1. ホーム
  2. レポート
  3. 防災の現場
  4. 平成29年の土砂災害、降雨・融雪によるものは過去10年で最多

平成29年の土砂災害、降雨・融雪によるものは過去10年で最多

2018.01.17

国土交通省はこのほど、平成29年中の土砂災害の発生件数の速報値を公表した。

地震を除いた降雨・融雪を原因とする土砂災害は、過去10年で最も多かったという。

人家被害は過去10年平均の倍以上の694戸

国土交通省が、全国の都道府県等からの報告に基づいて集計したところによると、平成29年中の土砂災害発生件数は1,467件だった。これは、過去10年で最大を記録した平成28年の1,492件に次ぐ多さだった。

死者・行方不明者は24人、負傷者は8人、人家被害は649戸だった。過去10年の平均と比較すると、死者・行方不明者は平均を下回ったものの、人家被害は平均の倍以上となって過去10年で最大だった。人家被害の内訳をみると、全壊248戸、半壊185戸、一部損壊261戸だった。

20180117_01.jpg

地すべり、がけ崩れはいずれも過去10年で2番目の多さ

土砂災害を現象別にみると、土石流等305件、地すべり165件、がけ崩れ997件となった。地すべりの発生件数は平成23年に次いで、がけ崩れの発生件数は平成28年に次いでそれぞれ過去10年で2番目に多かった。

発生要因別では、地震を除いた降雨・融雪を原因とするものが1,462件にのぼり、これは過去10年で最大だったという。

20180117_02.jpg

4年ぶりにすべての都道府県で発生

特徴的だったのは、全国の47都道府県すべてで土砂災害が発生したことだ。これは4年ぶりのことという。

都道府県別発生件数をみると、1位は平成29年7月九州北部豪雨で甚大な被害に見舞われた福岡県の235件。同県の過去10年の平均発生数は18件だから、昨年は、実に平均の13倍に上る土砂災害が集中したことになる。

次いで、新潟県193件、神奈川県129件、大分県89件、秋田県56件の順だった。上位5県のうち、新潟県を除く4県で、過去10年で最大の発生件数を記録した。

主要な災害別の件数は、10月末に本州に上陸した台風21号による土砂災害が370件と全体の25%を占めた。九州北部豪雨は307件で21%を占め、9月に列島を縦断した台風18号では102件(7%)の土砂災害が発生した。

20180117_03.jpg

こうして振り返ると、平成29年中は、近年の災害史に残るような大災害が続発したことがよくわかる。

台風21号は、10月16日に西太平洋で発生。日本に接近する間に、中心気圧925ヘクトパスカル、最大風速50メートルの「非常に強い」台風に発達。さらに風速15メートル以上の強風域が半径950キロに拡大して「超大型」になった。

台風は、「超大型」の勢力を保ちながら23日午前3時ごろ静岡県の御前崎付近に上陸。広い強風域などを伴ったまま北東に進み、北海道の南の海上で温帯低気圧に変わった。超大型の台風が日本に上陸するのは気象庁が現在のような解析を始めた1991年以降初めてのことだった。

10月下旬と上陸時期が遅かったのも特徴で、気象庁の記録によると1951年以降、過去3番目に遅い上陸だった。前日の22日にあった衆議院議員総選挙の投票日を「直撃」したことも記憶に新しいところだ。

9月17日から18日にかけて、列島を襲った18号も記録づくしの台風だった。17日に鹿児島県南九州市付近に上陸後、高知県宿毛市、兵庫県明石市、北海道檜山地方と4度も上陸している。九州、四国、本州、北海道と列島4島を文字通り縦貫した。おびただしい雨を列島に降らせ、大分県では4度も「記録的短時間大雨情報」が発表された。

大きな台風や過去に例のないような豪雨が観測された平成29年は、土砂災害の発生件数も多かったことがわかった。特に、人家に被害が多かったことが気がかりだ。

台風や大雨の危険が迫ったときは、いち早く防災気象情報を入手して、早めの避難行動など、何らかの適切な対応をしなければならない。これまで風水害にあったことがないという人も、もしかしたら「今度は被災者になるかもしれない」という覚悟だけはもっておこう。

どうせたいしたことはないだろうと高をくくるのではなく、「正しく恐れる」慎重さを忘れないようにしよう。今年、平成30年も、間違いなくどこかで災害は発生するのだから。