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災害時でも、足を守る!安全性、快適性を追求した防災用安全靴 ―株式会社シモン

2010.03.15

安全靴というと、みなさんはどんなイメージをもたれているだろうか。重い、硬い。そして、ダサい。そんな思い込みを覆してくれるのが、安全靴のパイオニア「株式会社シモン」だ。

工場現場用、運送用、防災用などさまざまな用途に合わせた安全靴を取り揃えており、また通常の革靴よりも軽く、デザイン性が優れたものや靴底にエアが入ったスポーティーなものなど、さまざまな安全靴やプロ・スニーカーを手がけ、60年以上もの歴史を誇る。

そんな老舗の商品の中で記者が注目したのは、防災や消防用に使用されている「シモンスター」シリーズの「SS33Hi FR」だ。「SS33Hi FR」の特筆すべき点は同社が特許取得している「SX3層底」。 災害時の地面は瓦礫や鋭利なものがあったりと、不安定かつ危険なもの。そんな地面から「SX3層底」は足を守ってくれる靴底なのである。また、ミッドソールには加水分解しないSX高機能樹脂を使用している。

一般的な安全靴は2層底だが、「SX3層底」はその名のとおり、3つのソールから成る。足へのショックを和らげる「ミッドソール」、地面をグリップする「アウトソール」、「アウトソール」を支える「フレームソール」。これら3つのソールが組み合わさり、抜群の安全性と安定性を実現。「ミッドソール」のクッション性は足腰への負担を抑え、アウトソールには高度な耐摩耗性の「SXラバー」を採用。「アウトソール」のパターンが前後左右、斜めからの動きにも対し、しっかりと地面をとらえる。さらに「フレームソール」も組み合わさり、優れた衝撃吸収性を生み出すだけでなく、シモン独自の「独立懸架方式(サスペンションシステム)」が凸凹した地面から伝わる衝撃を抑制する。例えば通常の靴で障害物がある地面を踏み込むと、障害物の出っ張りを基点に、靴底全体が浮きあがる。一方、「独立懸架方式(サスペンションシステム)」の靴底であれば、両靴48個ものパターンがそれぞれ独立して動き、地面に接地。靴底全体が浮きあがることはない。そんな万能なソールは、熱や油・薬品(酸・アルカリ)から足を守り、引火などの原因となる静電気の帯電防止性能も備えているから、驚きだ。

長期間保存することで、化合物に水が作用して起こる分解反応

 
耐久性や安全性だけではなく、デザイン性も優れている「シモンスター」シリーズ(左)
災害時でも、この上ない安定性を生みだす「SX3層底」(特許取得)(右)

日本人に合う"本物の安全靴"として

こんな多機能な安全靴について利岡和範・専務取締役営業本部長は次のように語る。「機能性もさることながら、安全靴は一般の革靴と違い、革の材質、強度などこと細かくJIS(日本工業規格)の規格基準をクリアしないといけません。JISの規格に基づいてない作業靴は、厳密にいうと安全靴とはいえないんです」

昔の安全靴は、先芯(つま先部)に重い鉄板が入っていた。その先芯に樹脂を取り入れたのは、同社が世界ではじめて。今では樹脂でもJISの規格をクリアするようになったが、販売当初は鋼製と強度は同じ樹脂でもJISの規格としては不合格。しかし、同社が安全性の証明書・メーカー保証をつけて販売していくにつれ、その強度が認められ、樹脂でもJISの規格をクリアするものとされたのである。

さらに災害時に忘れてはならないのが、靴の快適性。いくら足を守ってくれる安全靴と言っても、履き続けることで足を痛めてしまっては、元も子もない。従来のモデルは現行モデルよりも幅が狭く、人によっては足の親指、小指がつま先部にあたる場合もあったという。そういった人を少しでもなくそうと採用されたのが、多くの日本人の足に合いやすく、足先がゆったりしている靴の木型「オブリーク調」だ。「苦労した点は靴の幅を広くして、軽量化するという営業部からの要望をどう実現するかでした。当初、技術部門は無理な要望だと困惑していましたが、開発に開発を重ね、靴の幅を広くし、さらに靴の無駄な部分をそぎ落とし軽量化したわけです」(利岡さん)

同社は日ごろ、ご使用の皆様などからの要望を取り入れながら新商品開発をしているが、大型新商品を開発するために、基礎研究を含めると10年以上の期間を要する場合もあるという。


軽量で頑丈な樹脂先芯の安全靴(上)、
重い鋼製先芯の安全靴(下)

人に、地球に、やさしい。シモン

開発から資材の調達、製造、物流まで自社一貫体制を実現している拠点である福島県の「柳津工場」は、会津磐梯山のふもとで、清流只見川が流れる地に構えており、豊かな自然環境との調和を保つよう努めている。またメーカーとして、環境マネジメントシステム「ISO14001」(2000年9月以降3回更新)の取得、温室効果ガスを抑制するプロジェクト「チーム・マイナス6%」への参加、環境負荷の低減に努めている事業者から資材等を優先して購入する「グリーン購入」への取り組みなど、環境保全にも積極的だ。

「これからの課題は安全靴をプロユース(業務用)だけではなく、民間企業や教育機関、一般消費者にどう浸透させていくか。民間企業でも災害用ヘルメットを備えているところはあると思いますが、快適で安全な靴も備えておくべきだと思います。どんな被害状況であれ、そこから自らの足で、歩いて移動しなくてはいけないのですから」と語るのは阿部匡・常務取締役営業本部副本部長。確かに災害時となれば、自らの足で帰宅しなくてはならない。販売ルート、サイズ展開など課題は多いが、ぜひ安全靴メーカーの先駆者として、果敢に挑んでほしい。

国際標準化機構(ISO)により制定され、生産、製品、経営の観点で環境対応の計画、点検、見直しといった管理や監査のマネジメントシステム。

 
日ごろからスーツ姿の社員も安全靴を着用している

株式会社シモン