1. ホーム
  2. レポート
  3. 防災の現場
  4. 突然の天気の急変、積乱雲がもたらす気象災害に注意しよう

突然の天気の急変、積乱雲がもたらす気象災害に注意しよう

2014.06.30

東日本などで大気が不安定な状態が続いている

 沖縄地方は一足早く梅雨明けしたが、その他の地方は梅雨が本番だ。東日本などでは連日、局地的な大雨や雷などが相次いでいる。気象庁によると、関東甲信地方の上空に寒気が流れ込む一方で、地表付近の気温が高く、大気の状態が不安定になっている。地表と上空の温度差が大きくなると、上昇気流とともに積乱雲が発生しやすくなる。積乱雲と聞けば、青空を背景に立ち上る入道雲という爽快な夏の風景を連想しがちだが、局地的大雨(いわゆるゲリラ豪雨)、落雷、竜巻などをもたらす「災害雲」でもある。

 24日には東京都の三鷹市や調布市の一部でひょうが降り、道路を覆った。ひょうの大きさは1~2センチ程度、数十センチ積もった場所もあったという。季節外れの積雪かと見まがう報道映像に驚いた人も多いだろう。気象庁が都内でまとまった「降ひょう」を確認したのは7年ぶりだった。日本自動車連盟(JAF)によると、この日関東地方で降った大雨の影響により、車両冠水・水没によるロードサービス依頼は、関東1都5県で55件に上ったという。

 栃木県宇都宮市は、年間約25日の「雷日数」(雷を観測した日の合計)を数える雷の多い都市として知られるが、今年は6月だけですでに観測史上最多となる10日の雷日数を記録した。横浜市や茨城県では作業中の男性が雷に打たれて、重軽傷を負っている。警察庁の資料によると、2005~2009年の間に落雷によって14人が亡くなり、50人が負傷している。雷も、命に関わる危険性の高い災害だ。竜巻については、これまでのところ明確な発生こそ確認されていないようだが、気象庁は連日のように関東甲信地方で竜巻注意情報を出して注意を呼び掛けている。

局地的大雨、雷、竜巻が発生する要因は積乱雲

 これらの激しい気象現象はどのように起こるのだろうか。まず局地的大雨。これは、少々紛らわしいが、集中豪雨とは少し違う。気象庁によると、局地的大雨は「単独の」積乱雲が急激に発達して降らす「一過性の大雨」のこと。これに対し、集中豪雨は、積乱雲が同じ場所で「次々と発生、発達」を繰り返して、「数時間にわたって降り続く激しい雨」のことだ。いずれも積乱雲から生じる。近年、こうした豪雨が市街地を遅い、都市の排水能力を超えてしばしば「都市型水害」を引き起こしている。都市型水害が頻発する要因については、夏の都市部の「ヒートアイランド現象」(道路や建物の輻射熱や冷房・車の排気熱によって周囲よりも気温が上昇する)が積乱雲の発達を加速させている可能性が指摘されている。

20140630_01.png

 雷はどうか。雷を発生させる電気は、積乱雲の中で小さな「氷晶」(氷の粒)と、大きな「あられ」との衝突によって生じると考えられている。湿った空気が急激に上昇して上空の低い温度の層に達すると、氷晶やあられや大量に発生し、雷雲になる。雲の中で蓄えられた電気が一定以上になると、空気の絶縁を破って放電が起こる。前述した雷日数の平年値は、金沢(石川県)の42.4日をトップに、福井、新潟、富山、秋田と続く。雷は日本海側で多く発生する。

 竜巻も、発達した積乱雲の強い上昇気流によって発生する激しい空気の渦巻きだ。うずの直径は数十~数百メートルに及び、しばしば漏斗(ろうと)状または柱上の雲を伴う。風速70m/秒を超える猛烈な風が吹くこともあり、短時間で狭い範囲に集中的に被害をもたらす。太平洋や日本海の沿岸部で多く発生するが、夏は内陸部でも発生する。月別では6月ごろから増え始め、9~10月が発生のピークだ。日本では毎年、年間10数個から20個程度が確認されている。

積乱雲に伴う気象災害から身を守る

 局地的大雨、竜巻や雷といった気象災害は、発達した積乱雲に伴って発生する。次のような現象が起きたら、積乱雲が接近している兆しだ。気象災害が発生する危険性が高まっている。すぐに頑丈な建物のなかに避難するなど、直ちに身の安全を確保する必要がある。

20140630_02.png

 屋外で活動している際にこれらの気象災害が発生したらどう対応するべきか。局地的大雨では、河川や下水道、用水路などの水が集まり流れる場所から遠ざかる。もちろん、地下街などでは氾濫水の流入に注意する。

 竜巻が迫ってきたら、近くの鉄筋コンクリート造のビルなど頑丈な建物に逃げる。それがない場合は、物陰、溝などくぼんだ場所(急な豪雨には注意が必要)に身をひそめ、頭と首を守る。

 雷は、周囲より高い場所に落ちやすい。ゴルフ場やグラウンドなど開けた場所では人に落ちることもある。電柱や煙突などからは4m以上、高い木の近くでは2m以上離れ、姿勢を低く保ち、雷の活動がやむのを待つ。

 これらはいずれもほかに手段がない場合の緊急措置だ。可能ならば、積乱雲が関係する気象災害が起こりそうな、大気が不安定な状態のときの屋外での活動はひかえたい。やむをえず屋外活動する場合は、最低でも気象庁が提供するリアルタイムの気象情報を随時チェックして、天候の急変に備えよう。