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被災地で復旧・復興作業をする上での注意

2011.06.08

東日本大震災から3か月が経過しました。被災地では、復旧工事が本格化するのに伴い、作業中の事故や伝染病の発生など、新たな問題が持ち上がっています。こういった災難に遭わないためにも、復旧作業に従事する場合は、以下のことを心得ておきましょう。

目次
1.復旧作業中の事故やケガが多発
2.事故やケガ、病気などの被害にあわないために
3.がれきの処理をするときの注意点
東日本大震災 被災地

1.復旧作業中の事故やケガが多発

がれきの撤去などの復旧工事が進むなかで、被災地では作業に従事する人の事故が増えています。災害救助法が適用されている8都県の労働局に届け出があった負傷者は141人、死者は7人にのぼります(webside.jp編集部調べ、6月2日時点)。都県別では宮城53人、茨城38人、福島19人、栃木11人、千葉7人、岩手9人、青森4人、東京0人となっています。「(山積みになったがれきや屋根からの)墜落・転落」が約43%と被害原因のトップを占め、次いで「(重機などに)挟まれ・巻き込まれ」「転倒」などが多くなっています。

ただし、この数字にはボランティアは含まれていません。ボランティアの現状について、いくつかのボランティアセンターに問い合わせてみました。宮城県名取市災害ボランティアセンターによると、復旧当初はクギのふみ抜き事故が多発していましたが、最近では、長靴に中敷をしくことで、その数は減少しつつあるといいます。同県東松島災害ボランティアセンターでは、重い物を運ぶ際に落としてしまって、足などを打撲したり、手を挟んでしまうケガが多く発生しているそうです。

災害現場には危険がたくさん潜んでいます。復旧が進むにつれて、被害はさらに増えることが憂慮されています。

8都県の労働局に届け出があった死傷者の内訳

※一般のボランティアは含まれない。( )内の数字は、死者数。

  宮城県 茨城県 福島県 栃木県 千葉県 岩手県 青森県 東京都 小計
4月末時点 5月30日時点 5月31日時点 5月30日時点 6月1日時点 5月31日時点 5月31日時点 5月30日時点
墜落・転落 17人 21人
(1)
13人
(2)
7人
(1)
2人 3人 1人   64人
転倒 8人         1人 1人   10人
挟まれ、巻き込まれ 10人 3人 3人
(1)
2人         18人
激突され 3人   3人     1人     7人
飛来・落下物 3人   1人   3人
(1)
  1人   8人
倒壊・崩壊 2人 6人   1人 1人
(1)
1人     11人
切れ・こすれ 2人 3人         1人   6人
動作の反動・無理な動き 2人               2人
激突 1人   3人 1人   3人     8人
踏み抜き 1人               1人
有害物質への接触 1人               1人
交通事故 1人               1人
無理な動作         1人       1人
爆発物     3人           3人
その他 2人 5人             7人
小計 53人 38人 26人 11人 7人 9人 4人 0人 148人

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2.事故やケガ、病気などの被害にあわないために

作業者を悩ませる粉じん

復旧現場では、がれきから出たほこりや、乾いた泥などの「粉じん」が大量に舞ってます。特に、晴れの日が続いたとき、風が強い日の屋外で粉じん被害が多くなっています。粉じんを長期間吸い込むと、肺に蓄積し、「じん肺」という病気にかかる恐れがあります。じん肺は初期の段階では自覚症状がないため、気づかない間に進行し、やがて咳、痰、息切れがおこります。さらに悪化すると呼吸困難、動悸などから肺性心という心臓病になる危険があります。

粉じんの発生をおさえるためには、あらかじめ作業現場に水をまくなどの工夫をすると効果的です。室内で作業をする場合には換気をしましょう。粉じんを吸い込まないために、活動中は、必ずマスクを着用しましょう。また、粉じんが目に入ると、感染症や視力の低下をまねく危険性があります。マスクに加えて、花粉症予防のゴーグル型メガネをつけるだけでかなり防げると言われています。作業服も粉じんが付着しにくいものを選びましょう。

小さな傷から発症する破傷風

宮城県名取市災害ボランティアセンターによると、被災地では「破傷風」の発生が危惧されています。破傷風とは、傷口から破傷風菌が入ってかかる病気です。被災地では、倒壊した建物から出た木片、ガラス、釘などが散乱しています。作業中にあやまってケガをした場合、土の中にいる破傷風菌が、傷口から浸入し感染する危険性があります。症状によっては命に関わる病気です。実際、今回の震災後に破傷風に感染した例も報告されています。6月に入って気温が上昇し、半袖でボランティアに参加する人も増えており、がれきなどで肌を傷つけてしまう人も少なくないといいます。

予防策としては、長袖、長ズボン、厚手の手袋や靴を着用することです。作業中にケガをしてしまったら、すぐに傷口を水でしっかりと洗いましょう。傷が深い場合は、すぐに病院で手当てを受けましょう。事前に破傷風のワクチンを接種してから被災地に入るのも安全策のひとつです。

同災害ボランティアセンターは、「どんな小さな傷であっても、現場のリーダーに報告をしてもらいます。また、傷の大小にかかわらず、医師の診察を受けることを義務付けています」と話しています。

東北地方で多発するツツガムシ病

国立感染症研究所によると、今年3月以降、東北地方の複数の県でツツガムシ病の発症例が報告されています。ツツガムシは、山林の土の中に生息するダニの一種です。刺されると、5~14日後に発症します。症状としては、発熱、発疹などが特徴です。春と秋の2回発生のピークがあります。

ツツガムシ予防には、肌を露出させない服装(長袖、長ズボン、長靴など)が重要です。虫よけスプレーも効果があるとされています。屋内に戻ったら、すぐに入浴し、ツツガムシを洗い流しましょう。服などもツツガムシがついている可能性がありますので、すぐに洗濯するか、天日干しにするとよいでしょう。

冬場に感染しやすいインフルエンザ・ノロウィルス

国立感染症研究所によると、減少傾向にはあるものの、避難所ではインフルエンザの感染が散見されているということです。一般的に、インフルエンザは12~3月に流行すると言われています。低温度で乾燥する冬は、空気中のウイルスが長生きできるからです。特に人が密集した避難所ではインフルエンザが流行しやすく、宮城県内の避難所では、集団感染が確認されています。

ノロウイルスによって起こる感染性胃腸炎にも注意が必要です。感染すると下痢や嘔吐などの症状が表れます。特に乳幼児が感染しやすいとされています。11月くらいから増加しはじめ、12月~翌年1月くらいまでが発生のピークですが。ピーク時以外でも発生する可能性があります。

予防法としてはいずれも、マスクを着用したり、アルコール消毒による手洗いが効果的です。

首都圏からの持ち込みリスクが懸念される、はしか

国立感染症研究所によると、首都圏を中心に今年4月以降、はしかにかかる人が急増しており、被災地に持ち込まれるリスクが高くなっています。実際に同月、外国人ジャーナリストが日本国内ではしかを発症し、都内や近隣の被災地で取材活動を続けていたことが発覚しています。

はしかは、麻しんウイルスによる感染症です。被災地では、海外からの人の出入りによって、国外からウイスルが持ち込まれる危険性もあります。症状としては、39℃前後の高熱と、咳・鼻汁・目の充血、全身に広がる赤い発疹が特徴です。発生頻度は低いとされていますが、重症化する場合もあります。発症した場合にこれという治療方法はなく、症状を和らげる治療しかありません。はしかの罹患歴・接種歴が不明な人は、あらかじめワクチンを接種しておきましょう。また、被災地でのボランティア活動中、上記のような症状が出たら、すみやかに活動をやめて病院で診察を受けましょう。

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3.がれきの処理をするときの注意点

<よくある災害事例>
  • がれきを素手で扱って、手を切った。
  • クギを踏み抜いた。
  • 崩れたがれきの下敷きになった。
  • さびたクギで傷を負い、破傷風にかかった。
  • 重いものを1人で運び、腰を痛めた。
  • トラックの荷台に積んだがれきをロープで固定中、バランスを崩して墜落した。
  • 作業中に、後退してきたトラックに衝突された。
  • 作業中に、パワーショベルに激突された。

1.災害に遭わないための服装を

  • 長袖の作業服などで肌の露出を少なくする。
  • ヘルメットや安全靴などの底の厚い靴、丈夫な手袋を着用。
  • 防じんマスクやゴーグルを着用。
  • 防じんマスクを使用する際は、使用前に漏れがないか確認が必要。

2.安全な作業をするために

  • 作業の前に、リーダーが誰かを確認し、その人の指示に従う。
  • 周りの人に危険が及ばないよう、連絡を取り合って作業する。
  • がれきを運搬するための経路を確保する。

3.作業中に注意すること

<がれき処理のとき>

  • 安定の悪いがれきの上など、高い所での作業はしない。
  • 倒れそうな建物には近づかない。
  • 重いものを無理に1人で運ばない。
  • 倒れた柱などの、長いがれきを運ぶときは、周りに人がいないか注意。
  • 薬品(液体)の容器や、液漏れした機械を見つけたら、リーダーに連絡する。
  • 重機による追突事故が多発しているため、作業中のブルドーザー、パワーショベル等には近づかないように。
  • 工場には、古いトランス、コンデンサー等でPCB(ポリ塩化ビフェニル)が含まれるものが保管されている。不用意に触れないように注意する。
    (参考)ポリ塩化ビフェニル(PCV)廃棄物の適正な処理に向けて/環境省
  • アスベストが含まれているおそれのある建材については、散水してできるだけ湿らせ、原則として割らずに片付ける。
    (参考)アスベスト(石綿)についてQ&A/厚生労働省

<荷積みの際>

  • トラックなどへがれきを積む際は、「積みすぎ」に注意する。
  • トラックの荷台の上のがれきには乗らないようにする。

<その他>

  • 緊急地震速報が出たときは、作業を中断して安全な場所に避難する。
  • 夏場などの暑いときは、水分、塩分、休憩をこまめにとる。
    ※体調が悪くなった場合は、作業を直ちに中止し、すぐにリーダーにその旨を伝える。
  • 粉じんが舞うような場所で、飲食や喫煙はしない。
  • 汚水、雨水、海水、河川の流水、腐敗しやすい物が溜まっている箇所などは酸素濃度が低かったり、硫化水素濃度が高い可能性があるので、立ち入らないようにする。
  • 破傷風の危険があるので、傷を追った場合、すぐにリーダーに報告し、医師の診察を受ける。
  • がれきが燃えている場合には、風上に立ち、燃えているがれきに近づかないようにする。燃焼後のがれきを片付けるときは、防じんマスクを着用する。

4.機械を使用する場合に注意すべき事項

  • クレーンなどの運転には資格が必要です。
  • ショベルカーなどのバケットの爪に荷を掛けて吊り上げることは原則禁止されています。

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