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現在進行形の「震災関連死」――東日本大震災3周年を控えて

2014.01.31

福島県では「関連死」が「直接死」を上回る

 戦後最大の人的被害をもたらした東日本大震災。発生から2年10か月が経過した今月10日時点の警察庁のまとめによると、死者は1万5,884人、行方不明者は2,640人を数えている。津波による犠牲者が最も多かったのは東日本大震災の最大の特徴だが、こうした津波や建物の倒壊、火災といった直接的な被害で亡くなった「直接死」だけでなく、震災後の避難生活などで体調を崩すなどして死亡する「関連死」が多いことでも同震災は際立っている。

 復興庁は昨年12月24日、同年9月末時点の「震災関連死」認定数は10都県で2,916人に上ると発表した。都県別内訳は、福島1,572人、宮城873人、岩手417人、茨城41人、千葉4人、長野3人、山形・神奈川各2人、埼玉・東京各1人だった(図1)。昨年11月末時点における福島県のまとめでは、関連死の死者数は1,605人とさらに増えており、同県内の直接死の死者数1,603人を上回ったという。東京電力福島第一原発事故に伴う避難生活の長期化等が関連死増加の要因になっているとみられているが、巨大な広域複合災害では関連死が直接死を超える事態もありうることが明白になった。関連死には、「災害から助かった命を社会的な対応の不備や誤りによって失ったのではないか。果たして人災ではなかったと言えるのか」との疑念がつきまとう。震災3周年を目前に、私たちは改めて、この厳しい現実を直視しなければならない。

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阪神・淡路大震災で初めて関連死を認定

 震災関連死という概念が登場したのは1995年の阪神・淡路大震災だった。同震災は、急速に進展した日本の高齢化社会を襲った最初の巨大都市直下地震だった。被災直後は混乱した状況のなか、医療サービスの不足が命に直結するケースが多かった。長引く避難所生活によるストレスで体調を崩す人の死が続き、仮設住宅に移り住んだ高齢者が孤独死する事態へと推移した。

 兵庫県の「阪神・淡路大震災の死者にかかる調査について(平成17年12月22日記者発表)」によると、関連死とは「震災と相当な因果関係があると災害弔慰金判定委員会(市町で設置)等において認定された死者(例:震災によるストレスが原因で死亡)である」とし、同県内における死者6,402人のうち関連死は919人(全体の14.35%)とされた。このように、震災関連死であると市町村等の審査で認定されれば、主たる生計維持者の場合は500万円、それ以外の家族の場合は250万円の災害弔慰金が遺族に支給されるようになった。

死亡した原因、「避難所等における生活の肉体・精神的疲労」が最多

 東日本大震災の場合はどうだろうか。復興庁は発災の翌2012年8月に、東日本大震災における震災関連死の現況を把握する報告書をまとめている。そこでは、震災関連死による死者を「東日本大震災による負傷の悪化等により亡くなられた方で、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、当該災害弔慰金の支給対象となった方」と定義し、同年3月末時点における死者数を1,632人とまとめた。66歳以上の高齢者が約9割を占め、発災から1か月以内で約5割が亡くなったとした。

 このうち、関連死の多い市町村と原発事故で避難指示が出された市町村の1,263人については、死因も含めて調査した。それによると、死者の約6割に既往症が有り、既往症無しは約1割、不明が約3割だった。死亡時年齢別では、80歳台が約4割、70歳以上で約9割を占めた。発災から3か月以内で全体の約8割が亡くなっているという。

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 原因別では、「避難所等における生活の肉体・精神的疲労」が約3割とトップで、「避難所等への移動中の肉体・精神的疲労」「病院の機能停止による初期治療の遅れ等」がそれぞれ約2割。自殺者は13人だった。県別にみると、岩手県と宮城県では「地震・津波のストレスによる肉体・精神的負担」が約2割を占め、福島県では「避難所等への移動中の肉体・精神的疲労」が約3割と高い割合を示した。

 復興庁の報告書で示された関連死の事例が図2だ。淡々とした事実関係の記述のなかに、本人や遺族の無念さが込められている。震災関連死は、認定基準が定まっていないために震災との因果関係を判断することが難しい。実際、認定されなかったことを不服とした訴訟も起こされている。阪神・淡路大震災でも最終的に関連死の死者数が確定したのは発災から約8年後のことだった。

 冒頭紹介した復興庁の調査でも、関連死者数は半年前の昨年3月末時点から228人増えている。東日本大震災の発生から3年が経過しようとしているが、関連死はいまだ現在進行形の問題でもある。