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創設50年を迎えた地震保険、来年1月からは保険料引き上げも

2016.12.18

今年は地震保険制度が創設されて50周年の節目の年だ。「地震保険に関する法律」が公布・施行されたのは1966(昭和41)年5月18日のことだ。

地震保険といえば、来年1月1日からは保険料が見直され、全国平均で5.1%引き上げられる。家計にとっては痛手だが、南海トラフや首都直下などの巨大地震が予測されるなか、将来にわたって保険を安定的に運営していくための措置だ。

近年、地震保険の加入率は伸び続けている。保険の必要性を認識する人が増えていることは間違いない。

地震保険に未加入の世帯も、「50周年」「保険料見直し」 というこの機会に、あらためて制度の意義を確認し、保険加入を真剣に検討してはどうだろうか。

1964年新潟地震を契機に地震保険創設の動きが本格化

日本は地震の多い国だ。明治維新を経て近代国家に生まれ変わって以降、地震による損害を補償する保険制度の必要性が何度も指摘されながら、なかなか実現しなかった。1887年には日本で最初の火災保険会社が設立されていたが、火災保険では地震による損害は免責とされてきた。

『日本の地震保険』(平成26年7月版、損害保険料算出機構発行)によると、地震保険制度の創設には次のような難しさがあった。

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停滞していた地震保険が創設に向けて動きだしたのは1964(昭和39)年6月に発生した新潟地震がきっかけだった。

被害を目の当たりにした当時の田中角栄・大蔵大臣(新潟県選出)の強い意向で検討が進み、上述の法施行を経て、1966年6月1日から地震保険制度がスタートした。

官民共同で運営し、損害が巨額になるなど民間だけでは補いきれない部分が生じた場合には、政府が補償する仕組みにすることでさきの課題のクリアを目指した。

阪神・淡路大震災以降、契約件数は増加傾向

地震保険は創設後しばらくは、契約件数が400~500万件程度で横ばい、あるいは減少傾向で推移していた。

しかし、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災で状況が一変し、その後は増加傾向を示すようになった。2011(平成23)年の東日本大震災もあり、増加傾向には一層の拍車がかかっている。

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2015(平成27)年度末現在の契約件数は約1680万件を超え、1994(平成6)年度の約400万件の4倍以上にまで増えている。

2015年度時点の火災保険への付帯率は60%程度、世帯加入率は30%。いずれも右肩上がりで増加している。

契約件数増加の背景には、大きな地震が何度も発生しているという事実がある。日本損害保険協会の資料によると、地震による保険金支払い額で最も多かったのは東日本大震災の約1兆3000億円、次いで今年発生した熊本地震の約3600億円(9月30日時点)、阪神・淡路大震災の約780億円などとなっている。

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上位20位までの支払い実績を見ても、阪神・淡路大震災以降の地震で占められている。阪神・淡路大震災以降、国内で大規模地震が集中していることが、地震保険金の支払い状況からも裏付けられる。

来年以降、保険料は段階的に19%引き上げへ

普及著しい地震保険は、2017年1月1日から保険料や損害区分などが変更される。かなり大きな変更だ。

保険料は、2014年12月の地震調査研究推進本部の地震データの更新などに基づいて見直した。将来的な損害の危険(地震リスク)が高まったとして、将来にわたって保険料の支払い余力を確保するために、全国平均で19%引き上げられることになっている。

保険料の引き上げは2017年から2021年までの3回に分けて実施され、その第1弾となる2017年は全国平均で5.1%の引き上げとなる。埼玉、茨城、徳島、高知、福島などで14%を超える大幅な引き上げになる一方(木造の場合)、愛知、三重、和歌山など11府県では引き下げられる。

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また損害区分については、従来の「全損」「半損」「一部損」の3区分のうち、「半損」が「大半損」「小半損」に分かれて4区分となり、保険金額についても見直される。これは、わずかな損害割合の差であるにもかかわらず、保険金の支払い額に大きな格差が生じうることを緩和するための措置だ。

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このように地震保険は、将来の地震発生リスクの上昇に伴って保険料が引き上げられる一方、保険金の支払いの面では、より被害の実態に即したものに改善される。

保険料の引き上げは、来年1月だけでなく、この後も段階的に実施される。加入を検討するならば早めのほうがよいだろう。都合がよいことに、日本損害保険協会の特設サイト「強く、優しく、50年。地震保険」が開設されている。詳しい補償内容などについては同サイトでぜひ確認してみよう。