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【第10回】防衛省・自衛隊(自衛隊の災害派遣)

2010.07.05

災害救助の最後の砦としてますます期待が高まる

岩手・宮城内陸地震における災害派遣
岩手・宮城内陸地震における災害派遣

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山口土砂災害捜索災害派遣・防府市内において捜索活動を行う第17普通科連隊隊員

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北九州災害派遣・篠栗町にて

阪神・淡路大震災以降、自衛隊による被災地での支援活動は重要な役割を占めており、また自治体側の自衛隊の災害派遣に対する期待も高まっています。こうした期待に応えるべく自衛隊では、災害派遣を迅速に行うため、陸・海・空それぞれが初動対応できる態勢を整えています。

自衛隊の災害派遣は、都道府県知事が災害派遣の3原則に合致すると判断した場合、自衛隊に派遣を要請。あるいは市町村長が災害状況などを防衛大臣等に通知し、緊急を要すると認められたときは、担当大臣の命令の下、部隊などを派遣します。

災害派遣で行われる活動は、人命救助活動をはじめ、給水支援、給食支援、入浴支援といった生活支援です。2008年の岩手・宮城内陸地震が発生した際には、岩手県知事からの要請を第9特科連隊が、宮城県知事からの要請を第6師団がそれぞれ受け、行方不明者の捜索、道路の復旧、給水・給食・入浴支援などを行い、延べ人員約2万6300人、車両約7970両、航空機約580機を派遣しました。

軍事情報に詳しいジャーナリストの和泉貴志さんは「消防や警察の救助能力を超えた場合、災害救助の最後の砦が自衛隊です。自衛隊は衣食住をはじめ、すべてにおいて自己完結型の組織です。ですから、災害派遣の要請を受ければ、すぐに派遣できる態勢を整えられます。そして日ごろの訓練がそのまま災害時に生かせる特殊技能を備えているということです」と、自衛隊の災害派遣を評します。

災害派遣の撤収は、災害派遣の3原則が満たされなくなった場合に、自治体と自衛隊との間で確認して撤収が行われます。

どこの自治体も厳しい財政状況が続いていますが、自衛隊の災害派遣に要する費用は一切かかりません。住民に対する給食支援の食材費は都道府県の負担となりますが、市町村の負担はありません。

大規模な災害が発生した際、自治体だけでは住民の生命や財産を守りきれません。さし迫った緊急を要するときは直ちに自衛隊に災害派遣を要請できるよう、体制を整えておくべきでしょう。

●災害派遣要請の3 原則

公共性 公共の秩序を維持するため、人命または財産を社会的に保護する必要があること
緊急性 さし迫った必要性があること
非代換性 自衛隊の部隊等が派遣される以外に他に適切な手段がないこと

防衛省・自衛隊(防衛省防災業務計画)

※本稿はbside2010年4月号[Vol.10]に掲載したコラムを再掲載しています。