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11月5日は「津波防災の日」、津波防災対策を見直そう

2015.10.31

 来る11月5日は「津波防災の日」。この日を中心にした10月31日から11月8日までの期間は、国民の津波防災意識を高めるさまざまな取り組みが予定されている。東日本大震災の津波発生から4年7か月が経った。時間の経過が被害の記憶を次第に遠いものにしていくのは仕方がない。だからこその記念日だ。津波防災の日をきっかけに、年に一度は自分自身の津波防災対策を見直してみよう。

今年は「津波防災ひろめ隊」結成、「津波避難のポーズ」考案

 津波防災の日は、2011年6月に制定された「津波対策の推進に関する法律」によって定められた新しい防災に関する記念日だ。同法15条は「国民の間に広く津波対策についての理解と関心を深めるようにするため、津波防災の日を設ける」と述べ、「津波防災の日は、十一月五日とする」「国及び地方公共団体は、津波防災の日には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めるものとする」と規定した。

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 記念日創設から5年目の節目を迎えた今年は、盛りだくさんの行事が予定されている。今年新たに、ふなっしーやくまモンといった人気のご当地ゆるキャラたちが「津波防災ひろめ隊」を結成した。「津波防災ひろめ隊サイト」やYouTubeの公式チャンネルなどで津波国民の津波防災の意識向上を促進する啓発活動を展開している。11月5日前後に実施される地震・津波防災訓練のうち、全国6か所の訓練にはご当地キャラクターらが参加する地域密着型の啓発イベントが予定されている。

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 「津波避難のポーズ」も新たに考案され、上記サイトなどで紹介されている。高い場所を目指して足を大きく踏み出している男性のシルエットを採用したポーズで、「津波が想定されるような地震が発生したら、速やかにできるだけ高いところへ逃げましょう」というメッセージが込められている。両手両足を大きく動かして「全力で避難する」動作と上体を反り返らせて「高いところをめざす」動作を融合させたという。単純明快、印象的なビジュアルになっている。

11月5日は「稲むらの火」の故事に由来

 津波防災の日は東日本大震災の発生した3月11日ではなく、11月5日に設定された。これは、江戸時代の安政南海地震津波(1854年)の際の「稲むらの火」の故事にちなんだからだ。この年の11月5日、南海地震による津波が中部から九州にいたる広い地域を襲った。このうち、現在の和歌山県広川町では、地元の実業家・浜口梧陵(ごりょう)が暗闇のなかで逃げ惑った村人を高台に誘導するために、田んぼの稲むらに火を放って避難路を示した。この火の明かりによって村人の9割以上の命を救ったという。

 被災後浜口は、後世再来してくる津波に備え、巨額の私財を投じて、海岸に高さ約5m、長さ約600mの堤防を築いた。安政南海地震から92年後に昭和の南海地震が発生し、高さ4?5mの大津波が広村を襲ったが、梧陵が築いた広村堤防は村の居住地区の大部分を津波から護ったという。

 浜口の災害後の各種対策は堤防の建設だけにとどまらない。災害直後の応急対策としては、被災者に対する食糧拠出、盗難防止の治安対策、村民の緊急雇用対策などに取り組んだ。復興に向けても前述の堤防建設は村民に職を与え、離村を防ぐことにつながったという。これらの経緯は中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会」の報告書に詳しい。

 津波防災の日は、この浜口の偉業を後世の私たちに絶えず思い起こさせる役割も果たしている。さまざまなイベントに参加するもよし、ひろめ隊サイトなどの啓発動画等で学ぶもよし、あるいは改めて「稲むらの火」の物語に接するのもいいだろう。それぞれの方法で、津波防災を考える日にしよう。