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巨大な線状降水帯による豪雨で関東、東北で大規模水害発生

2015.09.15

 またも大災害が発生した。鬼怒川の堤防が決壊して濁流が住宅地を襲う映像が日中ライブで放送された。東日本大震災の津波を思い起こす衝撃的な映像だった。台風18号に関連した大雨は各地に大きな被害をもたらした。本日現在の災害の様相を整理する。

幅200キロ、長さ500キロの線状降水帯

 7日午前3時に日本の南海上で発生した台風18号はまっすぐに北上を続け、9日午前10時過ぎに愛知県知多半島に上陸、そのまま日本海に抜けて同日午後9時ごろ温帯低気圧に変わった。気象庁によると、この温帯低気圧に向けて南から湿った空気が流れ込んだ影響で積乱雲が断続的に発生、西日本から北日本にかけての広い範囲で大雨が降った。特に関東と東北で記録的な大雨となった。

 関東、東北の豪雨の原因は「線状降水帯」だった。今回の豪雨災害では多くのメディアが線状降水帯に注目して取り上げ、従来必ずしも一般的でなかったこの用語が有名になった。線状降水帯とは、文字通り線状に細長く連なった、大雨をもたらす雨雲のことだ。積乱雲が次々と発生して一定の地域にかかり続け、結果として長時間の大雨をもたらす。

 集中豪雨の約3分の2は線状降水帯によってもたらされるというデータもあるから、決して珍しい現象ではない。事実、昨年の広島土砂災害も線状降水帯による大雨によって発生している。気象庁の資料によれば、広島災害時の線状降水帯の規模は「幅20?50キロ、長さ50?200キロ」だったというが、今回の鬼怒川の破堤をもたらした線状降水帯は「幅200キロ、長さ500キロ」にも及ぶ巨大なものだったとされる。

相次いで発表された大雨特別警報

 巨大な積乱雲の帯を生み出した背景には、台風18号が変わった温帯低気圧と、時を同じくして東日本の太平洋側に寄ってきた台風17号の存在があった。温帯低気圧の南風と台風17号の東風が関東上空でぶつかり合い、行き場を失って上昇気流となり、積乱雲を次々と発生させたという。

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 7日から11までの総雨量は関東地方で600ミリ、東北地方で500ミリを超え、平年の2倍の月降水量を記録する場所もあった。この期間の降水量の上位5地点は(1)栃木県日光市今市647.5 ミリ(2)栃木県日光市五十里627.0ミリ(3)栃木県日光市土呂部564.0ミリ(4)宮城県伊具郡丸森町筆甫536.0ミリ(5)栃木県鹿沼市鹿沼526.0ミリ――だった。実にこのうち4地点が栃木県内、3地点が日光市内だった。

 気象庁は10日に栃木県と茨城県、翌11日に宮城県に対して大雨特別警報を発表した。「これまでに経験したことのないような大雨となっています。重大な危険が差し迫っている異常事態です」と厳重な警戒を呼びかけた。

常総市内の行方不明者は全員無事

 国土交通省の15日午前4時現在のまとめによると、19河川で堤防が決壊し、55河川ではん濫被害等が発生した。利根川水系の鬼怒川が決壊し、茨城県常総市では40平方キロが浸水した。全国1都13県で98件のがけ崩れ、栃木や宮城など4県で17件の土石流、宮城・栃木・岐阜で3件の地すべりが発生した。

 総務省消防庁の15日午後17時30分のまとめによると、栃木、茨城、宮城の3県で7人が死亡したほか、10都県で46人が重軽傷を負った。全国で住家の全壊10戸、半壊7戸、床上浸水7,093戸、床下浸水1万1,688戸などだった。

 15日午前になって、茨城県の災害対策本部は同県常総市で行方不明としていた15人全員の無事を確認したと明かにした。各社の報道によると、15人は自宅などにいることが確認されたという。この間、常総市災害対策本部は行方不明者数を22人、31人、15人と目まぐるしく増減させていた。全員が無事であったことは喜ばしいことだったが、自宅で無事であったなどとの報道を考慮すると、不明者の安否確認や行政機関間の情報共有に課題を残したように見える。避難勧告・指示の発令のあり方も含め、応急対策が落ち着いた段階で今回の災害対応の総点検が必要だ。