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防災に関する世論調査に見る「自助」「共助」

2018.02.28

内閣府はこのほど、昨年11月に実施した「防災に関する世論調査」の結果を公表した。

調査は、防災に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考にすることが目的。おおよそ2年から4年に1度の割合で定期的に実施されており、今回は東日本大震災後の平成25年12月に実施された前回調査以来約4年ぶりの調査となった。

前回調査以降に発生した大規模災害としては、平成26年の熊本地震、同年の御嶽山噴火、昨年の九州北部豪雨など全国各地で頻発する水害などがある。こうした災害が国民の防災意識にどのような影響を与えているのかなど、過去の調査結果と比較することでさまざまなことが見えてくる。

自然災害に遭うことを具体的に想像したことがある災害は「地震」

調査は全国の18歳以上の3000人が対象。昨年11月に調査員による個別面接で実施し、有効回収数は1,839人、回答率は61.3%だった。調査項目は多岐にわたるが、ここでは主だった調査結果をざっと見ていく。

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自分や家族が被害に遭うことを具体的に想像したことがある自然災害は何かを聞いたところ、「地震」を挙げた人が全体の81.0%と圧倒的に多かった。ほとんどの人は、自然災害と聞いてまっさきに地震をイメージするようだ。平成28年の熊本地震は、地震の発生確率がそれほど高くないと考えられていた地域で発生した。震度7を2度も観測し、強い余震が長期にわたって続発した。地震災害は報道量も多い。人々にとって、大規模な地震災害は最も強く印象づけられる災害となっている。

地震に続いたのは、「竜巻、突風、台風などによる災害」44.2%、「河川の氾濫」27.0%、「津波」20.4%などだった。前回25年調査との比較で目立つのは、河川のはん濫が19.6%から7ポイント以上も高くなったこと。集中豪雨などを要因として毎年のように発生する大規模な洪水被害の影響なのだろう。

その一方で、「火山噴火」を挙げた人は6.6%と前回の5.9%とほぼ変わらなかった。御嶽山の噴火以降、火山災害も増えているが、多くの人にとってはわが身に関わる災害とは必ずしも受け止められていないようだ。

自然災害に遭うことを「想像したことがない」と答えた人は11.1%いた。比較的災害の少ない場所はあるだろうが、熊本地震の例もある。全国どこに住んでいても、潜在的な自然災害の脅威があることはしっかり自覚すべきだろう。

災害時の対応で重視すべきは「自助」「共助」との認識高まる

今回の調査で特徴的なことのひとつは、「自助」「共助」を重視する意識が高まったことだ。

災害への対応の仕方には、自分の身を自分で守る「自助」、地域の安全を地域で協力して守る「共助」、公的機関による救助や支援である「公助」がある。3つの「助」のうち、国民は何を重視しているのか。

災害時の対応として最も多かったのは、「自助に重点をおくべき」の39.8%だった。次に多かったのは「自助、共助、公助のバランスをとるべき」で28.8%。以下、「共助に重点を置くべき」24.5%、「公助に重点を置くべき」6.2%と続いた。

前回調査と比べてみよう。

自助を重視する回答は約18ポイント増えてほぼ倍増。共助に重点も倍以上に増えた。反対に、3助のバランスを重視する回答は56.3%からほぼ半減、公助を重視するとの回答もわずかに減っている。

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阪神・淡路大震災以降さかんに強調されてきたが、大規模災害では公的機関の救助活動等にも限界がある。災害発生直後にわが身を守るためには、結局のところ適切な避難行動と日頃の備えが必要だ。東日本大震災や熊本地震等の経験を経て、こうした認識が広く共有されるようになってきたのだろう。

公助に求められる平時の自助・共助支援

自助や共助を重視する認識そのものは適切だろうが、問題はその内実だ。

大地震に備えている対策を挙げてもらった。

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どの対策も過半数には届いていない。

前回調査と比較すると、地震保険への加入や避難場所を決めている人たちは確かに増えているが、食料や飲料水などの備え、家具や家電の転倒対策等は横ばい、「特に何もしていない」も10%程度と前回と変わらない。

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調査ではさらに詳細を尋ねている。家具の対策ができていないのは、「やろうと思っているが先延ばしにしてしまっているから 」(36.0%)、「面倒だから」(20.3%)、「自分ではできないと思うから」(14.9%)。地震保険に加入していないのは、「保険料が高いから」(25.6%)、「地震保険だけでは、家を再建できないと思うから」(14.1%)、「地震保険の内容がよくわからないから」(12.9%)。

地方公共団体や自治会などが開く防災訓練への参加状況も、「参加したことがある」は40.4%と半数に満たない。これも前回調査時とほぼ変わっていない。自助、共助への認識は高まっても、「自分ではできない」「よくわからない」ために具体的な防災対策にまでは至っていない人も相変わらず多いということだ。

自助・共助ばかりが叫ばれて公助は後景に追いやられたのだろうか。否、そうではない。実は、ここにこそ公助の出番がある。発災時の公助の活動には確かに制限があるが、日常の備えにおいて公助の役割の重要性が減じることはありえない。公助としては、このような対策に戸惑う人たちを支援する取り組みに一層力を入れるべきだ。もちろん、私たち国民にも、公的な制度や事業を上手に活用して防災対策に積極的に取り組む姿勢が求められている。