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緊急避難場所が「地理院地図」で閲覧可能に

2017.02.28

市区町村が指定する「指定緊急避難場所」は、災害が発生した際、身の安全を確保するために緊急的に避難する場所だ。

洪水や土砂災害、地震などの災害種別ごとに指定された避難場所の位置を、国土地理院が提供するウェブ地図「地理院地図」で確認できるサービスが始まった。

東日本大震災を教訓に避難場所データの整備進む

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国土地理院、内閣府、総務省消防庁は22日、国土地理院のウェブ地図「地理院地図」で、指定緊急避難場所データの公開を開始したと発表した。

市区町村が指定する避難のための施設には、指定緊急避難場所と指定避難所とがある。両施設の役割の違いは次の通りだ。

指定緊急避難場所

津波や洪水などの災害の危険が迫った際、生命の安全の確保を目的に住民等が緊急的に避難する場所

指定避難所

避難した住民等が災害の危険性がなくなるまでの間滞在する、または災害で自宅に戻れなくなった住民等が一時的に滞在することを目的とした施設

東日本大震災の発生から丸6年が経過しようとしている。

避難場所と避難所の役割の違いが災害対策基本法で明確にされたことは、この震災の苦い教訓のひとつだった。

住民が避難した施設が津波に襲われて多数の犠牲者を出したのは、災害種別ごとに避難場所が指定されていなかったために起きた悲劇だった。そもそも多くの住民は避難場所と避難所の違いを理解していなかった。これらは災害対策基本法改正の理由になった。

国が都道府県や市区町村と協力し、ウェブ地図で表示できる指定避難場所データの整備を進めてきたのも、法改正を受けた取り組みのひとつだった。

災害種別ごとの避難場所を特定して表示できる地理院地図

ネット上では避難場所や避難所の位置をマップで確認できるサービスはすでにいくつも存在する。ヤフー・ジャパンが提供する「避難所マップ」はよく知られているし、防災マップなどを公開している自治体のサイトでも避難場所の位置などを簡単に確認することができる。

後発となった地理院地図だが、ほかにはない大きな特徴がある。災害種別ごとの避難場所を表示することができるという特徴だ。

指定緊急避難場所は、「洪水」「がけ崩れ、土石流および地滑り」「高潮」「地震」「津波」「大規模な火事」「内水はん濫」「火山現象」という8つの災害種別ごとに指定されている。

これを地理院地図では、特定して表示できる。

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たとえば、このように地震の避難場所を表示させることができる。

では、津波の際の避難場所はどうなっているのだろうか。

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同じ範囲にある津波の避難場所を表示させてみた。左のメニューから災害種別を選択するだけで表示を切りかえることができた。

豊富な背景図をもつ地理院地図だから、空中写真をベースマップにすることもできる。沿岸にある津波の避難場所を判別可能な程度にまで拡大して表示させてみよう。

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このような迫力ある地図で避難場所の位置を確認することができた。

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避難場所を地図上でクリックすると、対応している災害種別などの詳しい情報を見ることができる。この学校の場合、洪水では2階以上、津波の際は3階以上に避難する必要があると説明されている。

避難場所の指定状況に課題

スタートしたばかりのサービスだから、不十分な点もある。

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市町村別のデータ整備状況を一覧表示してみると、「未提出」「作成中」などとなっている団体が少なくない。

データがなければ地図上に情報表示されないわけだから、情報を知りたい住民にとっては残念なところだ。ここはぜひ、市町村の職員の皆さんに頑張っていただいて、整備を急いでもらいたいと思う。

もちろん、何事にも理由はある。市町村の現場では難しい問題を抱えているようだ。

前述した法改正によって緊急避難場所の指定が市町村の義務になって2年以上が経過したが、総務省消防庁が昨年12月に公表した調査によると、「洪水」「土砂災害」の避難場所の指定を完了していない市町村はいずれも約3割に上った。

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指定が進まない理由としては、他の業務に追われる市町村職員のマンパワー不足などが挙げられたという。調査結果を受けて消防庁は、都道府県等の助言も受けながら早急に指定するよう市町村に促した。

総務省消防庁の「地方防災行政の現況」によると、平成27年4月1日現在の指定緊急避難場所は全国で6万2,844か所あり、想定収容人数は約1億3,639万人。指定避難所については、5万4,354か所が指定され、想定収容人数は約2,828万人という。

全国では膨大な数の避難場所と避難所が指定されている。さて、あなたは災害ごとに、どこに避難すればよいか知っているだろうか。あやふやな人は、地理院地図や自治体のサイトなどで再確認しておこう。