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口永良部島が噴火、島民が隣の屋久島に全島避難

2015.05.31

 このところ火山に関する話題が続いたので、そろそろ甚大な被害が出ているネパールの地震について整理しようかと考えていたところ、口永良部島が噴火した。日本周辺の地下の動きはこれまでとは明らかに様子が異なっているのではないか。そのような思いを強めるような事象が相次いでいる。今回も引き続き、火山噴火がテーマだ。

噴火警戒レベル5(避難)の発表は運用開始後初めて

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 5月29日午前9時59分、鹿児島県屋久島町の火山島、口永良部島の新岳で爆発的噴火が発生した。噴火に伴う火砕流が発生して山を流下し、新岳の南西側から北西側にかけての海岸に到達した。噴煙は火口から9,000メートル以上にまで噴き上がり、火口周辺で噴石が飛散した。

 気象庁は午前10時7分、口永良部島に噴火警報を発表、噴火警戒レベルを従来の3(入山規制)から5(避難)に引き上げた。噴火警戒レベル5が発表されたのは、2007年の噴火警戒レベルの運用開始後初めてのことだ。噴火警報の発表を受けて、地元の屋久島町は10時15分、口永良部全島に対して島外への避難勧告を出し、同20分に避難指示に切り替えた。

 鹿児島県の29日午後18時20分現在の情報によると、避難者数は噴火時に島外にいた島民1人、旅行者等19人を含む138人。島民らは町営フェリー、鹿児島県防災ヘリ、海上保安庁の巡視船などで同日夜ごろまでに隣の屋久島に避難した。総務省消防庁の29日午後7時半のまとめによると、島民1人が軽いやけど、1人が体調不良を訴えているほかに人的被害はないという。迅速な避難ができ、人的被害も最小限にとどまったことから、避難の初動はほぼ万全だったと評価できそうだ。

昭和に入ってからも死者を出す噴火

 口永良部島は、屋久島の西約12キロに位置する。周囲約50キロ、面積約38キロ?のひょうたん型をしている。気象庁の資料によると、同島は複数の火山からなる火山島で、島西部の番屋ケ峰は古い火山、島中央部から東部の新岳・古岳・野池山などはより新しい火山とされる。最近10,000年間では古岳・新岳・鉢窪火山で噴火が発生しており、古岳火口では数百年前まで火砕流を伴う噴火が発生していたと考えられている。また、古岳あるいは新岳で過去1,000年以内に複数回の爆発的なマグマ噴火があったと考えられている。

 有史以降の火山活動は、1841(天保12)年からの記録が残されている。1841年の噴火では村落が焼亡し、死者多数の被害があった。1933-34(昭和8-9)年の噴火でも死者8人を数えている。昨年8月3日、新岳が34年ぶりに噴火、噴火警戒レベルが1(平常)から3(入山規制)に引き上げられていた。その後も火山性地震が発生するなど活発な状況が続いていた。

昨年8月に34年振りに噴火した新岳

 昨年の噴火では、約半数の島民が島外に一時避難を経験した。町は1次避難先を噴石にも耐えられる施設に変更し、3日分の水や食料も備蓄した。火山の観測は強化され、地元住民も警戒を強めていた。メディアの報道によると、屋久島町の荒木耕治町長は記者会見で、昨年来の取り組みが今回の迅速な避難につながったと説明した。近隣に火山を抱えるすべての自治体や住民にとって参考になる経験だ。

 気象庁は30日16時15分の解説情報で、前日から続いていた連続噴火が同日午前10時50分ごろに停止した模様だと発表した。噴火後、増加していた火山性地震も減少しているという。またこの日、臨時の会合を開いた火山噴火予知連絡会は今回の噴火について、地下水とマグマが接触して発生する「マグマ水蒸気噴火」とみられるとする見解を明らかにした。

 気象庁は、今後も爆発力が強い噴火や規模の大きな噴火が発生する可能性があるとし、新岳火口から約2キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石、降雨時の土石流に警戒を呼びかけている。

 と、ここまで書いてきて今度は小笠原でマグニチュード8.5の巨大地震だ。気象庁職員など関係者を始め、この国に住む人々に息をつく暇も与えない列島の地下活動が続いている。