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住民として知っておくべき避難の心得――見直された「避難ガイドライン(案)」に学ぶ(2)

2014.04.30

避難行動には「立ち退き避難」と「屋内安全確保」がある

 新ガイドライン案は、第2章「避難行動(安全確保行動)の考え方」において、避難とは「数分から数時間後に起こるかもしれない自然災害から『命を守るための行動』である」と定義している。命を守るための行動だから、一般的に考えられている小中学校の体育館など公的な施設への退避だけが避難ではない。同案は避難勧告等が対象とする避難行動として次の4つを挙げ、指定避難場所や安全な場所へ移動する避難行動を「立ち退き避難」、屋内にとどまる避難行動を「屋内安全確保」に分けた。

 また、避難行動をとる際の安全確保の観点から、避難場所、避難所の違いを改めて明確にしている。

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自宅にどのような災害の脅威があるかを知る

 住まいが河川沿いにあれば水害の危険があり、背後に急傾斜地が迫っていれば土砂災害の危険がある。住居はその立地条件ごとに異なった災害の脅威にさらされている。私たち住民はまず、さまざまな自然災害に対して、わが家にはどのような脅威があるのかをあらかじめ知っておかなければならない。そのうえで、それらの災害の脅威が迫ったとき、自分や家族はどのような避難行動をとればよいのか、立ち退き避難をすべきなのか、屋内安全確保で命は守れるのかなどを判断しなければならない。新ガイドライン案は、立ち退き避難が必要になる場合を災害毎に次のように列挙した。

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 水害の場合には立ち退き避難の対象とならない場合もある。ゲリラ豪雨など短時間で局地的に降る大雨は、場所によっては下水道などが溢れ浸水することもあるが、そうした危険個所に近づかなければ命を脅かされる危険性は低い。中小河川や下水道の氾濫などが発生しても浸水深が浅い地域の場合も「屋内安全確保で命を脅かされる危険性はほとんどない」と同案は述べている。前回紹介したように、ゲリラ豪雨や中小河川の氾濫といったケースでは避難勧告等が発令されないことを前提にすれば、自分の命を守るための適切な行動を選択するのは私たち自身だ。

 河川の氾濫とは違って、土砂災害、高潮、津波はひとたび発生すれば、命を脅かす危険性が極めて高い。避難勧告等が発令された場合は、被害が想定される区域では早めの立ち退き避難が求められる。ただし、土砂災害については、十分な強さを有する鉄筋コンクリート造等の建物で、かつ土砂が到達するおそれがない上階の場合であれば、屋内安全確保も選択肢になりうると同案は指摘している。

 これらを踏まえて同案は、市町村が避難勧告等の発令によって住民に求める行動を整理している。災害発生の切迫度が高まるに伴って、発令される情報も「準備情報」「勧告」「指示」と緊張感が高まってくる。これら避難に関する情報・勧告・指示が出された際、私たちはどのように行動すべきなのかをしっかり覚えておこう。

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各家庭で「災害・避難カード」を準備しよう

 今回の新ガイドライン案では、避難行動に「屋内安全確保」が含まれたことが大きな特徴だ。そうなると、避難勧告等が発令された対象区域の中でも、住民それぞれにとって適切な避難行動が異なる場合があると同案は指摘している。土砂災害、高潮災害、津波災害は立ち退き避難が基本だが、水害の場合には、「各人は洪水ハザードマップをもとに、立ち退き避難が必要な場所なのか、上階への移動等の屋内安全確保で命の危険を脅かされる可能性がない場所なのかをあらかじめ確認・認識しておき、避難勧告等が発令された場合に、迷わず避難行動がとれるよう」に求めている。さらに「避難勧告等は立ち退き避難が必要な区域を示して勧告したり、屋内安全確保の区域を示して勧告するのではなく、避難勧告等は水害の可能性のある範囲全体を対象に発令する」とも書いている。何度も繰り返すが、迫りくる災害に対してどのような避難行動を選択するのかは、あくまでも私たち住民自身の判断だ。

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 正しい判断を下せるように、同案が提案する「災害・避難カード」はぜひ各家庭で取り入れてほしい。図に示すように、市町村が発行する災害種別毎のハザードマップなどの情報を基に、わが家ではどのような避難行動をとるのかあらかじめ決めておきたい。災害の発生が予想される際には、テレビやインターネットなどで示される防災情報や市町村が発令する避難に関する情報などを基に、適切な避難行動を早めのタイミングでとれるように備えておこう。