1. ホーム
  2. レポート
  3. 防災の現場
  4. 熊本地震、震度1以上はすでに1,000回超発生

熊本地震、震度1以上はすでに1,000回超発生

2016.04.30

 14日の発生から2週間余りが過ぎた熊本地震は、依然として活発な活動を続けている。29日午後15時9分には、大分県中部の深さ7キロを震源とするマグニチュード(M)4.5の地震が発生し、大分県由布市で震度5強を観測した。揺れの強かった地域では、家屋の倒壊や土砂災害などの危険性が引き続き高まっているとして、気象庁は「今後の地震活動や降雨の状況に十分注意し、身の安全を図ってほしい」と呼びかけている。

史上初めて震度7を2回観測

20160430_01.jpg

 気象庁の観測によると、14日の地震発生から30日午前10時までの間に、震度1以上を観測した地震は1,070回を数えた。ほとんどの人が恐怖を感じ、身の安全を図ろうとする震度5弱以上だけでも、震度7は2回、6強は2回、6弱は3回、5強は4回、5弱は7回に及んでいる。

 気象庁は20日、16日未明に起きた「本震」の最大震度は6強ではなく、熊本県益城町と西原村で震度7だったと修正していた。両町村の震度計の不具合で観測データが収集できず、現地調査で震度計を回収して改めて解析した結果、震度7の揺れであったことが判明したという。

20160430_02.jpg

 気象庁が震度階級に7を導入したのは福井地震(1948年6月28日発生)を契機とした1949年のことだった。以来、熊本地震までに震度7を観測したのは1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の神戸市など、2004年の新潟県中越地震の新潟県川口町(現・長岡市)、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の宮城県栗原市の3例だけ。それが熊本地震では4例目と5例目が立て続けに起こった。益城町では2度の震度7を観測した。同じ一連の地震、同じ自治体で震度7を2度観測したのは観測史上初めてだ。地震の規模がM3.5以上の地震も29日午後1時半現在で220回発生しており、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)や新潟県中越地震を上回って1995年以降の内陸型地震としては過去最多ペースで増えている。

エコノミークラス症候群、65歳以上、女性に高いリスク

 熊本県の29日午後1時30分現在のまとめによると、熊本地震による死者は熊本県内の7市町村で49人に上っている。震度7の揺れを2回観測した益城町で20人、大規模な土砂災害が発生した南阿蘇村で15人が命を落とした。同じく震度7を観測した西原村で5人が亡くなったほか、熊本市で4人、嘉島町で3人、八代市と御船町でそれぞれ1人が死亡した。南阿蘇村ではまだ1人の行方が分かっていない。

 これらは地震動によって倒壊した家屋の下敷きになったり、土砂崩れに巻き込まれたりした直接死だったが、熊本地震ではこのほかにも避難生活による心身への負担などによって亡くなったとみられる震災関連死が、熊本市の10人をはじめとして県内で17人いる。

 避難生活の困難さは、エコノミークラス症候群を発症する人が目立っていることにも現れている。熊本県の29日午後4時現在のまとめによると、県内の20の医療機関でエコノミークラス症候群による入院患者数は45人で、このうち35人が女性、29人が65歳以上となっている。「65歳以上の女性」は23人と約半数を占め、高齢女性にリスクが高い現状が明らかになっている。29日午後1時30分の段階でも、県内27市町村の444個所の避難所に3万629人が避難しているということだ。

応急危険度判定、約28%が「危険」判定

 住宅被害も次第に明らかになりつつある。熊本県の29日13時30分現在のまとめによると、県内の住宅の全壊は2,222棟、半壊2,697棟、一部損壊は1万1,389棟となっている。被害分類未確定分も含めると住宅被害は全体で3万6,745棟に上っている。

 他県からの判定士521人の支援を受けて、被災建物の応急危険度判定も進んでいる。熊本県によると、28日までに県内16市町村の3万8,964棟の判定が終了した。このうち余震で倒壊する恐れがある「危険」と判定されたのは1万871棟で、調査対象の約28%に上っている。このほか、建物内への立ち入りに注意を要する「要注意」は1万2,362棟、使用可能な「調査済み」は1万5,731棟となっている。 

 危険判定1万余という数字は新潟県中越地震の5,243棟(判定棟数3万6,143棟)の2倍に近く、阪神・淡路大震災の6,476棟(同4万6,610棟)も上回り、東日本大震災の1万1,699棟(同95,381棟)に迫っている(全国被災建築物応急危険度判定協議会の資料より)。

 阪神・淡路大震災では住宅全壊が10万棟、建物火災による全焼も7,000棟を超えていたし、東日本大震災では津波によって流されるなどして住宅全壊は12万棟を超えているから、一概に比較はできないが、「危険」の判定割合の高さなどに熊本地震の住宅被害の大きさをうかがい知ることができる。