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平成28年の救急出動件数、過去最多記録を更新

2017.03.31

総務省消防庁は21日、平成28年中の救急出動件数の速報値を発表した。救急出動件数は621万82件、搬送人員数は562万889人となり、いずれも過去最多を記録した。

救急出動件数が平成27年に初めて600万件を超えて過去最多になったことは、今年1月に本ブログでも紹介したばかり。平成28年は過去最多を更新したことになる。

おりしも消防庁は今月10日、「平成28年度救急業務のあり方に関する検討会報告書」を公表、救急車の適正利用に向けたさまざまな取り組みを強化していくことも明らかにした。

出動件数は平成20年から約110万件も増加

総務省消防庁がとりまとめた速報値によると、平成28年の救急車による救急出動は621万82件で前年より15万5,267件(2.6%)増加した。搬送人員は562万889人となり、前年より14万2,519人(2.6%)増えた。

救急出動件数、搬送人員数ともにこれまで最多だった平成27年の実績を上回り、過去最多記録を更新した。

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最近10年の推移は上表の通りだ。過去10年間で、対前年比で減少したのは平成20年の1度のみ。その他の年はいずれも増加している。

平成28年は件数、人員数ともに前年よりも2.6%増えており、過去10年でも3番目に高い伸び率を示した。この10年で最も少なかった平成20年と比較すると、救急出場件数は約110万件、搬送人員も約95万人近く増えた。救急出動件数は一昨年の平成27年に初めて600万件を超えたが、昨年はさらに20万件も上積みされた格好だ。

搬送人員の6割近くは「高齢者」、約半数は「軽症」

速報値をもう少し詳しく見てみよう。

平成28年の救急車による救急出動件数を搬送原因別(事故種別)に分類すると、「急病」が最も多く約398万件(64.0%)、「一般負傷」が約93万(14.9%)、「転院搬送」が約52万件(8.4%)、「交通事故」が約49万件(7.9%)などとなった。

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前の年と比較すると、近年の交通事故の減少傾向を反映して交通事故による出動件数は減っているが、急病、一般負傷等はいずれも増えている。

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搬送された傷病者を年齢別にみると、65歳以上の高齢者が約321万(57.1%)、18~65歳の成人が約192万人(34.1%)、乳幼児が約27万人(4.8%)などとなった。どの年齢層でも前年より搬送人員は増えた。

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これらの人々の傷病程度をみると、「軽症(外来診療)」が約276万人(49.2%)と約半数を占め 、次いで「中等症(入院診療)」が約230万人(41.0%)、「重症(長期入院)」が約47万人(8.3%)などと続いた。

旺盛な救急需要の半数は、軽症によって占められている実態があらためて明らかにされた。

電話相談や緊急度判定アプリなどの活用で救急車の適正利用を

救急需要が増大の一途をたどっているなか、いかに救急業務を安定的に提供して救命率の向上を図るかは日本の消防にとっての大きな課題になっている。

総務省消防庁の検討会は、この課題に関する平成28年度の検討結果を報告書にとりまとめた。報告書では、救急車の適正利用に関して私たち住民に期待することとして以下の項目が列挙された。

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「#7119の利用」とは、全国で広がりつつある「救急安心センター」の利用を呼びかけるものだ。

救急安心センターは救急車の適正利用を図ることを目的に開設されている医師などの専門家による電話相談窓口で、住民が急病やけがの際に救急車を呼んだほうがよいのか、病院にかかるべきなのかなどについて相談することができる。

今年3月10日現在、救急安心センター事業(#7119)を実施しているのは東京都や大阪府など全国で7団体(4都道府県と3市)。#7119 以外の類似番号を用いて救急電話相談事業を実施している団体は4県ある。センター事業に取り組む地方公共団体は今後も徐々に増加する見通しで、検討会は救急車の利用を検討する際に、こうした相談窓口の活用を期待している。

「緊急度判定アプリ」も同様に、急病などの際に救急車を呼ぶべきなのか、医療機関を受診すべきなのかなどを手軽に判定できるアプリだ。ウェブ・スマホ版として、総務省消防庁サイトで近く公開される予定だ。

消防庁サイトには、紙芝居やリーフレットなどの紙媒体等による普及ツールも用意されている。こうしたツールを活用して、救急車の適正利用に関する住民の理解を高めたい考えだ。

すでに公開されているこれらのツールは、いずれもとっつきやすく、分かりやすい。ウェブ・スマホアプリも公開をまってぜひ一度体験しておこう。