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糸魚川市で大規模な市街地火災が発生

2016.12.30

暮れも押し詰まった22日、新潟県の糸魚川市で約4万平方メートルの市街地が焼失する大規模火災が発生した。出火原因は飲食店における鍋の空だきと見られているが、折からの強風で瞬く間に燃え広がった。空気が乾燥した冬場の市街地火災の恐ろしさを見せつけた。

被害家屋は144棟、焼失面積は約4万平方メートル

22日午前10時20分ごろ、新潟県糸魚川市大町1丁目の中華料理店から出火した。火は強い南風にあおられて周辺に飛び火、近隣の商店や住宅などに次々と燃え移った。

火は、同日午後8時50分になってようやく勢いを失って延焼の恐れはなくなったものの、完全に鎮火したのは出火から30時間後の23日午後4時30分だった。

市災害対策本部の28日15時30分現在のまとめによると、被害家屋は全焼120棟、半焼4棟、部分焼20棟のあわせて144棟に上った。焼失面積は約4万平方メートルだった。

消防団員14人を含む16人が負傷。そのうち15人が軽傷で、1人が中等傷だった。延焼に伴って周辺には避難勧告が発令され、22日午後16時30分には最大で363世帯744人が対象になった。

リアルな被害状況が糸魚川市のサイトで公開されている。

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地図情報サービス「eマップいといがわ」では、JR糸魚川駅の北側に広がる火災エリアを示した。

出火元となった中華料理店の位置は、青色で囲まれた火災エリアの左下。ここから海岸に面した道路まで約300mあるという。火がほぼ真北に向かって燃え広がったことがわかる。

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「被害状況写真」をみると、現場は木造家屋が密集していたエリアだったことがわかる。

「酒田大火」以来の大規模な市街地火災

総務省消防庁によると、今回の火災は、地震や津波に伴うものを除いて過去20年間で最大の市街地火災だったという。

『平成28年版消防白書』で「昭和21年以降の大火記録」を確認してみた。

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確かに今回の糸魚川市の火災は、阪神・淡路大震災や東日本大震災の二次災害として発生した火災を除けば、1976(昭和51)年10月29日に山形県酒田市で発生した「酒田大火」以来40年ぶりの大規模な市街地火災だった。ちなみに、この資料には「大火とは、建物の焼損面積が3万3,000平方メートル(1万坪)以上の火災」とある。

今回の火災が燃え広がった理由については、いくつか指摘されている。

まず、火災が発生したのは古くからの木造家屋が密集していた地域だった。江戸時代から続く酒蔵や商店が現存する歴史的な街並みだった。観光資源としては貴重だった一方で、道幅が狭いなど防火対策上は問題があったという。

強い南風にあおられたことも燃え広がった理由だ。新潟地方気象台によると、22日の糸魚川の最大瞬間風速は24.2m/秒だった。ところによってはさらに強かったのだろう。糸魚川市消防本部のある場所では、同日午前11時40分に最大瞬間風速27.2m/秒を観測していたという。

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『消防白書』の大火記録によれば、酒田大火の際の最大瞬間風速は26.3m/秒とある。酒田では終日、西よりの強風が吹き荒れていたらしい。40年前も今回も、台風並みの強風にあおられて火勢は増大したわけだ。

この火勢を、市消防本部の体制だけでは食い止められなかった。22日は県内外からの応援消防隊を含めて消防車126台、1005人で消火活動にあたっている。初動を含めた市の消防体制の問題点などに関しては今後の検証が待たれる。

個人にできる備え、改めて火の用心の意識を

今回の火災は、酒田大火以降、久しくなかった大規模な市街地火災となった。古くからの木造家屋が密集している場所で火災が発生し、その火が強風にあおられれば、当然のことながら大火に至る危険性があることを示した。

火災に弱い木造家屋の密集地、いわゆる「木密」地域は全国に数多く存在するだろう。歴史的な街並みと防火対策をどう両立させていくのかという難題を突き付けられる地域も少なくないはずだ。

地域に住む個人としては、改めて火の用心の意識を再確認する必要がある。

今回の火災では、飲食店の店主が「鍋に火をかけたまま、しばらく店を離れた。店に戻ったら火が出ていた」と説明しているという。火災は人災というが、このような一瞬の不注意が取り返しのつかない事態を招きかねないことを決して忘れてはならない。

家庭に消火器を備え、普段から正しい使い方を学んでおくことも重要だ。地域の防災訓練にも積極的に参加したい。

自分は火を出さなくても、今回のように延焼火災に巻き込まれることもある。火災保険には必ず加入しておき、経済的なダメージにも備えよう。

暖房器具など、火元となる器具を使うことの多い季節は続く。大規模火災を決して他人事と思わないことだ。