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常時観測火山などの防災対策急ぐー火山防災を考える(3)

2014.12.17

常時観測、重点観測の火山が増える

 全国には110の活火山が点在しているが、このうち47火山は気象庁の火山噴火予知連絡会によって「常時観測火山」に選定されている。47火山の分布と常時観測火山に選定された理由をまとめたのが図1だ。常時観測火山は中部地方以東の東日本から北海道、九州地方に集中、御嶽山も含まれている。最近の噴火活動や過去の噴火履歴から選定理由は4種に分けられており、御嶽山の場合は「近年、噴火活動を繰り返している」と評価された23火山のうちのひとつだ。御嶽山噴火後、同連絡会は11月28日、八甲田山(青森)、弥陀ケ原(富山・長野)、十和田(青森・秋田)の3火山を常時観測の対象に加えるよう提言した。

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 これとは別に、文部科学省の地震火山部会は学術的な観点から「重点観測火山」として阿蘇山や富士山、桜島など16火山を選定、火山噴火予測に役立てるための研究を進めている。これら16火山は常時観測の47火山に含まれているが、御嶽山は含まれていなかった。地震火山部会は11月20日、御嶽山を含む9火山を重点観測火山に追加する方針を示した。国内の火山活動の活発化を受け、国などの関係機関は監視・観測態勢の強化を急いでいる。

急がれる常時観測火山の防災体制構築

 火山防災のために監視・観測体制の充実が必要とされている47火山だが、実際の防災体制はどうなっているのだろうか。御嶽山噴火後の平成26年11月14日時点の47火山における火山防災対策の取り組み状況を整理したのが図2だ。これによると、「火山防災協議会設置」34火山、「噴火警戒レベル運用」30火山、「火山ハザードマップ作成」37火山、「具体的な避難計画策定」20市町村となっている。

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 火山防災協議会とは、関係自治体や国、火山専門家等が平常時から情報を共有し、噴火時の避難等の火山防災対策を共同で検討するための組織だ。噴火警戒レベルとは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と、防災機関や住民等の「取るべき防災対応」を5段階に分けて発表する指標のことで、火山ハザードマップや具体的な避難計画とともに、火山防災協議会での検討を受けて設定される。

 このように効果的な火山防災対策を展開するには火山防災協議会における検討が前提になっている。御嶽山の噴火を受け、内閣府は協議会未設置の自治体に対して今年度末までに設置するよう要請、各地で設置に向けた動きが加速している。もっとも、協議会があるからといって、火山の周辺自治体における防災対策が進んでいるとは限らない。具体的な避難計画を策定しているのは関係130市町村のうちの20にとどまっているような現状がある。

常時発表されている噴火警戒レベル

 上で見た噴火警戒レベルについて、もう少し詳しく理解していこう。噴火警戒レベルは、火山防災協議会の検討に基いて「警戒が必要な範囲」と「とるべき防災対応」が市町村や都道府県の地域防災計画に定められた火山から順次運用が始まっている。これが47火山中の30火山あった(霧島山が新燃岳と御鉢の2つに区分されているため実質的には31火山)。具体的には図3に示す通り、レベル1「平常」、レベル2「火口周辺規制」、レベル3「入山規制」、レベル4「避難準備」、レベル5「避難」の5段階に分かれている。「対応する警報等」としては、レベル1が「噴火予報」、レベル2・3が「噴火警報(火口周辺警報)」、レベル4・5が「噴火警報」となっている。

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 活火山は常に活動しているから、噴火警戒レベルも常時発表されている。火山活動に変化があった場合には、噴火警報の発表に伴ってレベルが変更される。御嶽山の場合、噴火するまで警戒レベルは1だったが、噴火後に3に引き上げられ、火口から4キロ圏内は入山規制されている。

 現在、気象庁が「火口周辺警報」を発表して火口周辺への立ち入りなどの警戒を呼び掛けている火山は全国で13ある。このうち、今年に入ってから火口周辺警報が発表されたのは8火山に上る。御嶽山、阿蘇山、霧島連山えびの高原の硫黄山、口永良部島、西之島、草津白根山に加え、今月に入ってからも十勝岳(北海道)、吾妻山(福島・山形)が相次いでレベル1から2に引き上げられている。