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夏本番! ビーチの津波対策を確認して海を楽しもう

2014.07.31

全国で梅雨明け、厳しい暑さで熱中症が急増

 各地の気象台が次々と梅雨明けを発表した。沖縄地方の「6月26日ごろ」から始まり、北陸・東北南部・東北北部の「7月28日ごろ」をもって列島すべてで梅雨が明けた。気象庁の速報によると、今年の各地の梅雨明けは平年と比べ、中国地方で1日早く、近畿・東海・東北北部で同じ、残る8地方では1日~14日遅かった。同庁は当初、今夏はエルニーニョ現象の発生によって梅雨明けが遅れ、冷夏になると予想していた。だが、今月発表した「エルニーニョ監視速報」で、同現象の発生は夏から秋にずれ込むと修正、この夏は平年よりも暑い夏になりそうだと予想し直した。

 梅雨が明けた列島は連日、各地で猛暑が続いている。総務省消防庁は29日、27日までの1週間に、全国で熱中症の症状で8580人が救急搬送され、そのうち15人が搬送先で死亡が確認されたと発表した。特に26日は2489人を搬送、7月の1日の搬送者数としては2008年の調査開始以来、最も多かったという。

海辺では、「音声」や「視覚」で津波警報を伝える

 猛暑とともに、海や川などに大勢の人が繰り出している。痛ましい水の事故も相次いでおり、レジャーにおける水の事故には各人とも十分に気をつける必要がある。加えて、海辺へ出かけることが増えるこの季節、自然災害に備える観点から海水浴中の津波にも改めて関心を高めておきたい。

 各地の海水浴場では海開きが本格化しているが、東日本大震災後の各海水浴場では、海水浴客も参加して避難訓練を実施するところが増えているようだ。国の南海トラフ巨大地震の被害想定は、最大クラスの津波が発生した場合、東海から四国の沿岸にかけては、早いところで2~5分で10~34mの巨大津波が到達する恐れがあるとしている。沿岸住民はもとより、海水浴などで海辺にいる人に対していち早く津波の発生を知らせ、迅速に避難してもらうための事前の対策は欠かせない。海に入っていて携帯電話やスマートフォンなどの通信機器を持参していない場合も多いだろうから、異変を知らせるサイレンの鳴動や信号旗の掲出など、アナログ的な伝達手段を確保しておく必要性は高い。

 事実、東日本大震災の津波の際には、海水浴やマリンスポーツなどで海上にいた人にサイレン等の音声による津波警報が風等の影響で届かなかったという事例が発生した。これを受けて気象庁は2012年、全国の海水浴場の管理団体を対象に津波警報伝達の実態を調べた。調査に回答した587団体のうち、63%(372団体)は「サイレンなど音声によるもの」を伝達手段として採用。「旗や発煙筒など視覚によるもの」を採用していたのは6%(35団体)に過ぎず、津波警報を知らせる手立てを講じていない団体も26あった。視覚による伝達手段を採用している団体でも、旗の色がオレンジ色、赤色、黄色だったり、発煙筒や回転灯も赤色や黄色だったりして統一されておらず、61%(356団体)が統一の必要性を認めた。

海に出かける前に、避難場所や警報伝達手段の確認を

 視覚による伝達手段とは具体的にどのようなものか? 2012年7月にとりまとめられた中央防災会議防災対策推進検討会議の「津波避難対策ワーキンググループ報告参考資料集」は各地の具体事例として、茨城県大洗町における赤旗・発煙筒、、静岡県下田市における国際信号旗(U旗)、神奈川県の沿岸市町村における「オレンジフラッグ」の事例を紹介している(図1)。神奈川県の「津波対策」サイトでは、「オレンジフラッグは避難のサイン」という一節を設けて県内の海岸で利用されているさまざまなタイプの旗の写真を公開、「海岸にオレンジフラッグが掲出されているのを見かけたら、すぐに海から上がって海岸から離れ、身の安全を確保しましょう」と呼びかけている(図2)。

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 数メートルといった大津波だけではなく、数十センチでも津波は危険だ。内閣府が東日本大震災の被害実態などから算出した陸地に浸水した津波高と死亡率の分析によると、津波浸水深30センチで死者が発生、70センチで7割、1メートルではほぼ全員が死亡するという(図3)。実際、日本海中部地震の際の津波によって、青森県十三湖では70センチの津波で釣り客6人が亡くなっている。港湾空港技術研究所の実験では、50センチの津波で約80%の成人男性が流されたという。「津波防災マニュアル」(八重山地方防災連絡会、2013年3月改訂)は、津波の海水浴への影響として次のように記述している。

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 「津波注意報が発表されれば海水浴客は浜に上がらなければならない。なぜなら、たとえ津波の高さが20センチから30センチと小さくても、波長は数10キロと長いので、浮き袋につかまって浮いている幼児はへたをすると1キロ以上沖に流される。津波の高さが50センチ程度になると、成人でも津波によって生じる流れは無視できない。水位が膝を超えると自由を奪われ、また、流れは局所的に大きくなり得るため、海水客が水中にとどまることは危険になる」

 この夏、海水浴に出かける予定がある人は、もう一度あの東日本大震災の津波を思い出し、津波の威力を決してあなどらないと自戒してほしい。出かける前には、自治体が設置している海岸近くの津波避難場所の位置や警報の伝達手段などをあらかじめ調べておき、到着したらそれらの安全対策を現場で確認するようにしよう。