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火山活動の現状ー火山防災を考える(2)

2014.11.30

阿蘇中岳が21年振りに「マグマ噴火」

 11月25日、熊本県・阿蘇山の阿蘇中岳で小規模な噴火が発生した。福岡管区気象台の観測によると、噴煙の高さは最高で約1,500メートルに達し、火口から東側約40キロの大分県豊後大野市や西側40キロの熊本市内でも降灰が確認された。27日午前の上空からの調査で火山灰を含む噴煙は火口縁上約1,000メートルで北西方向へ流れているというが、風向きの影響で火山灰は四方八方に飛び広がっている。火口周辺にこぶし大の「スコリア(黒色の軽石)」の飛散が確認されたことなどから、同気象台は1993年以来の「マグマ噴火(マグマが直接地上に放出される噴火)」が発生したと発表した。

 噴火の影響で、火口に近い熊本空港では航空便の欠航や行き先変更が相次いだ。航空各社が視界不良やエンジンへの悪影響を懸念したためだ。航空機のエンジンにとって火山灰は大敵といい、エンジン内に吸い込まれた火山灰は熱で溶けて部品に付着し、推進力の低下や最悪の場合にはエンジン停止をもたらすという。降灰によってキャベツなどの農作物に被害が出ているほか、近隣自治体では小中学校の児童生徒にマスクを配布し、屋外でのマスクや帽子の着用を呼びかけた。福岡管区気象台は、火口からおおむね1キロの範囲で大きな噴石に警戒するよう呼びかけるとともに、風下側では降灰だけでなく風に流されて降る小さな噴石にも注意するよう促している。

今年は11火山に臨時の「火山活動解説資料」

 御嶽山に続いて阿蘇山の噴火である。いや、それだけではない。現在、列島各地の火山はその活動を活発化させている。気象庁のホームページでは同庁や各地の気象台が定期的または臨時に発表する「火山活動解説資料」を閲覧することができるが、このうちの「臨時に発表した資料」の発表数を見ると、火山活動の活発化をうかがい知ることができる。

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 例年の臨時発表は、桜島や霧島山(新燃岳)など「常連」の5?6火山について出されることが多いが、今年は11月末現在ですでに11火山が対象になっている。驚くべきスピードで陸域を形成している海底火山の西之島が領土拡大につながるとして注目を集めているほか、3月から火山性地震が増え始めた草津白根山(群馬県・長野県)は6月、噴火警戒レベルが従来の「1(平常)」から「2(火口周辺規制)」に引き上げられた。蔵王山(宮城県・山形県)でも今月18日から19日にかけて火山性微動を4回観測、霧島連山・えびの高原の硫黄山(宮崎県)でも先月24日から「火口周辺警報(火口周辺危険)」(噴火警戒レベル2に相当)が発表されている。御嶽山での入山規制も継続中だ。

東日本大震災が火山活動の活発化を誘引か

  間違いなく尋常ならざる火山活動ラッシュだが、こうした現状のめまぐるしさも、もしかしたら大規模噴火に至る前の序章に過ぎないのかもしれない。というのも、東日本大震災によって日本列島の地下にあるプレートの状態が変化し、マグマが揺らされて火山活動が刺激されるおそれが指摘されているからだ。御嶽山噴火以降、各種メディアでも複数の研究者が相次いでこうした懸念を表明している。

 研究者個人の憂いだけではない。何より、内閣府の検討会によって昨年5月に公表された「大規模火山災害対策への提言」(座長・藤井敏嗣東京大学名誉教授)は東日本大震災後の日本列島について、三陸沖で869年に貞観地震が発生して火山活動が著しく活発だった9世紀の状況に似ているとの指摘があることをわざわざ紹介し、「今世紀中に大規模な火山災害が発生してもおかしくない」と述べている。また、「大規模噴火は必ずしも単発で起こるとは限らず、9世紀や18世紀のように大規模噴火が短期間に連続して発生することもある」と警鐘を鳴らしている。

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 同提言の参考資料に含まれている9世紀と18世紀の大規模地震と大規模噴火の発生年表を紹介する。9世紀には貞観地震の発生前に越中・越後や播磨・山城で内陸型の大地震が、貞観地震の18年後には南海トラフで仁和地震が発生している。これと並行して、同世紀中には富士山が3回噴火しているほか、世紀をまたいで915年には十和田火山の大噴火が起きている。この噴火は国内で過去2,000間に発生した最大の火山噴火だったという。18世紀も南海トラフを震源とする宝永地震があり、富士山、樽前山、桜島などの大規模噴火が起きている。

 東日本大震災に先立って阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などの内陸型地震が相次いだのが現代日本だ。9世紀日本の災害現象との不穏な相似を知れば心穏やかではいられないが、私たちにできることは限られている。自分や家族でできる精一杯の備えを日々怠たらずに実践していくしかない。