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全国の消防団員数は約85万人、昨年よりさらに減少

2017.08.20

総務省消防庁はこのほど、「消防団の組織概要等に関する調査」の結果をとりまとめ、公表した。

それによると、今年4月1日時点の全国の消防団員数は約85万で前の年から0.7%減少した。団員確保に特に力を入れている女性団員、学生団員については増加したものの、全体的には厳しい状況が続いている。

団員数減少の背景にある被雇用者団員の割合増加

調査は、全国の市区町村(消防団事務を実施している消防本部、一部事務組合を含む)が対象。今年4月1日現在の消防団の組織概要等についてアンケートを実施し、速報値として取りまとめた。

それによると、全国すべての市区町村に消防団は設置されており、その数は2,209団。消防分団は2万2,244分団ある。

注目されるのは、減少傾向が長年の懸案となっている消防団員の数だ。

今年4月1日現在で全国の消防団員数は85万418人となった。昨年は85万6,278人だったから、前年比5,860人、率にして約0.7%の減少だった。

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公表資料に付されているグラフを見ると、戦後この方、消防団員数は減少の一途をたどっていることがわかる。

昭和29年以降の団員数の推移を示したグラフだが、昭和20年代の最盛期には200万人を超えた団員数は昭和30年代に入って200万人を下回り、平成に入ってからは100万人を下回った。

最近は国を挙げて入団促進キャンペーンなどに取り組んでいるため、減少スピードは明らかに鈍化してきているが、それでも反転増加にまでは至っていない。

団員数が増えない主要因は、おそらく就業構造の変化にあるのだろうと言われている。つまり、ある程度時間の融通が利く自営業者などの団員が減少し、被雇用者団員が増加しているわけだ。

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調査によると、被雇用者団員比率が今年はさらに高まり、73.4%になった。昭和40年の26.5%と比較すると、およそ半世紀で被雇用者団員の割合は3倍にまで増加している。

女性団員、学生団員、機能別団員は順調に増加

もちろん、国もただ手をこまねいているわけではなく、団員確保のための各種施策を展開している。

女性団員や学生団員、機能別団員の確保に力を入れているのはその一例だ。

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今年4月1日現在、女性消防団員数は2万4,980人を数え、前年より1,081人増えた。女性団員がいる消防団数の割合は約7割に迫り、女性団員数が消防団員全体に占める割合は約2.9%になった。

学生団員も同様に増加傾向にある。3,970人となり、昨年より715人増えた。増加率は22%増だ。消防団活動に取り組んだ学生の就職活動を支援する「学生消防団活動認証制度」を導入する団体は189団体となり、前年から約2.7倍増だった。

広報や予防活動など、特定の活動を行う機能別団員制度を導入し、活動しやすい消防団作りに取り組む市区町村も397団体と前年より47団体増え、機能別団員数も約1万9,000人と前年から約2,500人増えている。

消防団員を雇用するなど、地域防災力の向上に貢献していることが認定された「消防団協力事業所」も全国の1,283.市町村で1万4,394事業所を数え、過去最多だった。

住民に求められる消防団に関心を持ち続ける姿勢

団員数確保のためのさまざまな取り組みはそれなりの効果を上げている。

女性や学生、役割を絞った機能別団員は徐々に増えているにもかかわらず、基本団員の減少傾向に歯止めがかかっていない。むしろ、団員数確保の取り組みのおかげで、減少の速度をどうにか緩めているというのが現状だろうか。

都道府県別消防団員数の推移をみると、そのような厳しいなかでも、前年から団員数が増えている府県も存在する。神奈川県、石川県、福井県、岐阜県、愛知県、滋賀県、京都府、和歌山県、沖縄県だ。

数人から数十人程度の増加が多いから誤差の範囲かもしれないが、愛知県310人、神奈川県252人、岐阜県245人と比較的まとまって増えた県もある。

女性団員数や学生団員数の都道府県別状況をみても、女性団員数が1,000人を超えているのは北海道、東京都、神奈川県、長野県の4団体にとどまり、学生団員数が10人以下と一桁台の団体は10団体ある。

これらの数値から言えることは、おそらくは現在の取り組みの方向性は正しいものであり、地域によってはさらに取り組みを強めることによって、団員数の上積みが期待できるのではないかということだ。

地方公共団体など関係者の取り組みの一層の強化が求められている。もちろん、その取り組みの前提になるのは、私たち地域住民が消防団に関心をもち、その活動の意義をしっかり認識することだ。