事業所は、大規模災害団員としての参加を検討してみてはどうだろうか。興味のある向きは、ぜひ最寄りの消防署等に問い合わせてみよう。