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火山防災対策の歩みを振り返るー火山防災対策報告書から(1)

2015.04.17

 昨年9月に発生した御嶽山(長野県・岐阜県)の噴火を受けて、火山防災対策の在り方を検討していた政府の中央防災会議作業部会は3月26日、報告書「御嶽山噴火を踏まえた今後の火山防災対策の推進について」をまとめ、公表した。御嶽山の噴火は、火口周辺にいた多数の登山者が噴火に巻き込まれて死者57人、行方不明者6人を数える戦後最悪の火山災害となった。同噴火はこれまでの日本の火山防災対策に多くの課題を突き付けた。全34ページからなる報告書はこうした課題をひとつひとつ取り上げ、具体的な改善策を提言している。今回と次回の2回に分けて、同報告書を読み込んでみよう。

火山がもたらす普段の恩恵と噴火時の甚大被害

 報告書は、現状の火山防災対策と昨年9月の御嶽山噴火を詳細に振り返る前半部と、具体的な火山防災対策を列挙した後半部から構成されている。冒頭、110の活火山を有する日本が世界有数の火山国であることを紹介し、火山は風光明媚な景観を生み、温泉の湧出や山麓地域に優良農地を形成する場合が多いことなど人々に多くの恵みをもたらしている事実を指摘する。一方で、ひとたび噴火すれば被害が甚大になることがあり、日本では有史以来多くの火山災害に見舞われていることにも言及する。そのうえで、火山と共生していくために、「火山や噴火災害についての理解を深めておくことが重要である」とする。

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 報告書は続いて、国内の火山観測の歴史、最近過去30年間の主な火山噴火と防災・災害対応、あわせて昨年の御嶽山噴火による被害と対応について詳述していく。このうち、火山観測の歴史の記述は要領よくまとめられており、日本の火山観測史の概要を簡単に学ぶことができる。

日本初の火山観測は1888年の磐梯山

 それによると、日本最初の火山観測は、1888年の磐梯山噴火だった。その後、1910年の有珠山噴火で初めて地震計を使った本格的な観測が実施された。火山に関する報道でよく耳にする「火山性地震」「火山性微動」という現象も、このとき発見されたという。翌1911年には浅間山に日本で最初の火山観測所が設置され、1928年には阿蘇山に大学の観測書としては初めての京都帝国大学付属の火山研究施設が設置された。

 噴火予知の実用化に向けて動きだしたのは1972年10月、桜島の噴火活動が活発化したことがきっかけだった。明くる73年6月、測地学審議会(当時)は建議「火山噴火予知計画の推進について」を国に提出、74年に「第1次火山噴火予知計画(1974?78年度)」がスタートした。爾来、同計画は5か年ごとに第7次まで策定され、2009年度以降は地震予知計画と統合された。気象庁に事務局を置く「火山噴火予知連絡会」が設置されたのも第1次計画初年度の74年のことだ。

 75年に一部見直された計画に基づき77年に北海道大学有珠火山観測所が整備されると、基礎的な研究・観測が進んで多数の火山研究者を輩出、地元と連携した防災教育活動も展開された。こうした地道な活動の積み重ねが、火山防災対策上名高い2000年有珠山噴火の事前避難につながったわけだ。

着実に整備が進められてきた日本の火山防災対策だったが

 気象庁が本格的に全国で常時火山観測体制を整備したのは1960年代。当時の常時観測火山は17火山で、高感度地震計や最寄りの気象台・観測所からの目視による常時監視が行われ、65年からは「火山防災情報」の提供が始まる。2009年に火山予知連絡会は監視・観測体制の充実強化が必要な火山として47火山を選定している。

 火山防災情報については、幾度かの変遷を経て2007年に「噴火警報・予報」の発表を開始。火山活動の状況を防災行動に結びつくよう5段階に区分し、警戒が必要な範囲と住民等が取るべき防災対応を付して発表する「噴火警戒レベル」を導入した。同レベルは今年3月時点で全国30火山に設定されている。

 おおまか以上のように、日本の火山防災対策はおよそ1世紀にわたって着実に進展してきた。しかし、昨年の御嶽山噴火は、これまでの取り組みに厳しい反省を迫る災害になった。何が問題で、今後どのように対応していけばよいのか。報告書は次に具体的な提言を列挙していく。