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御嶽山噴火で露わになった課題ー火山防災を考える(4)

2014.12.30

総務省消防庁が御嶽山噴火後に調査を実施

 御嶽山の噴火は登山客57人が犠牲となる戦後最悪の火山災害だったが、噴火自体はマグマを噴出させない「水蒸気噴火」で比較的小規模なものだったという。小規模な噴火であったにもかかわらず甚大な人的被害が出たのは、危険が及ぶ範囲に多くの人がたまたま居合わせていたからだ。噴火が起こったのは、紅葉シーズンたけなわの土曜日、絶景の山頂付近でお昼の準備を始める人も多かっただろう正午前だった。

 災害による被害を減らす基本は、危険な場所には近寄らないこと、さらには危険な場所から早めに避難することだ。だが、災害に限らず、日常生活というものは常に危険と隣り合わせであることも間違いない。そうであれば、そうした危険は起こりうるものとして、可能な範囲で防災対策が講じられているかどうかが重要になる。前回は、常時観測47火山について火山防災協議会の設置状況などを見てきたが、今回は御嶽山の噴火後に実施された総務省消防庁の別な観点からの調査を確認していこう。

避難施設が整備されているのは12火山

 総務省消防庁は平成26年11月28日、『「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」(47火山)における避難施設等の設置状況の実態調査結果』を公表した。具体的には、山頂付近における避難施設と火山における災害情報伝達手段のそれぞれの整備状況を調べた。

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 まず避難施設の整備状況はどうか。御嶽山の噴火でも、山頂付近に何等かの避難施設があれば被害は軽減されたのではないかと指摘された。火口周辺で身を隠す場所がなく、噴石などに直撃されて亡くなった人が多かったからだ。

 調査によると、47火山のうち、避難施設として退避壕や退避舎のいずれかが整備されているのは12火山で、御嶽山を含む36火山は未整備だった。避難壕があるのは11火山だったのに対し、避難舎は4火山にとどまった。

 火山別では桜島が最も整備が進んでおり、避難壕37か所、避難舎20か所を備えていた。このほか避難壕を複数整備していた火山は、口永良部島17か所、阿蘇山15か所、草津白根山13か所、伊豆大島11か所、霧島山7か所、浅間山4カ所、諏訪之瀬島3カ所だった。三宅島は2,710平方メートルの避難舎が整備されているが、伊豆大島、雲仙岳の避難舎はそれぞれ120、170平方メートルだった。桜島など頻繁に噴火を繰り返す火山で整備が進む一方、その他の火山では避難施設の整備が進んでいない現状がはっきりした。

山頂で緊急速報メールが受信できるのは10火山のみ

 次いで、火山における災害情報伝達手段の整備状況だ。山頂あるいは山道に防災行政無線(同報系)の屋外スピーカーが整備されているのは16火山だったが、そのうち山頂と山道どちらにも整備されているのは青ヶ島のみだった。

 災害発生を伝える携帯電話3社の「緊急速報メール」については、山頂における受信状況が把握できた41火山のうち、山頂の全域において1社以上のメールが受信できるたは10火山、山頂の一部地域において受信できたのは28火山だった。山頂全域で3社とも受信できたのはアトサヌプリ、有珠山、箱根山の3火山だったのに対し、3社とも受信できなかったのも3火山あった。また、山道における受信状況が把握できた43火山のうち、山道全域で1社以上受信可能だったのは9火山、山道の一部で1社以上受信可能は31火山、3社とも受信不可は3火山だった。

 調査ではその他の伝達手段としてのコミュニティFMや有線サイレンの有無、山小屋と地元市町村との伝達手段の確保状況についても調べている。コミュニティFMは13火山、有線サイレンは2火山で整備されていたほか、山小屋がある27火山のうち市町村との伝達手段が確保されているのは19火山だった。

 御嶽山の噴火を受けて、国や自治体などには火山における避難施設の整備を進めたり、登山届の提出の義務化を検討したりする動きがある。47火山を訪れようとする人は、火山に関するこうした自治体の防災対策を確認するのはもちろんのこと、ヘルメットを持参する、登山届を必ず提出するなど自分でできる対策も忘れないようにしたい。