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総選挙、各党の防災政策を読んでみた

2017.10.18

10月22日投開票で、第48回衆議院議員総選挙が始まっている。

唐突に衆議院が解散されたことから準備不足の野党陣営は混乱し、野党第一党から立候補者は消え、2つの新党が登場した。ドタバタ劇にばかり注目が集まり、たとえば、防災分野における各党の政策が注目されることは少ない。

弾道ミサイルとJアラート

もっとも、国民の安全安心という観点で言えば、北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射問題がクローズアップされている。首相はこれを「国難」と表現し、圧力強化を通して北朝鮮の政策を変更させることが重要だと主張している。

地震や洪水といった自然災害と異なり、テロや紛争などは人間の計らい事だ。本来であれば、発生を未然に防ぐことができなければ困る。だが、ヒトはいまだに争いごとの解決手段としての戦争を無くすことができずにいる。人間のすることだから、予測不能の偶発や暴発も起こりうる。

北朝鮮による弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合、政府は「全国瞬時警報システム(Jアラート)」を使用して緊急情報を発表する。Jアラートが使われると、全国の市町村に整備されている防災行政無線が自動的に起動して、屋外スピーカーから専用のサイレン音とメッセージで異常を知らせることになっている。スマートフォンや携帯電話にもエリアメール・緊急速報メールが送信される。

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弾道ミサイルが国土に落下する場合はどうなるのか? 落下時の行動について、政府は上図のように簡潔な行動指針を定めて広報している(内閣官房「国民保護ポータルサイト」)。

指針は、ミサイル落下時は「速やかな避難」と「正確かつ迅速な情報収集」が行動の基本であり、行政の指示に従って落ち着いて行動することが重要であると呼びかけている。具体的には、屋外にいる場合は「近くの建物の中か地下に避難」、建物がない場合は「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」、屋内にいる場合は「窓から離れるか、窓のない部屋に移動する」ことなどを促している。

今回の総選挙で、北朝鮮への対応は争点になっているだろうか。主要8党の政権公約を一渡り眺めてみた。圧力と対話のどちらに比重を置くかの違いはあるのだろうが、核開発を許さず、制裁の実施を通して対話のあり方をさぐるという方向性に大きな違いはないように見えた。

各党とも防災に対する政策・公約を公表している

総選挙にあたっての政策や公約から、防災に関する各党の主張も確認してみた。以下にざっと要約してみる。

政権与党の自民党は、「東日本大震災、熊本地震、九州北部豪雨災害等からの復興を加速するとともに、自然災害から国民生活を守るため、防災・減災に戦略的に取り組む国土強靭化を推進し、災害に強い街づくりを進める」という。

連立を組む公明党も、「防災・減災対策を協力に推進し、復興の加速に全力を挙げる」と強調している。

新たにできた希望の党は、「復興特区制度の有効活用などによって東日本大震災からの復興に優先的に取り組み、熊本地震や各地の豪雨災害の早期復旧・復興を進める」とアピールする。

日本維新の会は、「ハード偏重からソフト重視の復興支援策への転換」を呼びかけ、西日本の大規模災害に対応可能な大阪消防庁の設置などを提案している。

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共産党は、深刻な災害被害が相次いでいるとして、「災害に備え、被害を抑え、国民の安全と安心を保障することは、日本の政治の大きな責任」と指摘する。

民進党から分かれて誕生した立憲民主党は、東日本大震災は「私たちにとっての原点」であるとし、「復興を支え、被災したコミュニティの未来への歩みを応援する」という。

社民党は、「一刻も早い被災地の復旧・復興と被災者・避難者の生活再建に全力で取り組む」と訴える。

日本のこころは、被災者の自立を徹底支援し、「防災・減災に万全を尽くして国民の命を守る」としている。

各党の政策に接し、災害に立ち向かう姿勢を再確認する機会に

以上は極めて大雑把なアウトラインに過ぎない。各党の政策・公約パンフレットには、もう少し詳細に、具体的な事業などについても言及している。

それでも、防災分野の政策は、必ずしも今回の選挙の大きな争点にはなっていない。各党の言い分に間違っているものはひとつもないし、それぞれの主張は十分に容れるべきだと思う。ハード対策だけでなくソフト対策も大切であること、被災者に寄り添った復興策が求められていること、事前の備えをより重視してくべきことなど、いずれも重要な論点だろう。

しかし、東日本大震災から6年7か月が経過しながら、いまだ「復興を急ぐ」との公約が並べられていることには、やはりやりきれなさを覚える。なぜなのだろう、と思わず自問してしまう。東日本大震災後も、毎年のように繰り返す土砂災害や豪雨災害、火山の噴火、そしてまた大地震――。被災の傷が癒えぬうち、新たな被災が生じている。これは災害国に住む私たちの宿命なのだろうか。

せっかくの選挙だ。各党の防災に関する政策を読み比べながら、私たち有権者自身が防災・減災への向き合い方を自問する機会にしたい。実のところ、各党の政策は、それぞれ個性的だしアイデアに富んでもいる。投票先のヒントにもなるはずだ。