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消防団員数は減少の一途、200万人超から約86万人に

2016.03.31

 総務省消防庁は毎年1月から3月までを「消防団員入団促進キャンペーン」期間に位置付け、全国的に消防団員の入団者を増やすべく取り組んでいる。今年もキャンペーンが展開され、テレビなどでも女性団員の活躍などを紹介する話題が取り上げられているのを散見した。最盛期は全国に200万人いたという消防団員だが、近年はその数が大幅に減少、平成27年には約86万人にまで減っている。地域防災の核としての役割に期待も大きい消防団の現状について調べてみた。

消防本部・消防署は「常備消防」、消防団は「非常備消防」

 消防団になじみのない人にとっては、そもそも消防団とはどのような組織なのか、消防本部や消防署とはどのように違うのかが、まずもって問題になりそうだ。まずは総務省消防庁の資料から、日本の消防体制の基本をおさらいしておこう。

 あまり聞きなれない言葉だが、消防組織には「常備消防」と「非常備消防」の2種がある。常備消防とは、市町村に設置された消防本部と消防署のことで、専任の消防職員が勤務している。消防と聞いて、多くの人がイメージするのがこの常備消防だろう。これに対して、市町村の非常備の消防機関に当たるのが消防団だ。消防団員は他に本業を持ちながら、「自分たちの地域は自分たちで守る」の精神で消防活動に従事している。消防団は地域における助け合い精神に基づくとはいえ、消防団はいわゆるボランティアとは異なる。「権限と責任を有する非常勤特別職の地方公務員」(『消防白書』)であり、活動に対しては年額報酬が支給されるし、訓練に参加したり実際の災害対応に当たったりした場合には出動手当もある。

消防の全国の常備化率、平成27年には98.2%にまで高まる

 常備消防と非常備消防のどちらもある市町村もあれば、非常備消防のみで常備消防がない市町村もある。常備消防と非常備消防が並存しているのには歴史的な背景がある。江戸時代に幕府は江戸に直轄の火消組織「定火消(じょうびけし)」を設置し、町人たちには「町火消(まちびけし)」を組織させた。これらはそれぞれ常備消防と非常備消防の元祖とされる。ただし、明治を経て戦前の昭和までは、常備消防がつくられたのは都市部に限られていた。消防の常備化が進むのは戦後の昭和30年代以降のことだ。

 『平成27年版消防白書』などによると、平成27年4月1日現在、全国で消防が常備化されているのは1,688市町村、常備化されていないのは31町村で、常備化率は98.2%に上っている。昭和30年には消防の常備化率は全国で10%に過ぎなかったから、その後の60年で常備化率は飛躍的に高まった。

 昨年4月1日現在、全国の常備消防は750消防本部・1,709消防署あり、消防職員は16万2,124人(女性4,425人)いる。一方の消防団は、全国すべての市町村に2,208団が設置され、団員数は85万9,995人(同22,747人)を数える。単純な数値比較でみると、いまもって消防団は消防本部・署よりも設置数・人員数ともに多いことがわかる。

消防団等充実強化法が施行され、地域防災の中核と位置づけられる

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 消防の常備化が進むのと反比例して消防団員数は減ってきた。昭和20年代は200万人を超えていた団員数は、昭和30年代に200万人を、平成2年には100万人をそれぞれ割り込んだ。前述のように平成27年は前年より4,352人少ない85万9,995人となり、調査開始以来最も少なかった。

 平成25年に施行された「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」は、地域の総力を結集して地域防災力を高めることを目指すとし、消防団がその中核を担うと位置付けた。東日本大震災など大規模災害発生時に消防団が果たした役割などを踏まえ、消防団を「将来にわたり地域防災力の中核として欠くことのできない代替性のない存在である」と定義した。

 このように重要な消防団の団員が減っている。そこで、冒頭で述べた入団促進キャンペーンが展開されているわけだが、団員数が減少する厳しい状況のなかでもキャンペーンは一定の効果を上げているようだ。近年、女性団員と学生団員が増えている。このあたりの詳細はまた次回に稿を改める。