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この冬一番の寒気、沖縄など南の島々にも影響

2016.01.31

 この冬は、過去最大規模のエルニーニョ現象の影響で暖冬になると予想されていた。実際に昨年12月は全国的に記録的な暖かさとなり、スキー場の雪不足やインフルエンザの流行の遅れが取りざたされていた。この穏やかさが一変し、先週末から今週初めにかけて、この冬一番の強い寒気が日本列島上空に南下。各地で記録的な大雪が降ったり強風が吹き荒れたりして天気は大荒れになった。冬型の気圧配置が強まった24日は北陸から西日本にかけて大雪となり、沖縄本島で観測史上初めての雪が観測された。

沖縄本島で観測史上初めての「雪」

 今回の寒気で特徴的だったのは、九州以南などにおける大雪や低温だった。気象庁によると、25日早朝には鹿児島県伊佐市で零下15.2度、宮崎県えびの市で同12.0度を観測するなど、多くの観測地点で観測史上最低気温を記録した。24日は長崎市や鹿児島市で降雪があり、長崎市内では17センチの最深積雪記録を観測した。鹿児島県の奄美大島では、1901年2月以来となる115年ぶりの降雪を観測した。

 特に、亜熱帯性気候に属し、雪とは無縁な南国というイメージが定借した沖縄における「雪を観測」との報道には驚ろいた人も多いだろう。実際には、24日夜に沖縄本島北部の名護市と久米島でみぞれを観測。みぞれは気象観測の分類では雪に含まれるため、雪が降ったと報じられたわけだ。

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 沖縄気象台が25日に発表した資料によると、久米島では24日18時25分から25日2時54分にかけて、名護では24日22時26分から24日24時00分にかけて、それぞれ断続的にみぞれを観測した。沖縄県内におけるみぞれの観測は、1977年2月17日の久米島以来で39年ぶりのことだった。沖縄本島では1890年の観測開始以来初めての観測だった。また、那覇市25日1時5分?10分にかけて、直径2-3ミリ程度のあられを観測、これは1987年2月4日以来29年ぶりという。

過去には沖縄でも降雪の記録

 このように、沖縄におけるみぞれの観測は初めてではない。近代的な観測が始まる以前のことなので、必ずしも史実であると断定はできないが、過去に沖縄で雪が降ったという記録は残されている。18世紀の中ごろに琉球王国の正史として編まれた史書『球陽』(きゅうよう)には、久米島や伊平屋島などで数回にわたって雪やひょうが降ったという。歴史時代から近代の観測時代にかけて、たびたび久米島が登場するのは興味深い。

 余談だが、沖縄には日本の能や狂言、中国の京劇等の影響を受けたとされる伝統芸能「組踊(くみおどり)」があり、「雪払い(ゆちばれー)」と呼ばれる演目が存在する。雪の場面が登場する組踊には珍しい演目で、能の演目「竹雪」の影響を受けて成立したとされている。成立過程はその通りなのだろうが、少なくとも琉球王朝時代に人々が雪というものを知っており、雪の場面を受け入れていたということは、沖縄で降雪の事実があったのではないかと推測をたくましくさせる。

台湾でも時ならぬ雪、低温で死者も

 ブログ子の沖縄在住の知人Aさんによると、沖縄県内では、強い寒気が沖縄地方の上空にまで南下しているという天気予報によって、多くの人が雪が降るかと注目(期待)していたという。地元紙の電子版にはコンビニではおでんや肉まんが良く売れたと報じられたほか、寒さのために仮死状態で浜辺に打ち上げられた魚、ストーブで足元を温める市場の売り子などの写真が掲載されている。多くの人が、突然の寒気に「凍える思い」をしたことだろう。

20160131_02.jpgのサムネール画像

 この寒気、もちろん国内だけでなく、東アジア地域全体に及んだ。上記のAさんの台湾(台北市)に住む友人は、Aさんから台湾上空にも寒気がかかっており、台北にも雪がふる可能性があるとの予報を知らされると、大変驚いたという。現地、台湾の気象予報では降雪は事前に伝えられておらず、実際に降雪があったことから台北でも大騒ぎになったらしい。高い山脈を擁する台湾中部地方と違い、台北ではほとんど雪は降らないからだ。

 台北では雪を見物に出かける市民で近郊の山がにぎわった半面、低温により多くの死者が出て、雪の影響で小学校が休校になるなど、被害も大きかったという。暖冬を襲った時ならぬ寒気は、沖縄や台湾など南の島々にもさまざまな影響をもたらした。