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記憶をつなぐ、さまざまな取り組み--阪神・淡路大震災から20年

2015.02.17

 先月17日は、阪神・淡路大震災から20年の節目の日だった。1・17前後は、多くのメディアが同震災を振り返っていた。あの年に生まれた赤ん坊は今年成人するのだ。この国に暮らし、同じ時間を生きてきた者の多くはさまざまな感慨を抱かずにはおられないだろう。20周年の今年(多くは20周年を迎える26年度から)、兵庫県内の被災自治体はさまざまな記念事業に取り組んでいる。メディアなどでは20年目を契機にあらためて震災を見つめなおす視点を提供しているところもある。いささか遅きに失したが、本ブログでもこうした動きを大雑把にまとめておきたい。

人と防災未来センターで特別展示、首都圏巡回展も

 兵庫県は今年度(昨年4月~今年3月)、「阪神淡路20年?1.17は忘れない?『伝える』『備える』『生かす』」をコンセプトに、同震災の教訓を将来の大災害に生かしていこうとする取り組みを続けている。1.17当日には、神戸市中央区のHAT神戸などで「ひょうご安全の日のつどい・追悼式典」を開いた。追悼式典の開催は5年ぶりだったという。同県は震災10周年の平成17年、1月17日を「ひょうご安全の日」と条例で定め、震災の教訓を継承して安全安心な社会づくりを期する日としている。「1.17は忘れない ひょうご安全の日公式サイト」で、県や県内市町が主催する20年関連の各種事業を紹介している。

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 阪神・淡路大震災記念人と防災未来センターでは今年6月28日まで、「1.17阪神・淡路大震災20年 伝えよう未来へ世界へ」をテーマにメモリアル特別展示を開催中だ。特別展示は「あらためて振り返る1995.1.17」「1.17と3.11ふたつの災害の特性を知る」「20XX.X.X将来の巨大地震に備える」の3部構成で、数多くの資料やデータを用いて阪神・淡路大震災の教訓を示しつつ、これからの減災の取り組みへのヒントを紹介している。特設サイトで概要を学ぶことができるほか、東京消防庁消防博物館(新宿区四谷)において3月8日まで首都圏巡回展を開催中だ。

神戸市が記録写真をオープンデータとして公開

 阪神・淡路大震災で最も大きな被害があった神戸市。さまざまな記念事業を展開している同市の取り組みで注目すべきはインターネットの活用だ。昨年12月、同市は震災発災直後や復旧・復興の様子などを撮影した約1,000枚の記録写真を「オープンデータ」として提供するサイト「阪神・淡路大震災『1.17の記録』」を公開した。オープンデータであるため、同サイトの利用規約に基づいて自由に二次利用することができる。市内9区のエリア別、「火災」「液状化」など17のカテゴリ別に絞り込み検索も可能だ。発災直後の写真は、国内で初めて震度7を記録した強烈な被災の状況を生々しく伝えている。

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 神戸市はこのほか、映像記録を集めた「震災復興映像クリップ」やスマホで見る「震災写真アーカイブマップ」(パソコン用解説サイトに利用方法が説明されている)も公開している。インターネットを通じ、市が保有する震災の記録を公共財として活用しようとする姿勢を鮮明にしている。

 記録という切り口では、気象庁の「阪神・淡路大震災から20年」特設サイトも意義深い。震災発生時の気象庁の観測データや解析結果などを始めとして、気象庁機動観測班や大阪管区気象台が現地調査で記録した写真、震度階級の改訂や緊急地震速報の提供など震災をきっかけに同庁が取り組んできた業務改善などがまとめられている。地震や津波に備える具体的な知識等もふんだんに紹介するなど情報量も多い。通読すれば、地震というものをより深く理解することができる。

若い希望と老いの不安と

 阪神・淡路大震災で本社社屋が崩壊した神戸新聞。新聞発行機能を喪失しながら、京都新聞の協力で印刷用の原版を作製して発行を継続した逸話が残る。同紙の特設サイト「【特集】阪神・淡路大震災」も圧倒的な情報量で同震災を記録する。サイト内コンテンツ「1995年生まれ 震災の記憶を求めて」では、「大地震の年に生まれ、復興された街を見て育った」若者たちによる「震災の記憶を求めて歩いた物語」がつづられている。仮設住宅、避難所、震災孤児‐‐被災者の言葉に導かれて震災を追体験し、心を震わせる若い感受性に希望を見る。

 一方で、NHK神戸放送局が被災者900人余を対象に実施した「阪神・淡路大震災20年アンケート」の結果からは、高齢期を迎える被災者の厳しい現実が示され、復興は本当になされたのかとの疑念がわく。回答者の82%は65歳以上、老いと収入減の現状に不安を募らせている人も少なくない。

 「不安はいつ解消したのか?」の問いに、「経済的苦境」28%、「健康状態」21%は「現在も続く」と答える。自宅の再建などの「負債の現状」は「返済中」が41%で、「継時的に最も厳しかった時期は?」には「現在」が20%を占めるのだ。「被災者としての気持ちは引きずっておりません。現実の今の方が生きるのに厳しいからです」(女性、55歳)の言葉に、横面を張られた思いがするのはブログ子だけだろうか。