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平成26年中の救急出動件数、搬送人員が過去最多に

2016.01.17

 総務省消防庁はこのほど、平成26年中の救急・救助業務の実施状況をまとめた「平成27年版 救急・救助の現況」を公表した。平成26年中の救急出動件数と搬送人員がともに過去最多を更新したほか、救急車の現場到着時間と病院収容にかかった時間も過去最長となった。搬送人員のうち65歳以上の高齢者が占める割合が年々増えており、急病にかかりやすい高齢者や、病院までの搬送を頼る家族がいないひとり暮らし世帯の増加が出動要請の要因になっているという。高齢化を背景に、消防の救急業務を巡る厳しい状況は続いている。

救急搬送されたのは国民の24人に1人

 平成26年中の救急車による救急出動件数は598万4,921件で、前年から6万9,238件増えた。搬送されたは人員は540万5,917人で、同じく前年から5万9,830人増えた。平成元年以降の出動件数、搬送人員の推移を見ると、平成18年からいったんは横這い・減少傾向を示したものの平成22年以降再び増加に転じており、平成26年はそれぞれ過去最多を更新した。

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 消防庁の分析によると、救急車は1日平均1万6,397件、5.3秒に1回の割合で出動しており、国民の24人に1人が搬送されたことになる。また、人口1万人当たりの平均救急出動件数は467.8件。都道府県別では大阪府の613.4件が最も多く、東京都の579.6件が続いた。最も少なかったのは福井県の335.3件だった。


現場到着所要時間は平均8.6分

 救急出動件数の増加は、救急車の機動性にも影響を与え、すばやく対応することを難しくしている。

 救急車による救急事故の覚知から現場到着にかかった時間は全国平均で8.6分となり、前年に比べ0.1分遅くなった。同様に、救急事故の覚知から医療機関で医師に傷病者を引き継ぐまでの時間は全国平均で39.4分となり、これも前年から0.1分遅くなった。平成13年以降の推移を見ると、現場到着までの時間は1.6分、病院収容までの時間は10.9分それぞれ余計にかかるようになった。

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 現場到着所要時間を詳細に見ると、「5分以上10踏ん未満」が全体の62.3%と最も多く、次に「10分以上20分未満」が27.1%だった。「5分未満」は全体の8.7%に過ぎず、「20分以上」かかったケースも1.9%あった。平均が8.6分といっても、10分以上かかる場合が全体の1/4以上を占めているのが現実だ。

 病院収容所要時間については、最も多いのは「30分以上60分未満」の60%だった。「30分未満」は29.9%と全体の1/3弱である一方、「60分以上」が10.1%と全体の1割を占めた。これには「120分以上」の0.5%も含まれる。

「急病」「高齢者」の搬送が増えている

 救急出動および搬送人員が増加している背景には、救急車が出動する事故の種別や搬送人員の年齢区分の変化がある。

 「救急・救助の状況」によると、事故種別の出動件数構成比は、50年前の昭和41年は「急病」約4割、「交通事故」約3割、「一般負傷、その他」約3割だった。これが平成26年には「急病」が約6割と1.5倍に増え、「交通事故」は1割弱にまで減った。また、年齢区分別の搬送人員構成比は、平成元年以降、65歳以上の高齢者が占める割合が顕著に増えていることがわかる。

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 これらの統計は、「急病の高齢者が増えている」という傾向を如実に示している。日本社会の高齢化は今後も続くが、これが消防の救急業務にも影響を及ぼしていることを私たちはしっかり認識する必要がある。必要な傷病者に迅速な救急搬送が提供され続けるためには、救急車を「タクシー代わりに呼ぶ」などといった不心得な利用法はもってのほかだ。