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桜島に噴火警戒レベル4が発表、島内一部に避難勧告

2015.08.16

 70回目の終戦記念日を迎えた15日、鹿児島県の桜島でにわかに火山活動が活発化した。気象庁は桜島で大規模な噴火が発生する可能性が非常に高まったとして、桜島の噴火警戒レベルをこれまでのレベル3(入山規制)からレベル4(避難準備)に引き上げた。桜島で噴火警戒レベル4が発表されるのは、2007年12月に噴火警戒レベルの運用が始まってから初めて。

15日午前から急増した火山性地震

 気象庁の観測によると、桜島では15日朝から南岳直下付近を震源とする火山性地震が急増した。速報値で見ると、同日0時から6時までに1回だった地震は6?9時に36回と増え始め、9?12時には408回と激増、12?15時にも370回を数えた。このうち同日15時までに震度1以上の地震を4回観測した。島内を震源とする地震で震度1以上を観測したのは今年3月31日以来だった。島内に設置している傾斜計や伸縮計は山体膨張を示す急激な地殻変動を観測した。

 気象庁は午前10時15分、桜島に噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを前述の通り引き上げた。昭和火口および南岳山頂火口から3km以内の鹿児島市有村町と古里町では重大な影響を及ぼす噴火が切迫していると考えられるとして、噴火に伴って飛散する大きな噴石や火砕流に厳重な警戒を呼びかけた。

 噴火警報レベル引き上げの発表を受け、鹿児島市は午前11時15分に市災害対策本部を設置した。同50分には火口から3キロの有村・古里地区、黒神町屋ヶ元地区の一部に避難準備情報を発令、午後4時50分にはこれを避難勧告に引き上げた。避難の対象になったのは51世帯77人で、同日午後6時までに全員が島内2か所の避難所などへの避難を完了した。

有史以来4回の大規模噴火

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 気象庁の資料によると、桜島の噴火警戒レベル4は「噴石や火砕流、溶岩流が居住地域に到達するような噴火の発生が予想される」状態。「昭和噴火(1946年)」で溶岩流出の数時間前に噴火活動が活発化した事例、「大正噴火(1914年)」で噴火開始の前日に有感地震が多発した事例などが同レベルに該当する。気象庁は15日の会見で、負傷者6人を出した1986年と同規模の噴火が発生する可能性があるとした。

 1986年11月23日、複数の大きな噴石が古里町に落下、このうちのひとつが町内にあった平屋のホテルの屋根と鉄筋コンクリートの床を突き破り、直径約3mの穴をあけた。この際に従業員と宿泊客の計6人が負傷した。隕石は、同ホテルから700m北西にあった牛舎付近にも落下、飼料乾燥室が全焼した。

 鹿児島市の作成した「桜島火山ハザードマップ」や気象庁の資料によると、桜島は歴史時代に入って以降、「天平宝字(764年)」「文明(1471年)」「安永(1779年)」「大正(1914年)」の4回の大規模なマグマ噴火を起こし、その都度地形を変えてきた。

 文明噴火では流出した溶岩で大燃崎(黒神)や燃崎(野尻)が形成された。安永噴火では海底噴火によって津波が発生、8つの小島が出現した。大正噴火では大量の流出溶岩によって大隅半島と陸続きになった。中規模噴火だった「昭和噴火(1946年)」は現在のところ溶岩を流した最後の噴火となっている。

年初から火山活動が活発化、レベル5への引き上げも視野

 桜島は今年に入って火山活動が活発化していた。年明けから山体膨張と考えられる変化が継続して観測されており、地下のマグマが上昇しているとみた気象庁は注意を呼び掛けていた。3月には過去最多の178回の爆発的噴火を観測した。同月31日には2012年4月以来およそ4年ぶりとなる、桜島を震源とする有感地震(震度1以上)が発生している。爆発的噴火の発生は観測史上最速ペースで進み、5月7日には500回を、31日には600回を超えた。同月21日の噴火では噴煙が火口から4300mの高さに達した。これは観測史上6位の高さだった。

 気象庁が16日午前10時に発表した解説情報71号によると、前日に比べて火山性地震の発生頻度は減ってきたものの引き続き観測されている。山体膨張も引き続き観測されているが、有感地震は15日15時以降発生していない。今月4日は、火山の噴火をいち早く伝える「噴火速報」の運用が始まったところだ。時事通信が報じたところによると、気象庁は今後、大きな噴石が火口から2.5キロ超飛ぶレベルの噴火が起きた場合に噴火速報を初めて発表し、警戒レベルを5に引き上げる。噴火に至らず、火山性地震や山体膨張が一層激しくなった場合も引き上げるという。