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公共施設の耐震化がさらに進展

2017.11.19

総務省消防庁は17日、災害時に防災拠点となる公共施設の耐震化推進状況に関する最新の調査結果をとりまとめ公表した。

それによると、平成28年末現在における耐震化率は92.2%となり、前の年(平成27年度末)の90.9%から1.3ポイント増えた。

大規模災害時に注目される公共施設 の被災

自治体庁舎は災害対策本部が設置されて災害応急対策の拠点として活用されなければならないし、公立学校校舎などの文教施設は避難所・避難場所の役割を担うことが期待されている。

しかし、大規模地震が発生するたびに、「公共施設の被災」が防災上の「ボトルネック」となっている厳しい現実を私たちは目の当たりにしてきた。

阪神・淡路大震災では多くの自治体庁舎等が被災した。津波による被害だったから揺れによる破壊と異なるのかもしれないが、東日本大震災でも沿岸の公共施設の多くは津波に襲われた。

熊本地震でも複数の自治体庁舎は地震で壊れ、行政機能を失った。指定避難所となっていた学校体育館が壊れて使用不能となり、路上で車中泊避難を余儀なくされた被災者も少なくなかった。

今回の総務省消防庁の調査報告書でも言及されているが、公共施設が被災するということは、その場所で多くの犠牲者が生じるおそれがあるばかりでなく、災害応急対策が遅れることによって被害の拡大や新たな被害の発生を招きかねない点で、決して見過ごせない問題なのだ。

過去15年間で耐震率は約2倍に上昇

このような問題意識から、総務省消防庁は平成13度以降(平成17年度以降は毎年)、防災拠点となる公共施設の耐震化の推進状況を調査してきた。

最新の平成28年度末時点の調査結果によると、全国の地方公共団体が所有・管理する防災拠点となる公共施設等18万2,337棟のうち耐震性が確保されていたのは168,063棟、耐震率は92.2%だった。これは前回調査より1.3ポイント上昇して過去最高となった。

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過去の推移を示すグラフを見ると、初めて実態把握した平成13年度の耐震率は48.9%と半分に満たなかった。その後の15年間で、耐震率は倍増の勢いを示している。もちろん、公共施設の被災を無くすことはできていないから完璧ではないが、地道な取り組みが進んでいること自体は評価されるべきだろう。

その他の調査結果の概要も見てみよう。

耐震率の高い上位5位の都道府県、反対に耐震率の低い方から5位の都道府県は次のようになった。

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耐震率の高い都府県は、人口の多い三大都市圏、大きな地震が想定されてきた静岡県、幾度となく地震を経験してきた宮城県だった。低い道県は、個人的には、これまで比較的地震災害では注目されてこなかったところのような印象を受けた。最も高い東京都と最も低い広島県との差は約18ポイントあった。

学校校舎や学校体育館の耐震率は高い

最後に、同調査の用語の定義を確認しておこう。

「耐震性が確保されている」というのは、昭和56年の建築基準法改正後に導入された現行の耐震基準を満たしていることを意味している。

つまり、「耐震性有り」の建物とは、昭和57年以降に建築された建物、および昭和56年以前に建築されたもののうち耐震改修工事を実施済みの建物の合計ということになる。

また、同調査がいうところの「防災拠点となる公共施設等」とは、具体的には、「災害応急対策の実施拠点となる庁舎や消防署所」「避難場所・避難所となる学校施設や公民館」「災害時の医療救護施設となる病院や診療所」「災害時に配慮が必要となる者のための社会福祉施設」などを指している。

平成28年度末の施設区分ごとの耐震率も出ている。

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子どもたちが学び、避難所にもなる学校校舎や学校体育館の耐震率は高い一方で、自治体庁舎や県民会館・公民館等は低くなっている。

庁舎の耐震化については、都道府県と市町村とで推進状況にいくぶん違いがあるようだ。

災害対策本部が設置される庁舎等の耐震状況を調べたところ、都道府県は47団体中45団体の庁舎の耐震性が確保されていた(95.7%)。残る2団体についても、耐震化された施設が代替庁舎に指定されていた。

一方の市町村の耐震率は1,741団体中1,327団体の76.2%にとどまった。もっとも、耐震化されていない414団体のうち337団体で耐震化された代替庁舎が指定されており、代替庁舎を含めた耐震率95.6%だった。