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ペットの災害対策ガイドラインが改訂(2)

2018.03.31

前回は、ペットを災害から守るための対策の必要性を学んだ。今回は引き続き、新ガイドラインに示された具体的な対策のポイントを見ていこう。

特に、飼い主が取り組むべき平常時の備えと災害発生時の行動を中心に確認したい。

ペットの災害対策も「自助」が基本

新ガイドラインは、総説と本編の2部構成。総説では、ガイドライン策定の背景や目的など、ペットの災害対策をめぐる基本的な事柄について説明している。

「災害対応における基本的な視点」として、最初に挙げられているのが「災害時の対応は飼い主による『自助』が基本」であるという点だ。一般に災害対策は、自分自身を守る「自助」、地域で力を合わせて守る「共助」が基本であると言われるが、これはペットの飼い主にとっても変わらないとガイドラインは述べている。

災害発生時を想像してみれば、よくわかる。発災直後、公的機関による「公助」はまず、被災者の救出・救護に全力をあげる。人の生命と身体の安全確保が何よりも優先されるのは当然だ。そうであれば、災害時にペットの安全を確保し、なおかつペットが他者に迷惑をかけないように、飼い主は責任をもって飼養管理に努める必要があるだろう。

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ガイドラインは、飼い主に求められる基本的な心構えを上表のように列挙。そのうえで、飼い主がペットの防災について普段から備えることは、「自分自身や家族、さらには地域の防災力の向上にもつながる」と指摘し、ペットの災害対策における自助の重要性を強調している。

平常時と災害時の対応

では、飼い主が取り組むべき対策とは具体的にはどのようなものだろうか。ガイドラインは、平常時と災害時のそれぞれの主な対策を次のように例示している。

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ペットを災害から守ることは、飼い主の責務だ。これは換言すれば、発災時に飼い主が無事でなければ、ペットの安全を確保できないということでもある。平常時においては、住まいの耐震補強や家具の固定等の対策を実施することが前提になる。ペットの災害対策を検討することは、取りも直さず、飼い主自身の災害対策を進めることでもあるわけだ。

避難に備えた準備は大切だ。発災時、飼い主とペットがすみやかに避難するためには、普段からペットをキャリーバッグ等に慣れさせておく、ほかの人や動物に対しておびえないようにしつけておくなどの対処が欠かせない。避難所や動物救護施設では、感染症にかかるなど、ペットが体調を崩す危険性も高い。普段から、予防接種やノミの駆除などを適切に実施し、健康・衛生管理に配慮しておきたい。

発災時の混乱の中では、ペットが迷子になってしまう恐れがある。迷子対策には、迷子札をつけたり、マイクロチップを装着したり(個体識別情報を格納した微小な装置を体内に埋め込んで登録機関に登録)といった対処が有効だ。ペット用の避難用品や備蓄品の確保、避難所や避難経路の確認、避難訓練への参加といった「定番」ともいえる防災対策も、重要であることは間違いない。

同行避難したペットの扱いに新たな提案

新ガイドラインで新たに注記されたり、追加されたりした記述もある。

ひとつは、「同行避難」と「同伴避難」という用語について。

新ガイドラインによると、内閣府の「避難所運営ガイドライン」(平成28年4月)には「同伴避難」という用語が用いられているが、ペットとともに安全な場所まで避難する行為が「同行避難」であるのに対し、被災者が避難所でペットを飼養管理する状態は「同伴避難」と呼ぶという。

熊本地震では、避難所の室内で人とペットが同居しようとする事例があり、さまざまなトラブルが発生した。新ガイドラインは同伴避難について、「避難所等で飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではなく、ペットの飼養環境は避難所等によって異なることに留意が必要」と述べている。

また、同行避難で避難所に連れてきたペットの扱いに関しては、いくつか新たな言及がある。

避難訓練などの際にペットの同行避難について住民同士で話し合う、飼い主が集まってペットの家族会などを結成し、地域で飼われているペットの種類や頭数などを把握するなど、平常時から地域でこの問題を共有しておくことが望ましいと指摘。このほか、親戚や友人宅など、避難所以外の複数の一時預け先を探しておきたいとも提言している。

ペットは家族と考える人もいれば、衛生面で好ましくないと考えていたり、そもそも動物が苦手だったりする人も珍しくない。災害時にペットをどのように守るのか、飼い主には相応の準備が求められている。