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近年増加する豪雨災害、2015年はすべての月で台風が発生

2015.12.29

 2015年も日本列島はさまざまな災害に見舞われた。前年の御嶽山噴火に連鎖するかのように、今年前半は全国の火山活動の活発化が目立った。夏場を迎えるころになると全国的な大雨被害が相次いだ。9月には折からの豪雨が関東や東北地方を襲い、茨城県常総市では鬼怒川が決壊して濁流が住宅地に流れ込んだ。多くの河川がはん濫し、人的被害も出たこの大雨を気象庁は「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名した。同豪雨は台風18号が姿を変えた温帯低気圧と台風17号にはさまれる格好で発生した。今年は台風も多く、1月から12月までのすべての月で台風が発生した。これは気象庁が統計を取り始めた1951年以来、初めてのことだった。

気象庁による災害の命名、近年は豪雨が多い

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 気象庁は、顕著な災害を起こした自然現象に名前をつけている。共通の名称を使って災害の経験や教訓を後の世代に伝承し、あわせて防災関係機関などが災害発生後の応急・復旧活動を円滑に実施することを期待しての命名という。

 気象庁の資料によると、これまでに同庁によって命名された「気象現象」は27、「地震・火山現象」は35ある。災害別の気象現象としては、昭和29年9月の「洞爺丸台風」に始まり、これまで台風7、豪雪2、豪雨17、低気圧1が命名されている。気象庁による命名が始まったのは、昭和33年の「狩野川台風」の際で、洞爺丸台風は過去にさかのぼって命名された。台風は昭和52年の「沖永良部台風」以降命名されたものはなく、平成10年代半ばからは豪雨災害が頻発している。

 同じく気象庁の資料によると、命名される災害の規模には一定の目安がある。豪雨の場合は「損壊家屋等1,000棟程度以上、浸水家屋10,000棟程度以上など」、地震の場合は(1)地震の規模が大きい(陸域ではマグニチュード7.0以上かつ最大震度5弱以上、海域ではマグニチュードM7.5以上、かつ最大震度5弱以上または津波2メートル以上 )(2)前回100棟程度以上の顕著の被害(3)群発地震で被害が大きい――となっている。命名規則については、おおむね発生年と発生場所を組み合わせており、宮古島が台風災害で3回も登場していることが目を引く。

エルニーニョ現象による異常気象、台風は19か月連続発生

 気象庁による自然現象の命名状況からも、豪雨による被害が近年増加傾向にあることがわかったが、豪雨の要因にもなる台風に関しては、今年新たな記録が生まれた。本ブログでも今年7月、台風が年明けの1月から毎月連続して発生していることを取り上げ、それが1965年以来の珍事であることを紹介した。それがなんと、年末の12月まで継続した。気象庁は今月11日、フィリピンの東海上で台風27号が発生したことを発表。年間を通してすべての月で台風が発生したのは、気象庁が統計を取り始めた1951年以来初めてのことだ。このことは新聞やテレビでも取り上げられ、「エルニーニョ現象によって冬場の海水温が高かったことが原因ではないか」などと報じられた。

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 今月17日現在の気象庁の統計資料をよく見ると、台風の発生は今年の12か月間だけにとどまらず、実は昨年6月から19か月連続であることがわかる。今回のエルニーニョ現象は史上最大級の規模で継続しているとされており、気象庁はこの冬の暖冬を予想している。エルニーニョが発生した冬は日本列島の太平洋側にしばしば不安定な天候をもたらすほか、世界的にも異常気象に見舞われることが多いと言われている。実際、南米のパラグアイやアルゼンチンでは12月半ば以降激しい大雨による洪水が発生しており、10万人以上が避難を余儀なくされているという。この冬も「爆弾低気圧」に見舞われる可能性がありうるわけだ。新年を迎えるにあたり、あらためて災害への意識を新たにし、備えを再確認するべきだろう。