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東北3県で目立った震災後の転居―平成25年住宅・土地統計調査から

2015.09.30

 総務省は今年2月、「平成25年住宅・土地統計調査」の確報集計結果を公表した。本誌bside31号の特集では、この調査結果をもとに、前回の平成20年調査以降における住宅の耐震化の状況についてレポートした。同調査は東日本大震災後初めての全国規模の住宅調査だったこともあり、東日本大震災による住宅への影響についても調査している。本誌では詳しく触れなかったが、今回はこの震災関連の調査結果を見ていく。

東日本大震災による転居は全国で32.9万世帯

 東日本大震災は被災地の住宅に大きな被害をもたらした。総務省消防庁が今月1日現在でまとめた最新の被害報(第152報)から住宅被害を見ると、全壊は12万4,690棟、半壊は27万5,118棟、一部破損は76万4,843棟などとなっている。東北3県で全壊した住宅は、宮城県8万2,998棟、岩手県1万9,595棟、福島県1万8,054棟に及んだ。

 ダメージを受けた住宅に居住し続けることは難しい。平成25年住宅・土地統計調査によると、東日本大震災のために転居した世帯は全国で32.9万世帯に上った。転居理由として、住宅が損壊するなどして「住宅に住めなくなった」と回答したのは13.3万世帯で40.4%だった。これよりも多かった回答は17.9万世帯と過半数を占めた「その他」で、学校や仕事の関係、生活への全般的な不安感といった理由が含まれるという。(以下画像は「平成25年住宅・土地統計調査確報集計結果の概要」より)

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 都道府県別の転居世帯数は、宮城県が7.4万世帯、福島県が7.1万世帯、岩手県が2.5万世帯などで、この3県で全体の過半数を占めた。以下、東京都3.6万世帯、茨城県2.1万世帯、千葉県1.9万世帯などと続き、東北から関東の太平洋岸で転居が目立った。「住宅に住めなくなっ」て転居した世帯に限れば、宮城、福島、岩手の3県で全体の8割以上を占めた。「その他」の理由で転居した世帯が最も多かったのは東京都と福島県の約3.0万世帯だった。これはおそらく、原発事故による影響が関係しているのだろう。

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 事実、福島県の世帯数は大幅に減った。都道府県別の転入・転出状況をみると、福島県では転出2.1万世帯、転入0.3万世帯となって1.8万世帯も減少した。宮城県では転出0.9万世帯、転入0.6万世帯で0.3万世帯の減少となり、この2県で世帯減少が目立った。一方、転出よりも転入が多くなって世帯が増加したのは埼玉県0.3万世帯、神奈川県0.2万世帯などだった。

 住宅・土地統計調査では東日本大震災で被災した住宅の改修工事の状況も調べた。それによると、改修工事をした持ち家数は約57万戸で、全国の持ち家数3216.6万世帯の1.8%に及んだ。このうち一戸建は約83%、共同住宅は約17%だった。

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 都道府県別にみると、改修工事をした持ち家数は茨城県が13.1万戸と最も多く、以下宮城県12.5万戸、福島県8.7万戸、千葉県6.3万戸、東京都4.4万戸などと続いた。東北3県ばかりでなく、首都圏でも多くの改修工事が発生したことが分かった。

約19万5,000人が避難生活を続けている

 上記の調査では避難所等に一時的に避難したケースは「転居」にはカウントされていない。居住という観点から東日本大震災の避難者についても見てみよう。

 復興庁の9月29日現在のまとめによると、東日本大震災による避難者はいまなお全国で19万4,793人もいる。福島県の6万1,800人を筆頭に、宮城県5万5,920人、岩手県25,230人を数える。東北3県を合わせた避難者数15万1,755人は避難者全体の約78%を占めている。

 これらのうち、県外に避難等をしている人の数は福島県からが4万4,387人。宮城県から6,797人、岩手県から1,509人という。福島県からの県外避難者が突出して多い状況にある。

 住宅再建の柱となる被災者向けの災害公営住宅(復興住宅)の建設や宅地の整備はどうなっているのか。復興庁9月30日に公表したところによると、災害公営住宅は計画戸数2万9,925戸のうち今年8月末までに完成したのは1万1,793戸で進捗率は39.4%、民間住宅用宅地は計画戸数2万566戸のうち完成が5,150戸で進捗率は25.0%という。

 人が生きていくために「衣食住」が整っていることは欠かせない。住宅再建がいまだ道半ばであるならば、被災地はいまだ復興途上にある。