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熊本地震と避難所(その2)

2017.05.31

前回は、内閣府が4月25日に公表した「平成28年度避難所における避難者支援に関する事例等報告書」を取り上げ、全国的な避難所の指定状況、福祉避難所の認知度、避難所運営マニュアルの策定状況などについて報告概要を紹介した。

今回は同報告書のうち、熊本地震の避難者に対するアンケート調査に注目してレポートする。

災害に関する最新情報、復旧情報、生活物資の配布情報が必要

避難所において避難者はどんなことに不自由を感じ、何を求めていたのだろうか。アンケートはさまざまな観点から問いかけている。

まず、情報について。避難所での滞在中、必要を感じた情報としては、「災害に関する最新の情報」 68.2%が最多、次いで「水道、ガス、電気、電話の復旧の見直し」 63.4%、「水・食糧や生活物資の配布」が 54.1%などだった。

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情報を入手できる手段が制限されたケースもあったようだ。テレビがなく、わずかに決まった時間にラジオが流れるだけのある避難所では、避難者はSNSやパソコンを利用して情報を取得していた。ただし、SNSなどの情報にはデマも含まれていたといい、何を信じていいか分からなくなったという意見も寄せられたという。

避難者が求める情報は、災害発生からの時間経過に伴って刻々と変化していく。これらの情報ニーズに的確に応えるために、報告書は市町村に対して「無線機、衛星携帯電話等の通信設備の設置や予備電源や発電装置の確保、テレビ、ラジオ、戸別受信機」などの情報入手手段の確保を求めた。

避難所では生活用水、飲料水の不足で困った

モノの不足はどうだったろうか。

避難所で不足して困ったものとしては、「生活用水」が41.6%で最も多く、「飲料水」39.0%、「タオルケット、寝具」24.7%、「携帯電話充電器」 22.5%などが続いた。困ったものは「特になかった」という回答も 22.3%あった。

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今回の熊本地震では、各避難所でトイレを流したりする生活用水の確保に苦労したという声が多かったそうだ。水不足の影響は大きかった。

乳児の親からは、哺乳瓶が洗えず、粉ミルク用のお湯も沸かせないため、液体ミルクを配布してほしかったという声が寄せられた。病気などで多くの水が必要な人もいたことから、障害に配慮して物資を配分してほしいという要望もあった。

不足することはまだ理解できる。だが、ちぐはぐな搬送によって物資があまったというのは残念だ。

乳幼児がいないにも関わらず、乳幼児用の紙おむつなどが大量に余っていた避難所があったかと思えば、調理器具がないのに調理が必要な物資が届き、手つかずの状態で放置されていた避難所があった。

避難所運営を支援した担当者らは、もっときちんと物資を振り分ける仕組みや、大量に余った物資は再配分する仕組みが必要だと感じたという。

不足して困った物資を見てどう感じるだろうか。水や食料など消費すればなくなるものは別にして、繰り返して使える寝具や携帯電話充電池、ラジオ、1月分くらいであれば大量に買い置きできそうなマスクなどは個人でも前もって準備できそうだ。

家庭での備蓄の参考にしたい。

衛生面での不安が多かった避難所のトイレ

トイレの状況についても確認しておこう。

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避難所のトイレについて問題点を尋ねたところ、「環境が保たれていないなど、衛生面での不安を感じた」との回答が39.0%でトップ、次いで「トイレの数自体が不足していた」32.6%、「トイレ利用のルールが明確でなかった」20.7%などだった。「問題を感じなかった」との回答も31.0%あった。

女性用トイレが不足していたために、トイレに行くのを嫌がって水分補給を控えたという意見があった。これも災害の度ごとに指摘される課題だが、残念ながら熊本地震でも繰り返された。

報告書は、災害用トイレを十分に確保・配備することを求めると同時に、トイレの衛生管理の重要性を指摘した。衛生的で快適なトイレ環境を維持することは、感染症を含む健康被害を予防することにもつながるとして、避難者の協力を得て清掃体制を構築する必要があると強調した。

避難者や避難所運営者から高評価された仮設トイレについても報告されていた。便袋に1回分の汚物を閉じ込めるタイプの仮設トイレは、衛生面・管理面において特に優れていたとの声があったという。この情報も備蓄のヒントになりそうだ。