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避難所となる学校など公共施設の耐震化率、平成26年度は88.3%

2015.12.15

 首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの大規模地震に備え、建築物の耐震化が進められている。市町村の庁舎や学校校舎などの公的施設も例外ではない。これらの公共施設は、日頃から不特定多数の利用者が出入りするだけでなく、災害時には避難所や災害対策本部が開設されて応急活動の拠点となる。重要な施設ばかりだけに、すべての建物ができるだけ速やかに耐震化されるのが望ましい。総務省消防庁は毎年、全国の地方公共団体の施設の耐震化状況を調査している。このほど平成26年度末(平成27年3月31日)時点の調査結果が公表された。

耐震診断未実施の施設は6.1%

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 調査対象になったのは全国の47都道府県と1,741市町村が所有・管理する公共施設19万212棟。このうち16万7,952棟の耐震性が確保されており、耐震化率は88.3%だった。前年より2.9ポイント上昇し、過去最高になった。平成13年度以降の推移を見ると、年々右肩上がりに増えていることがわかる。

 ここで言う「耐震性が確保されている」とは、施設が昭和56年の建築基準法改正で導入された現行の耐震基準(新耐震基準)を満たして建設されているという意味だ。新耐震基準では、「震度5強程度の中規模の地震ではほとんど損傷しない」「震度6強から7に達する大規模の地震では倒壊しない」耐震性を建築物に求めている。

 つまり、耐震性が確保されている施設とは、(1)昭和57年以降に建築された建物(2)昭和56年以前に建築されたが、耐震診断で耐震性を有すると認められた建物(3)昭和56年以前に建築され、耐震診断を実施後、耐震改修を終えた建物――の3種ということになる。反対に、耐震性が確保されていない建物は、(1)昭和56年以前建築で耐震診断を実施していない建物(2)昭和56年以前建築だが耐震未改修の建物――のことで、それぞれ1万1,540棟(6.1%)、1万720棟(5.6%)を数えた。

学校施設の耐震化率は高く、自治体庁舎は低い

 防災拠点となる公共施設等といってもいろいろある。具体的には、地方公共団体が所有などする公共施設のうち、「災害応急対策の実施拠点となる庁舎や消防署所」「避難場所・避難所となる学校施設や公民館」「災害時の医療救護施設となる病院や診療所」「災害時に配慮が必要となる者のための社会福祉施設」など9種類を指している。

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 調査では、都道府県別や施設別の耐震化率ランキングも示している。それによると、耐震化率の高いのは、東京都97.7%、静岡県97.9%、三重県94.8%、愛知県94.7%、神奈川県94.3%などとなっており、47都道府県のうち12都府県で耐震化率が9割を超えた。一方、耐震化率が低いのは広島県73.4%、北海道78.6%、愛媛県79.1%の順だった。

 また、施設別耐震化率は「文教施設(校舎・体育館)」が94.6%と最も高く、以下、「消防本部・消防署所」86.1%、「診療施設」85.2%、「社会福祉施設」82.6%、「警察本部・警察署等」81.2%、「体育館」78.3%、「 県民会館・公民館等」76.4%、「庁舎」74.8%の順だった。子どもたちが多くの時間を過ごす文教施設の耐震化が進んでいるのは心強いが、庁舎の耐震化率が低いのはそこで働く人や利用する人が多いだけに気がかりだ。津波被害とは単純比較できないが、東日本大震災の際は沿岸の庁舎が津波に襲われ、防災担当職員を含む多数の尊い人命が失われた。庁舎の被災はその後の応急対策にも重大な影響を及ぼした。予算などの制約はあるのだろうが、できるだけ早期に整備を進めていただければと思う。それが地域全体の安全に直結することを私たちも心得たい。