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梅雨入りした日本列島、今年はエルニーニョ現象で梅雨明けは遅れるとの予想

2014.06.20

すでに各地で記録的な大雨、北海道でも例年にない長雨

 気象庁によると、今年も北海道を除く全国が梅雨入りした。最も早かったのは5月5日ごろの沖縄地方、最も遅かったのは今月6日ごろの東北北部だ。南北に長い日本列島は、梅雨入りするだけでも約1か月の時間的な開きがあるわけだ。各地の梅雨入りは、平年と同じだった奄美地方(5月11日ごろ)を除き、各地とも平年より2?8日早かった。

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 今年の梅雨は荒れ模様で始まり、西日本の太平洋側や東海、関東地方などで記録的な大雨となるところが多かった。梅雨がないと言われる北海道でも、今月に入って連日、雨が続いている。

 梅雨入りから梅雨明け、さらにはその後の盛夏から秋にかけて、注意しなければならないのが風水害だ。この時期は毎年、集中豪雨などによる河川の急な増水やはん濫、土砂災害、竜巻などの突風による被害などが増える。台風による大雨、高潮などの被害も予想される。

 梅雨入りをきっかけに、気象庁は「大雨の時には、気象庁が時間を追って段階的に発表する気象情報、注意報、警報等の防災気象情報、さらには地元自治体が発表する避難勧告等の情報に注意するとともに、川や崖など危険な場所には絶対に近付かない、あるいは、できるだけ早め早めの避難等、安全の確保するための行動を心がけてほしい」(今月12日、西出則武気象庁長官)と注意を呼び掛けている。

気象庁がエルニーニョ現象の発生を予想

 今年の梅雨と夏の天候にも関連して注目されているのが「エルニーニョ現象」だ。気象庁は今月10日に出した「エルニーニョ監視速報(No.261)」のなかで、「夏には5年ぶりにエルニーニョ現象が発生し、秋にかけて続く可能性が高い」と発表した。

 エルニーニョ現象とは、ペルー沿岸から日付変更線付近にいたる太平洋東部の広い海域で海水温が高い状態が続く現象だ。スペイン語のエルは定冠詞、ニーニョとは「男の子」の意味で、エルニーニョは幼子イエス・キリストを指す。水温上昇がクリスマスのころに起きやすく、その後長期にわたって南米沿岸のカタクチイワシなどが不漁になることから、地元のペルー漁民はこう呼んで休漁するという。この現象は、ペルー沿岸だけでなく、日本を含む世界各地に異常な天候をもたらすと考えられている。

 エルニーニョの原因のひとつと考えられているのが上空の大気の流れだ。通常、太平洋の熱帯域では、貿易風と呼ばれる強い東風が常に吹いていて、海面付近の温かい海水を太平洋の西側に吹き寄せている。しかし、この貿易風の勢いが弱いと、太平洋の東側(南米側)に温かい海水の分布が増えて水温が上昇し、太平洋西側には相対的に冷たい海水の分布が増えて通常よりも冷たい海域を形成する。同海域の海水温が低い状態だと太平洋高気圧の勢力が強まりにくくなり、結果として夏季の太平洋高気圧の張り出しが弱くなるとされる。

 気象庁は、今年の夏エルニーニョ現象が発生した場合、全国的に梅雨明けは遅れそうだという。また、北日本は冷夏、東日本の気温は平年並み、西日本は高めになると予想している。

前回エルニーニョ現象発生時は、梅雨時に豪雨災害があった

 5年前のエルニーニョ現象はどういうものだったのか。同じく気象庁の「海洋の健康診断表『総合診断表』第1版」によると、最近のエルニーニョ現象は2009年夏から2010年春にかけて発生し、「2009年夏には北日本と西日本日本海側で多雨、北日本から西日本にかけて日照不足となり、九州北部地方から東海地方にかけての梅雨明けが記録的に遅れた。2009/10年冬は寒暖の差が大きかったが、季節平均では冬型の気圧配置が弱く、全国的に高温となった。また、終息後の2010年夏の日本の平均気温は、統計を開始した1898年以降の第1位の高い記録になった」という。

 振り返ってみると、2009年夏には「平成21年7月中国・九州北部豪雨」が発生している。この年の7月19日から26日にかけて、梅雨前線の活動が活発化し、中国・九州北部で記録的な豪雨となった。山口県の22人を筆頭に福岡、広島、佐賀、長崎の5県であわせて35人の死者が出た。負傷者は59人、住宅の全壊は52棟、床上・床下浸水は1万1,864棟に上った。山口県防府市の特別養護老人ホームで、土石流により入所者7人が死亡したことはいまだ記憶に新しい。福岡県では男性が側溝に流され、川で遊んでいた児童が亡くなるなどの犠牲があった。

 列島は梅雨入りしたばかりだ。この後もしばらく気象災害が発生しやすい季節が続く。さらにはエルニーニョ現象の発生も見込まれ、5年前同様、天候状況が極端に振れる恐れがある。前述した気象庁長官の呼びかけ通り、「気象情報等に注意し、危険が迫ったらとにかく早めに避難する」を肝に銘じよう。楽しい思い出が残る、よい夏を皆で過ごしたい。