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東日本大震災後初めての「防災に関する世論調査」を読む(1)

2014.03.18

国民の防災に関する意識を探る世論調査

 内閣府の「防災に関する世論調査」の結果が2月に公表された。東日本大震災から3年近くが経過した昨年12月、20歳以上の全国3,000人を対象に、防災に関する意識を探った。

 国はさまざまなテーマで世論調査を実施している。「防災に関する世論調査」は昭和57年に始まり、当初は2?3年毎に「定期的」に実施されてきた。ところが、平成7年に阪神・淡路大震災が発生して以降、日本列島は地震の活動期に入ったと言われ、各地で地震が頻発するようになる。平成16年には阪神・淡路と同じ震度7を観測した新潟県中越地震があり、その後も能登半島地震、新潟県中越沖地震、岩手・宮城内陸地震など大地震が毎年のように発生した。防災をテーマにした国の調査も近年は、時節柄関心の高いテーマを取り上げる「特別世論調査」として実施されることが続いている。「地震防災対策に関する特別世論調査」は平成17、19年に、「防災に関する特別世論調査」は平成21年に実施されている。今回公表された調査は、「防災に関する世論調査」としては平成14年以来12年振り、東日本大震災後では初めてとなる。

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 防災をテーマにした継続的な調査の結果を振り返ってみると、国民の防災意識が時間経過に伴ってどのように変化してきたかを知ることができる。特に今回は、歴史的大災害を経験した後の調査だ。私たちが東日本大震災という災害からどのような教訓を学び、3年が経過しようとする時点でどう生活の中に反映させているのか。あるいは、防災意識に何等かの変化があったとすれば、過去の大災害時と比べてどうなのか。そうした災害に向き合う私たちの姿勢を再確認することもできるだろう。今回と次回の2回に分けて、世論調査に見る私たちの防災意識の移り変わりを見ていく。

被災をイメージする災害は時々によって違う

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 今回の調査ではまず、災害被害の具体的イメージを聞いている。自分や家族が遭遇する自然災害としては「地震」を挙げた人が80.4%と最も多かった。以下、「竜巻、突風、台風など風による災害」(48.1%)、「河川の氾濫」(19.6%)、「津波」(17.8%)などの順だった。地震をイメージする人は特に大都市で多く、東京都区部では87.6%と極めて高い。一方、「竜巻、突風、台風など」「河川の氾濫」「土砂崩れ」「大雪」「火山噴火」などの災害をイメージする人は比較的、中都市や町村に多い。

 平成26年現在、多くの日本人は災害と聞けばまず地震をイメージしている。だが、これは阪神・淡路大震災以降に現れた傾向で、しかもかなり流動的だ。実際、同震災前の平成3年調査では、危険だと感じる災害は「火災」が34.3%とトップで、「地震」33.6%、「台風」30.8%、「河川の氾濫」28.3%の順。「津波」は9.1%だった。(以前の調査では設問が異なり、火災のような人為災害も選択肢に含まれる)

 これが阪神・淡路大震災発生後の平成7年調査では、「地震」は63.5%と急増してトップに躍り出る。だが、平成14年の前回調査では、「地震」は16.6%と反落し、「台風」の23%に次ぐ結果だった。その後、前述したように列島各地で大地震が相次いでいることから、災害イコール地震のイメージが定着しているのだろう。台風であれ、洪水であれ、その時点で大きな災害が発生すれば、人々の意識はその災害に向かう。「津波」などは前回14年調査では1.2%にすぎなかったから、東日本大震災の津波の衝撃がいかに大きかったかが理解できる。

家族などと災害時の対応について話し合う人が増える

 調査ではまた、ここ1?2年ぐらいの間に家族などと災害時の対応について話し合ったことがあるか聞いた。この結果を前回の平成14年調査と比較すると、「ある」は34.9%から62.8%に増え、反対に「ない」は64.3%から36.9%に減った。話し合った内容については、「避難の方法,時期,場所」が65.5%で最も高く、「家族や親族との連絡手段」(56.0%)、「食料・飲料水」(56.0%)、「非常持ち出し品」(46.1%)などの順だった。いずれの項目も前回調査より割合が高まっていた。

 大地震が起こった際に心配な点として最も多かったのは「火災の発生」で65.9%、次いで「建物の倒壊」が65.0%だった。以下、「家族の安否の確認ができなくなること」(58.0%)、「電気,水道,ガスの供給停止」(57.0%)などとなった。前回調査の結果との比較は図の通りだ。一部選択肢が異なっているため単純比較はできないが、「家族の安否の確認ができなくなること」「日用品の不足」「津波、浸水、堤防の決壊」などを挙げる人の割合の高まりが目立つ。また、帰宅困難や長期にわたる避難所生活、原発事故への不安といった問題も新たに指摘されている。これらは、現代日本社会が大規模複合災害に見舞われた場合に見せる主要な脆弱性の数々だった。国民の大規模地震被災に関する認識は、東日本大震災の体験を通じてより具体的になっている。

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 では、こうした災害に対してどのように備えているのか。次回は防災対策の実施状況について見る。