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九州北部で豪雨災害が発生、30人を超える死者

2017.07.16

今年もまた、大規模な豪雨災害が発生した。

九州北部を記録的な大雨が襲い、特に福岡と大分の県境で甚大な被害が出ている。

福岡県、大分県の県境で記録的な大雨

気象庁や内閣府の資料によると、豪雨災害の概要は次の通りだ。

梅雨前線や台風3号の影響で、西日本から東日本を中心に局地的に猛烈な雨が降った。

今月5日から6日にかけては、対馬海峡付近に停滞した梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、西日本で記録的な大雨となった。

6月30日から7月10日までの大雨の状況によると、1時間の最大雨量としては、福岡県朝倉市の朝倉(あさくら)で129.5ミリ、長崎県壱岐市の芦辺(あしべ)で93.5ミリ、高知県香美市の大栃(おおどち)と大分県日田市の日田(ひた)で87.5ミリを観測した。

また、24時間雨量は、福岡県朝倉で545.5ミリ、長崎県芦辺で432.5ミリ、大分県日田で370.0ミリなどとなった。

福岡県内ではいまだ連絡が取れない人も

福岡県と大分県における被害は甚大だ。15日までに判明した死者数は、福岡県で29人、大分県で3人の計32人に上っている。

福岡県の「7月5日からの大雨に関する情報(第44報)」(16日10時15分)によると、福岡県内の死者は朝倉市26人、東峰村3人の計29人となっており、いまだに連絡が取れない人が10人いる。

家屋の被害は住家の全壊87件、半壊23件など計372件。このほか、道路被害は211件、橋梁被害25件、河川被害87件、土砂災害164件などとなっている。

大分県の「『平成29年7月5日からの大雨による災害』に関する災害情報について(第29報)」(16日9時00分現在)によると、大分県内の死者は日田市の3人、連絡が取れない人は「なし」という。

建物被害は住家の全壊15棟、半壊11棟など計375棟、道路被害663件、河川被害556件、土砂災害20件などとなっている。

30人を超える犠牲者を数えて極めて深刻な被害と言えるが、このような大規模水害は近年どのくらい発生しているだろうか。

平成29年版防災白書の被害年表で確認してみた。それによると、今回の九州北部の豪雨災害は、昨年の台風第10号の死者・行方不明者27人、平成27年9月関東・東北豪雨の14人を上回り、平成26年8月の広島土砂災害の77人、平成25年台風第26号および第27号の45人に次ぐ犠牲者数であることがわかった。

いまだに連絡が取れない人がおり、人的被害はさらに増える恐れもある。

大雨の要因は猛烈に発達した積乱雲による「線状降水帯」

気象庁気象研究所は14日、5-6日の福岡・大分県での大雨の要因は上空の寒気と猛烈に発達した積乱雲による「線状降水帯」だったと発表した。

線状降水帯とは、文字通り線状に細長く連なった、大雨をもたらす雨雲のことだ。積乱雲が次々と発生して一定の地域にかかり続け、結果として長時間にわたって大量の雨が降り続く。近年の局地的大雨ではしばしば出現する現象で、気象ニュースでもよく聞くようになった。

5-6日の九州地方の大気の状態はどうだったのか。気象研究所は次のように解説している。

対馬海峡付近に停滞した梅雨前線に向かって大気下層に大量の暖かく湿った空気が流入した。同時に、その上空では、平年よりも気温が低い寒気が流入していた。このため大気の状態が非常に不安定となった。

大気の状態が不安定ななか、九州北部にあった地表の「温度傾度帯(冷たい空気と暖かく湿った空気の境界)」付近で積乱雲が次々と発生した。上空の寒気の影響で猛烈に発達した積乱雲は、東へ移動しながら線状降水帯を形成・維持し、強い雨を継続して同じ場所に降らせ続けた。

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地理院地図で被災地の映像などを確認可能

今回も、テレビの映像は豪雨災害の恐ろしさをライブで映し出した。荒れ狂うはん濫水、崩壊する斜面、流れ出す土砂、孤立した集落、命からがら救出される人々――。

災害現場の生々しさは、地理院地図のサイトで確認することもできる。

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最新の災害情報として、「平成29年梅雨全線及び台風3号」に関する画像や動画などが豊富にアップされている。「UAV動画」というドローンで撮影された映像だ。

パソコンからだと、全画面表示に拡大して見ることもできる。

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百聞は一見に如かず。これらの映像からは、豪雨災害の恐ろしさを肌で感じ取ることができるだろう。全国的に梅雨明けは近いが、これから秋にかけて強い雨が降りやすい季節は続く。「豪雨災害はどこでも起こりうる。必要な備えは欠かさない」。映像を見て、このことを強く自覚したい。